見出し画像

事業計画終了

夜半に雨が降り出した。

事業計画の発表会が全て終わった。

一昨年までのように、あらゆる特養の課長職以上が会して一斉に行う形式ではなくて来訪するのは常務と本部長のみ。他の施設のボスたちはそれをリモートで見物する。

これはこれで緊張した。代わる代わる席を立ち、マイク席に移動して施設長、副施設長、支援課長、看護課長、介護課長の順番で発表。一人15分。

それにしても恥ずかしかった。何が?というと自分が想像以上に緊張していることが、とても恥ずかしかった。手が震えるのでテーブルの下に隠していた。真横の仲間からはそれが見えるので余計に恥ずかしかった。

のだけど、下手なりに発表が終わった。

時間の関係上3人の方々のみがうちの施設にコメントをくれる流れだったのだけど、他所の女性の施設長が「看護課が凄かったです。皆のことをよく考えていて、いやあ・・・、ほんとに良かったです。それと・・・etc」と仰って下さった。

もう少し長い丁寧なコメントだったけれど、不覚にも緊張していて覚えていない。でも、心から称賛して下さっているのが伝わった。何ということだ。それに対してさらに緊張した。発表は終わっているというのに。

のは、良いのだけど、自分で自分に”どーしたんだ、おまえ。Iさんがせっかくコメント下さっているのに。”と、心の中で思えば思うほど緊張した。

でもとにかく自施設の中で色々とガッカリすることはあるけれど、観ていてくれる人はいるもんだなあ~と感謝し、深々と頭を下げた。

その後に「では、理事、お願いします。」と言う声がして、皆が一斉注目して、一同いつもの強面にしばしの間固唾を飲んでいたが、「ここの施設ってのは、皆優しいんだよ。うん。あとね、Ohzaさんは、よく勉強してる。ほんとによく勉強してるね。」と、色々と内容に踏み込んで褒めて下さった。

そして、ああ、これもまたよく聞き取れていない。恥ずかしさと悔しさ。

3人目は介護課についての質問だった。

わけのわからないまま終了したのだけれど、そして終わったあとも「もっと落ち着いて話したかったのに、悔しいなあ、恥ずかしいなあ。」とそんなことばかりが頭から離れなかった。「3人しかコメントしないのに2人のボスが看護課を絶賛だったよ!」と周りからは褒められている。段々冷静になって来て、「ああ、そうか。あんなんでも伝わったんだ。」と実感が湧いて来た。

Kちゃんは課長以上ではないので直接聞いて貰えなかったが「凄かったらしいじゃん。Y理事が直接褒めてくれたんだって?ほんとに凄い人だよ、Ohzaちゃんは!」と。

しかし、この人の場合はいつもそう。何しても褒めてくれるからね・・・と、しらーーっとした顔をしていたのだけど、「恋人だからないよ!ほんとに凄いんだってば!何で受け入れない?!」と怒られた。もはや考えていることが分かるのね。

夜になると、リモート観戦組だった前ボスからラインが来た。今やこの方は大活躍している方だ。

「認知症の機能向上やアドバンスケアプランニングに触れたのはOhzaさんだけだったよ。年々凄みを増していくね。素晴らしかったよ。”等、もっと具体的に長文で褒めて下さった。」

ここまでくるとやっと分かって来る。よく頑張った!苦しかったし、色々と理不尽なこともあったけれど、ほんとによくぞやり遂げた!

しかし、なーんで、あんなに緊張するかな。本当はもっとさらりと平気なふりして発表したかった。何か凄く特別な大会でもない。過去二回も経験しているのに、何故あんなに緊張した?ああ、どんだけええ格好しいなんだよ。

でも、これで良しとしよう。ボスのめちゃぶりを全部やり遂げた上で自分のやりたいこともやり抜いた。

ボス!課題をくれてありがとう!おかげで充実したパワポ資料を作ることが出来ました。← どの口が言うか。

↓ ↓ ↓

多分、出だしから怒っていて「もう絶対やり遂げるし、その上で好きなことをして良いもの作るぞ!」と意気込み過ぎての、未だかつてないド緊張だったかと思われる。ほんと、生まれて初めて。

で、肝心の現ボスだって40ページも作成していた。そして、私に負けないくらいド緊張していた。

それなのに、本部長から「ああ、そうだなあ、なんていうか、ああ、やる前にもうちょっと僕が教えてあげればよかったね。今度ゆっくり話そう。」というコメント。

衝撃だった。

ボスだから滅多に人に褒められるってことはなくなる。それは分かっている。でも、緊張して発表した後に、公衆の面前でそんなコメントってない。

現ボスは常にこういう世界にさらされているのか。

前のボスが強過ぎて、彼は誰にもそんな口を利かせない人だったので、分からなかった。

だからと言って部下に理不尽な重荷を背負わせて良いわけではないし、怒った自分を間違いだったとは思わないが、彼もまたド緊張しながら頑張っているのだと言うことを改めて理解した。

心の中で擁護している自分にビックリしたが「でも、なんかずれてんだよねー。」と今度はけなし始めたり。私って優しくないただの負けず嫌いなんだなあ。

短い間に色々なことを考えて、そして色んな自分、色んな仲間の側面を見て、ただひとつ、間違いないことは、現ボスのことも立てて行こうということだった。

どうして?

皆緊張していたし、皆認められたかった。そして上の方々はきちんとやってあたりまえだし基本的には誰にも褒めて貰えない。そんな中で無茶ぶりされて頑張っている。どんな形であれ、そんな強いことってないじゃないか。だから、応援しようじゃないか。

だからと言って非礼は許さないけれど、少なくともこの機会に己の小ささを学ばせてくれた。

雨はざんざん降っている。雷も鳴りだしたこの夜に。

今日はとにかくゆっくり休もう。

最期まで読んで下さり ありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?