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よいこの君主論

"小学校のクラス1つ制圧できないようでは、社会に出てから会社一つ切り盛りしていくなどできるはずがないからです。君主論は小学生の時にこそ読むべき書なのです"2006年発刊の本書は、マキャベリの君主論を下敷きにひろし君がスクールカーストで覇道を成就するまでを描いたエンタメ解説書。

個人的には確かに禁書扱いされたり、何かと誤解されがちな君主論を『完全教祖マニュアル』など、何かと愉快な本を出し続けているコンビが解説したとの事で興味を持って手にとりました。

さて、そんな本書は冒頭でわざわざ『よい子のみんなへ』あるいは『保護者の方へ』と書いているものの、ぶっちゃけ、内容的には小学生向けというより【君主論を既読な大人向けでは?】と思える内容で、某コードなギアスの主人公に似た【なぜか小学生にして詰襟学ラン姿】のひろし君が、小学生の日常や遠足やマラソン大会といった行事において勢力拡大もとい友だち集めをライバル達と繰り広げていくわけですが。

"その他のうぞうむぞう"(いわゆるモブキャラ)を含めて、クラスの登場人物が多いので【何度も人物紹介を見直したりする】羽目になったり、解説書としては一応ちゃんとしているも【"はなこちゃん"の一貫した自信と腹黒さが気になったり】とノイズが(おそらく)意図的に多いわけですが。それはそれ、君主論既読の私には、下校時の駄菓子屋通いとか。はるか昔の小学生時代を懐かしみながら、君主論を復習するかの様に楽しませていただきました。

一方で(そんな人はいないでしょうが)これ一冊を解説書として君主論を理解しようとするには流石に無理感があって、あくまで【マキャベリの君主論に興味をもつきっかけ】あるいは(私のように)二次創作物として【ギャグ的にゲラゲラと笑える人向け】ではないかと思いました。とりあえず大人がイメージする"よいこ"はいません。また、あと。とりあえずプリンが読後に無性に食べたくなります。

そんなわけで、繰り返しになりますが、マキャベリの君主論を知るきっかけとして、また君主論のエンタメニ次創作物として笑える人にオススメ。

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