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なぜこの店で買ってしまうのか ショッピングの科学

"ショッピングの科学は目新しいものではないと、あらためて思う。闘争・逃走反応や、脳は息をどう制御するかといったことと同じように、ショッピングは人間のDNAに事実上、組み込まれているものだからだ。"2001年に国内紹介され、ベストセラーになった本書は、実店舗の小売担当やECサイト運営者必読の不朽の良書。

個人的には、自身も実店舗としての"意図的に変わった"本屋をしている事。また、スマホアプリでの買い物が常態化しているから今だからこそ、あらためて【リアルな場自体の在り方の変化】が求められている今を考えたいと思って本書を手にとりました。

さて、本書では徹底した現場でのフィールドワークによる調査結果により、例えば【試着室にもって入ったジーンズを実際に買う割合 男65%、女25%】【カゴを使う客が実際に物を買う割合75% 使わない客が品物を買う割合34%】などと豊富な事例にて、人の行動メカニズムや男女の心理差などを紹介しているのですが。技術がどれほど発達しても【手は2本しかない、右利きが多い】相手の立場や心境をイメージして考える大切さを確認させていただきました。(『尻こすり効果』も印象的)

また一方で、本書では約20年前に書かれたにも関わらず、高齢化社会の到来、オンラインショッピングの常態化についても予見して、それぞれに実店舗で求められていくであろう事についても提案しているわけですが。某国では【高齢者を死ぬまで働く労働者】とし、弱者に配慮しない社会へと着々と舵をきっている中、企業サイドでは【(若者の消費離れを追うのではなく)高齢者目線に配慮するサービスを提供すること】がより大切になってきている事、またオンラインショッピングには向かない商材を取り扱う事や【五感に訴えかける場づくり】の必要性が増している事には共感しきりでした。

"店には三つの要素があるということだ。つまり、設計(店舗の)、品揃え(仕入れる商品がなんであれ)運営(従業員の業務がなんであれ)"よい勉強になりました。

小売業界の方はもちろん、オンライン、オフラインで何らかの人を巻き込む場づくりをしている誰かにもオススメ。

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