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女性作家が選ぶ太宰治

"私の数ある悪徳の中で、最も顕著な悪徳は、怠惰である。これは、もう、疑いをいれない。よほどのものである。こと、怠惰に関してだけは、私は、ほんものである。"2015年発刊の本書は七人の女性作家が全集から感性で選んだ太宰短編選集。

個人的に、桜桃忌に太宰治しばりの読書会を開催することもあって手にとりました。

さて、そんな本書は前述どおりに『太宰治全集』から、それぞれ著名な女性作家たちが選んだ作品たちが、冒頭で選んだ理由を『彼自身が、一つの作品』『この甘やかさに浸らずにいられない』といった短めの解説つきで、7作品。バラエティ豊かに収録されているのですが。

未読だった作品の中では、女性が勝手な思い込みから自爆する(笑)『恥』が、SNS上での不特定への書き込みやつぶやきを【自分個人に向けられたもの】と、勝手に受け取って誤解しては一喜一憂している人を周りで何人か思い浮かべてしまって、普遍的な作品だと思ったり。

あるいはタイトルを先に決めてから"ぼつり、ぼつり、考え、考えしながら書いてゆく"と、いろはちにほへと、と、とりとめなく書いていく『懶惰の歌留多』が、改革より【そもそも働きたくない】今の私の気持ちに寄り添ってくれているようで気に入りました。

しかし。どの作品も【作家自身が顔を出してくる】ようで、同時に【読み手が自分ごとのようにも受け止めれる】著者作の魅力は短編だと、より冴えるな。とあらためて。

女性作家選書の太宰治選集、また読みやすい短編集としてもオススメ。

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