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第九章【音楽活動】

第九章【音楽活動】 地元で音楽活動に専念していた頃、 月一でお世話になっていたライブハウスから 「うちでバックアップするからツアーをやってみないか?」と声をかけられた事があった。 「ありがとうございます。 ですが少し考えさせてください。」 僕は迷った。なんせずっと性別を偽って 活動を続けていたのだから。 それにインディーズとして活動するという事は、 ツアー料金もおそらく自己負担になるだろう。 ハウスからチケットを受け取り、 それを完売してハウス代が浮く程度。 そこからの

    • 第八章【成人式】

      第八章【成人式】 20歳になった頃、成人式に出席するか 迷っていた。 定時制高校は4年制であった為、 17歳で高校へ入学した為まだ僕は高校生であった。 一生に一度だから出席した方が良いと 母に言われ面倒と思いつつも 渋々ながら出る事にした。 とは言えそれ以外でも かなり複雑な心境であった。 家族には言っていない事があったのだ。 僕は中学の頃いじめにあっていた。 いじめは学年無視程度のものであり 暴力などは無かった。 たいして気にしていなかったのだ。 その程度は言う必要もな

      • 第七章【2つの心】

        第七章【2つの心】 19歳になったある日、 僕は自分に疑問を持ち始めていた。 僕は僕と言っているが、 性別上は女性であり、 「性別違和」(性同一性障害)である。 男性ともお付き合いもしてみたが、 お付き合いをすると すぐにモヤモヤして気持ち悪くなってしまう。 友達ではいられるのに、 付き合ってしまうとダメになる。 当時自分がよく分からなかった。 付き合っていけばそのうち慣れるだろうと さして気にも留めていなかったのだが、 やはりどうもおかしい…。 唯一友人と呼べる

        • 第六章【我が道】

          第六章【我が道】 中学卒業間近頃は体の調子も大分良くなって おり通院が半年に一回程度になっていた。 ある程度自由な時間や出来る事も増えた為、 好きな事に没頭した。漫画やセル画を描いたり、 アニメの声真似をしたり歌を歌ったり… 自分が出来る事様々挑戦して、 自分の道を模索していた。 高校へは行くつもりはなかった。 結果的に高校へは行く事になるのだが。 見切り発車だったかも知れない。 だが、その時は声優への道を目指して いたのだ。 目標を持って猪突猛進するのも、 若さ故だ

        第九章【音楽活動】

          第五章【入部届け】

          第五章【入部届け】 「そうですか…少し考えます。 ありがとうございました」 中学へ入学し僕は部活動を何にしようかと 迷っていた。 僕は当時漫画やアニメが大好きであった。 アニメの主人公にように カッコよくなりたいと淡い期待を抱き 放課後バスケットの見学へ向かった。 少しだけ体験させてもらい、 入部したい旨を先生へ伝えた。 「ご家族から病気の事聞いたよ。 選手には出来ないけど、ずっと見学で良ければバスケット部に入る?」 先生からの答えはこうだった。 僕は一気に肩の力が抜

          第五章【入部届け】

          第四章【初めての姉】

          第四章【初めての姉】 はっきりした時代は覚えていないが 僕が小学生3年、4年生ぐらいの時に 少しの間姉と暮らした事があった。 姉の父は僕とイルカ君とは違う父であった為に 離れて暮らしていたのだ。 初めて姉と会った時に姉は、 「お世話になります。」と遠慮深げに言っていた。 姉が来てから僕はすぐに姉が大好きになった。 楽しくて、可愛くて、 イタズラをしたくなってしまう相手であった。 その頃の僕は姉がいつでも笑顔でいた理由を考えられる程大人でなかった。 今考えればすぐに分か

          第四章【初めての姉】

          第三章【イルカ君】

          第三章【イルカ君】 僕には2歳離れた兄がいる。 兄と出会ったのは6歳ごろだった。 初めて会った時の兄は可愛らしい良い所の 坊ちゃんの様であった。 僕が入院中の間、両親は殆ど病院で 僕の介護をしていたので その間兄は伯父、伯母の家でお世話になっていた。 伯父、伯母に兄はたいそう大事にされており、 一見すると普通の幸せな家族の様に見えた。 2人は兄のことをいつも愛おしそうな顔で見つめ 実の子供の様に可愛がっていた。 僕はその時に兄の事をイルカの様だと思った。 この夫婦に幸

          第三章【イルカ君】

          第二章【視えていたもの】

          第二章【視えていたもの】 幼少期に母に連れられて通っていた喫茶店が あった。 その喫茶店は鍵の看板が目印でいつも僕の通院の帰りに寄り、母は喫茶店のマスターと話をして帰る事が日課となっていた。 喫茶店の中にはテーブルゲームが並んでいた。 ゲームとテーブルが一体型になった当時では画期的な物だった。 母はいつも角の普通のテーブルに腰掛けていた。 僕が椅子に登りそこからジャンプをして飛び降りる単純な遊びに夢中になっていると 不注意から膝から落ちて怪我をした。 最初は膝から血が吹

          第二章【視えていたもの】

          自小説を書きたくなりました。

          自分の人生を自叙伝的にここに記します。 あまり文章は上手くないので お見苦しい部分もあるかと思いますが 暇つぶしに暖かい目で読んでくだされば 幸いです。 小説のタイトルはまだありません。 第一章【記憶の断片】 五感のうちたった一つ失うと記憶は朧げになる。 人は感覚により生かされていると言っても過言では無いだろう。全く何も感じない状況になった時 人間は気が狂うという。 こんな話を聞いた事がある。 1983年に科学者達がある実験を行った。 施設で行ったとされるパラノーマル

          自小説を書きたくなりました。