中途半端な密室
"『その家はですね、なんと玄関も窓もすべて中から鍵が掛かっていたんです』『ほう。それじゃあ密室ってことかい』(中略)『いいえ、部長、被害者のボロ家には屋根がありませんでした』"2012年発刊の本書は表題作含む楽しさとユーモア溢れるミステリ短編集。
個人的には主宰したミステリをテーマにした読書会で参加者にすすめられて手にとりました。
さて、そんな本書は『謎解きはディナーのあとで』"脱力系ユーモア本格ミステリ"で知られる著者によるデビュー作を含む初期傑作五篇が収録された短編集で。全て"探偵役が現場に足を運ばず、話を聞いただけで謎を解く"『安楽椅子探偵』スタイルの作品となっているのですが。
まあ、ミステリなので?詳細は読者の楽しみとして省くとして、著者が岡山大学卒業だからか、"敏ちゃん・ミキオコンビ"など【岡山が関係してくる作品が多く】ルーツ的な愛情が感じられてニヤリとしてしまった。
また、ミステリらしく確かに殺人事件は起きるわけですが。殺伐さはなくて。むしろお茶をしながらの【ゆるい雑談話的に解決していく】のもエンタメ作品として好感を覚えました。
著者ファンはもちろん、気軽に読めるミステリ短編集としてオススメ。
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