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サンフランシスコ大学でデザイン授業の講師をしてきた

こんにちは、トロントでデザインをしていますPitomieです。

昨日、サンフランシスコ大学(University of San Fransisco)のDesign Activismというクラスで、ゲスト講師としてレクチャーしてきました!非常に楽しく、私自身もインスパイアされたので、まとめます。

余談ですが、なんとサンフランシスコ、今森林火災でこんなことになっているらしく…サンフランシスコは朝の9時(トロントは昼1時)だったのに、みんなの部屋が暗かったのはこういうことだった。

外がこんな中、授業に参加してくれたみんなに感謝🙏

授業内容・話したこと

依頼してくれたのは、サンフランシスコ大学はアート&建築学部の教授。彼女とあらかじめ相談し、学部生はあまりサービスデザインについて詳しく学ばないので、サービスデザインやキャリアの発展について話してくれたらということでした。

そのため、アジェンダは以下に設定。

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・サービスデザインとは
・ケーススタディ(私のやってきたプロジェクト紹介)
・サービスデザイナーになった道筋
・Q&A

最初のサービスデザインについては、
サービスデザインってこんなことをやるよ、
フロントステージとバックステージがあるよ、
色んな人々に話を聞いて、彼らのニーズに合わせたデザインをする。だから、デザイナーの頭の中からひねり出すものとは違うよ、という話を。

ケーススタディではヘルスケアの事例を持ち出し、患者さん、介護者、医療従事者など多数のステークホルダーを交えながら、一緒にデザインを作り上げていった例を紹介。

そしてキャリア面では、私は最初は広告からスタートしたことや、もっと社会的な意義のある仕事がしたくてデザインにシフトしたことなどを紹介しつつ、若いデザイナーや学生からよく聞かれる質問をもとに私なりのアドバイスを共有しました。ここでは、単純な話などは避けてかなりリアルな話をしたのですが、これがとても好評でした。

授業を終えてみて

①デザイン授業の進歩
サンフランシスコ大学のデザイン学部生たちと授業をしてみて驚いたのが、まず、まだ学部生なのにデザインの社会的なインパクト創出の可能性を理解していること。また、デザイン学部で勉強しているが、ビジネス視点を持っている学生もいたこと。

授業はただレクチャーを聞いているだけだとつまらないので、こちらから質問したりして参加してもらえるようにしたんですが、最初に「なぜこのDesign Activismの授業を取ったか」「卒業したら何をしたいか」と聞いた時、数名がデザインを使って社会をよくしたいという視点で話してくれました。また、「ユーザー中心型デザインアプローチを取ることで、運営コストが下がるのはなぜだと思うか」という問題は、正直当てずっぽうでもいいからと思って出題したのですが、「最初からユーザーのほしいものをつくることで、やり直しや改善が減る」というかなりいい答えが来ました(加えて、私の方からコストが下がる他の理由も説明しました)。

私たちの頃のデザイン学部って、もっと技術的な意味での「デザイン」が中心で、新しいものといえば情報デザインあたりだったと思うんですが、今のアメリカの大学のデザイン授業はかなり進歩したんだなーと。また、学生からの質問もレベルが高く非常によかったです。

これから卒業するデザイナーがこういう社会的な視点を持って、世の中をよくしたいと思っているなんて、デザイン業界のこれからも希望が持てるじゃないか、と嬉しく思いました。

②リモート授業の可能性
こうやって、カナダとアメリカという別の国、また東海岸と西海岸という別のタイムゾーン(時差3時間)でゲスト講師が呼べるようになったのは、リモート授業ならではだなと。

サンフランシスコ大学(デザイン学部)はもともとキャンパス授業用プログラムなので、Covidでの変化や対応は学校としても学生としても大変だったそうですが、こういう、リモートになったからこその新しい授業の可能性やメリットもあるよね、と教授と話しました。

もらったコメント

とっても嬉しかったのが、学生さんたちが(森林火災の影響を受けながらも)授業に積極的に参加してしてくれたことと、後でたくさん感謝のコメントをくれたことです。

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私が初めに広告からキャリアをスタートしたこと、途中で「これは私が人生を通してやりたいことではない」と気づいてキャリアチェンジしたこと、デザイン戦略を学んだけれどいきなりそういう仕事ができた訳ではないことなどなど、かなりリアルな話をしたので、それがとてもよかったというコメントが複数。

サービスデザインというデザインのあり方を知れてよかったというコメント。

そして黄色くハイライトされているのは、「非白人・女性の講師が来てくれてめっちゃ嬉しい!だって、もっとリアルな話が聞けたから」というもの。共感した他のクラスメイトがハイライトと「YESS」というコメントをつけてくれました。笑

これは、北米ではかなり現実的な話で。私の通ったデザインスクールも、トロントという人口の半分が外国生まれという多様な都市にも関わらず、フルタイムの教授は全員白人だったんですよね。しかも、社会格差をデザインで解決しようというプログラムにも関わらず。この格差は、アートやデザイン界隈では(また他の業界でもほとんど)まだまだ深刻な問題です。だから、私もこのコメントをしてくれた学生たちの気持ちがよくわかるし、そんな彼女たちに少しでも勇気や希望を与えられたのであれば嬉しいです😊👏

ちなみに、依頼してくれた教授(白人女性)もこのコメントを見て、少し驚きながらも喜んでいました。彼女自身、もっと授業に多様性を取り込んでいかなければと考えている人ですし、そういう背景もあって私に仕事を依頼してくれたので、学生たちは気づいていないかも知れないけれど、彼女のような教授がいるのはラッキーなことです。

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「ゲスト講師として来る人たちのアドバイスは『壊れたラジオ(同じことばかり言う、の意)』みたいなことが多いけど、新しい視点やもっと考えるべきことを教えてくれたからよかった」というのは、学生のリアルな声だなーとも😅

当たり前だけど、こちらが教えに行くだけじゃなく、学生からも講師や教授が評価されているんですよね。アメリカはとりわけ授業料が高いから、特に価値のある内容を届ける必然性が高いなと思いました。

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いかがでしたか?

最近はずっとリモートで勉強しているので、講師やゲストスピーカー、ライターとしてデザイン、留学、移住についてのお仕事依頼がありましたらお声がけください。Twitter: @Pitomie 🕊

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