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1日1冊オススメ本レビュー

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ブックコーディネーターが毎日1冊、サクッと読めるオススメ本ブックレビューを公開していきます。
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#短編集

中途半端な密室

"『その家はですね、なんと玄関も窓もすべて中から鍵が掛かっていたんです』『ほう。それじゃ…

パニック・裸の王様

"想像していたより太郎はひどい歪形をうけていた。彼は無口で内気で神経質そうな少年で、夫人…

レキシントンの幽霊

"僕が本当に怖いと思うのは、青木のような人間の言いぶんを無批判に受け入れて、そのまま信じ…

女性作家が選ぶ太宰治

"私の数ある悪徳の中で、最も顕著な悪徳は、怠惰である。これは、もう、疑いをいれない。よほ…

なめらかな世界と、その敵

"この、なめらかな世界の人間は、誰もが絶対の理想郷に生きている(中略)彼らにとって、唯一の…

雪沼とその周辺

"『絹への道』と書いた紙を掲げると、シル、ク、ロード、です。これが、ぼくの、今年の、抱負…

むずかしい愛

"恋することはいつもこんなふうだった。この洞窟の鏡の中のような、言葉の向こう側の世界に入っていくことだった。それにかれは、今まで一度だって自分の詩のなかで愛の言葉を書いたことがなかった。一言もだ"本書は"文学の魔術師"1950年代の連作、不在を語る12の"冒険"が収録された短編集。 個人的には著者の本はマルコ・ポーロがフビライ汗に摩訶不思議な都市を語る、美しく詩的な幻想小説『見えない都市』についで手にとりました。 ⁡ さて、そんな本書は1958年に『短編集』1970年に『む

おばあちゃんたちのいるところ

"数々ある恐ろしい選択肢の最後にちょこんとくっついてきたある可能性を考えた瞬間、私は発作…

猫の縁談

"『本の好きな人間は本を大事にする。本を労る人間は動物も粗略にすまい』と老人が機嫌を直し…

眼球綺譚

"それより問題は、これだ。わたしはデスクの上に視線を落とす。『読んでください。夜中に一人…

しあわせの理由

"そうやって生きていくことが、ぼくにはできる。意味のないしあわせな気分と、意味のない絶望…

青い星まで飛んでいけ

"ホモ・サピエンスの莫大な記憶を、親から受け継いだデータとしてのみ、エクスは持っている。…

羅生門・鼻・芋粥

"内供のような鼻は一つも見当たらない。その見当たらないことがたび重なるに従って、内供の心…

折りたたみ北京

"読者には、そのような誘惑に抵抗していただきたいのです。中国の作家の政治的関心が西側の読者の期待するものとおなじだと想像するのは、よく言って傲慢であり、悪く言えば危険なのです。"2016年発刊、中国SF界を今を代表する7名の作家の13篇を収録したアンソロジーである本書は【全てが傑作】という、おそるべき一冊。 個人的には2018年に国内紹介された際に大絶賛されていた本書が手にしやすい新書サイズにて新たに発刊されたのを知り、飛びつく様に手にとりました。 そんな本書は『紙の