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1日1冊オススメ本レビュー

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ブックコーディネーターが毎日1冊、サクッと読めるオススメ本ブックレビューを公開していきます。
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2020年11月の記事一覧

ギリシャ語の時間

"あのころ僕が取り組んでいた主題を思い出す。闇のイデア、死のイデア、消滅のイデアについて…

ひとさらい

"南米に帰るなら、どうしてもパリの女の子を連れてゆきたい。パリじゅうの少女から私の娘を選…

よいこの君主論

"小学校のクラス1つ制圧できないようでは、社会に出てから会社一つ切り盛りしていくなどできる…

死者の奢り・飼育

"死者たちは、濃褐色の液に浸って、腕を絡みあい、頭を押しつけあって、ぎっしり浮かび、また…

京都の平熱

"京都が『古都』と言うのは大嘘だ。たしかに古い物は残っている。寂れて、しっとりと。けれど…

あかい花

"そして彼には、この刹那を境にして自分が、この地上で自らしとげなければならぬことの何かを…

三月の五日間

"それじゃ『三月の5日間』ってのをはじめようって思うんですけど、第一日目は、まずこれは去年の三月の話っていう設定でこれからやっていこうと思ってるんですけど、朝起きたら、なんか、ミノベって男の話なんですけど"2005年発刊の本書は超リアル日本語演劇チェルフィッチュ初期戯曲集。 個人的には、もう10年以上前に表題作で話題になって興味を持ちつつ結局、劇場で観賞出来なかった事、また一方で私的に脚本を書く機会が増えてきた事から参考に手にとりました。  さて、そんな本書は読み物

バベル 少女は言葉の旅に出る

"『この世界はね、異国語って言ったら文字のことだけを指すんだ。発音は全部一緒だけど、文字…

煙か土か食い物

"俺は俺がブラフなんて使わないということを事あるごとに示していかなくてはいけない。エヴリ…

ノリーのおわらない物語

"『マリアナのおわらない冒険』シリーズは、もういくつも作ってあったけど、どれも紙に書けな…

箱男

"ぼくは今、この記録を箱のなかで書きはじめている。頭からかぶると、すっぽり、ちょうど腰の…

葬儀を終えて

"コーラ・ランスケネはびっくりした目つきで親類の人たちを見わたし、それから小鳥のように首…

チーズとうじ虫

"全体はカオスである。この全体は次第に塊になっていった。ちょうど牛乳のなかからチーズの塊…

眠れる美女

オススメ44。"たちの悪いいたずらはなさらないで下さいませよ、眠っている女の子の口に指を入れようとなさったりすることもいけませんよ、と宿の女は江口老人に念を押した。"1961年発刊の本書は、著者後期の代表作にして生と死のエロティシズムが溢れるデカダンス文学名作。  個人的には読書会の課題図書という事で、はじめて手にとってみました。  さて、そんな本書は海辺に近い二階立ての秘密の館に江口老人が『すでに男でなくなっている安心できるお客さま』として迎えられ、毎回鍵のかかる寝