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では、私はどう生きるか(母という呪縛 娘という牢獄)

素晴らしい本を読みました。

母という呪縛 娘という牢獄

です!
これ以上に発信する価値のあるものはあるでしょうか?
非常に、胸がえぐられるような想いで読みました。
自分事のように、のめりこむものがあり、ノンストップで読了してしまいました。(というか多くの人の幼少期に通ずるところがあるのではないでしょうか)
(本当にあった事件を描いたもので、物語というよりは、実話に対して著者の方がまとめたものになるという感じです)

簡単に概要を私になりに書くと、
(ネタバレもクソも無いのですが、概要すら読みたくないという方はこの先ご注意ください!)
医学部進学のために人生をかけさせられた娘が9浪の末、30を過ぎて母親を殺害する、という事件を描いていたもので、
LINEでのやり取りや、幼少期から現在に至るまで、どのような環境で育ってきたのかが丁寧に記されています。
(著者の方の懸命さが伝わってきます。この方はまだ20代でこの一冊を描いたのだと思うと、私は一体何をやってるんだとめちゃくちゃ思わされました)
なぜ娘さんは母親殺害を最初認めなかったのか、そして認めるようになるまでの描写や心理はどのようなものなのか、
その部分が私は一番、読んでいて吐きそうになるような気持ちの上昇がありました。
(概要というより感想みたいになっちゃった)

これ、本の帯に「学歴信仰」と書かれていましたが、
学歴信仰に限った話ではなく、人間関係そのものの話だなあ、
そしてこの親子が特別異常かと言ったらそうではないのではないか、と思いました。
ですが、学歴という点で言えば、
私もずっと、学歴、学歴、と言われて育ってきたという背景があるので、ますますこの本にのめりこみやすい読者なのかもしれません。
点数をごまかすとか、
テストをコンビニに捨てて見せないとか、
カンニングとか、
(今でもカンニングした時のこと覚えてます。漢字のテストで「集」という字が書けなくて、前の席に座ってる男子のを盗み見ました。その男子は多分30点とかで、私は100点でした。その男子はめっちゃ頭悪いとか言われてましたけど、私の100点はその子が分かって私が分からなかった答えで成り立ってたということです。ぶたれたりひどい言葉を回避出来るのならカンニングするしかない、といった具合でしたが、何十年もたった今でも覚えているくらい、苦い思い出です。)
よくやったな、と思います。
そうでもしなければ生き延びられなかったと思うほどの恐怖みたいなものが、この本を読んで蘇ってきた感がありましたし、私の周りにそういう子は多かったように思います。
現に、今でも親の管理下から自立出来ず、過度な親の期待を背負ったまま実家から一歩も出れていない友人もいます。
だからこれは特異なストーリーなのではなく、実はよくある日本の家族の風景の一部、というような感じがしました。
(ありふれてて取るに足らないとかそういうことが言いたいのではなく、皆この親子と似たような経験をしていないか?という警笛につながるよね、他人事に思えることばかりではないよね、ということが言いたいです)

子供が嘘をつくのは、そうしないと生き延びられないと思うからだと思います。
人をいじめたり、自傷行為をしたり、騙したり、奪ったり、そういうのって、その子の頭がやばいとか特別悪党とか、そういうことではなく、
その子がそうしなければ生き延びられない何かしらの理由があるんだと私は思います。
でも、そういうことをすると、ますます人から嫌われて自分の居場所はなくなります。
普通にできればそれが一番ですが、普通にしてたら怒られたり自分の身が危険になるので、上記のようなことをせざるを得ないのではないかと。
いやいやそういう調整ができるようにならなきゃいけないんだよ、出来ないのはおかしいよ、未熟だよ、社会のお荷物だよ、
と、言ってその子達の上から土を被せて生き埋めにするのは、いい加減オワコンでは無いだろうかと思う今日この頃です。
ますます子供達はどうか、スマホを手にして、どんな手段でも、外の世界と繋がってくれ、と思う次第です。
(ただこの本ではスマホの中身を全部母親に監視され描いていた小説のペンネームでおちょくられるように呼ばれたり、パスコードを変更されて使えなくさせられたり、母親の監視外のスマホをこっそり使っていたらバレて叩き割られたり、家出するたびに探偵をつけられて連れ戻されたりしたそうです。経済力も生活力も奪われた人は、一体どうしたら逃げられるのでしょうか)

〇〇しなくちゃ生き延びられない、ってことは、実は無い、です。
なぜなら、〇〇しなきゃ生き延びられないのは自分だけであり、他人は〇〇してないからです。
でも、私は幼少期、嘘をつかないと生き延びられなかったのは当時の私にとっては事実です。
「そんなの思い込みだよね、視野狭いかよ」と今の私は嘲笑出来る立場にいますが、当時の私にとっては、あれは事実だったんです。
だから、がんじがらめになっている人のことを私は笑わないし、本当にそうなんだな、って思いたい。
でも、そうしなきゃ生き延びられないってことは、ないんです。
だって、嘘つかなくても今の私は生きてるし、周りに嘘つかず生きてた子はいたので。
嘘つかなくて済む方法は、その場から逃げることです。
言うは易し行うは難し、であることは承知ですが、自分のためにいつかヒーローが現れて都合よく悪党をぶっ飛ばしてくれるなんてことは起きず、
そんな日が来るとしたらそれを出来るのは自分だけだと思います。
自分だけが、自分のために生きることが出来ます。
そしてあの日の嘘ついて生きるしかなかった私に、今の私が出来ることを、もっと探していきたい次第です。
だからこれからも書き続けます。
そして、同時に、私が出来ることを懸命に、探していきたい。

最終的にこの事件の当事者は、母親を殺害する、という方法で逃げ切ることが出来ました。
この方は、
恐ろしい殺人犯でしょうか?
頭のおかしい狂人でしょうか?
普通の人とはちょっと違う、おかしい人なんでしょうか?
これは学歴にフォーカスすべき話では無く、
これは、一人の人間が、自分を選ぶための過程の話だと思います。
自分で自分を選び取る選択をした彼女を、私は尊敬するとともに、
では私はどう生きるか、と自分に問い続けている次第です。


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