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初めて審査員になってみた―M-1グランプリ2021―

ここ数年、特にたのしみに観ていた、漫才師の頂点を決める『M-1グランプリ』の決勝戦。


毎年、私は夜からの決勝戦をTVで観る、ということが通例だった。
それ以外あまりなかった。

でも、カジサックがきっかけでYouTubeを見始めてから、M-1オタク(でありながら決勝戦を3回経験している)であるカジサックの影響もあり、より前傾姿勢で観るようになった。2019年大会からのことだ。

そして、M-1出場世代の”推し”ができた。
いちばんはニューヨーク。そして、人柄やニューヨークとの関係性がよくて見取り図も応援していた。

ニューヨークは2019年から2年連続、キングオブコントを入れると4回連続決勝進出コンビとなっていた(キングオブコントでは2020年準優勝)。
見取り図は、その前の2018年大会から3年連続決勝進出。昨年、2020年には最終決戦の3組にも選ばれた。

ユニットライブをするほどの仲良しなこのふた組の、決勝で闘う姿を、私はたのしみにしていた。

今、ニューヨークと見取り図は、どちらもメディアに引っ張りだこである。スケジュールがすでにパンパンの中で挑む大会は、なかなか大会自体に照準を合わせにくいだろう、とは、思っていたけれど。


けれど、、、、、、



、、、、、、まさか、どちらも、準決勝で敗退するとは。


どちらかは行ってくれると、勝手に思ってしまっていた。

メディアに出ていても、漫才をする場に不足はなかった。吉本の劇場にも引っ張りだこで、ステージに立ち続けていた。

でも、これはもう、仕方がない。


彼らには、敗者復活戦というチャンスが与えられる。

他にも有名な顔、実力者が、たくさん準決勝で敗退した。その16組の中でたった一組に選ばれるのは、本当に、狭き狭き門になる。
でも、可能性はゼロではない。



地方住みの私は、夜の決勝戦に先駆けて午後から生中継で放送される、敗者復活戦が観られる地域にいること自体も知らなかった。
今まで観ようとすることもなかったのだ。


でも、これは、見届けなくては。


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12月19日。

15時前、TVの前にスタンバイ。

MCの陣内智則さんの顔になんだか安心しながら、放送で言われた通り、国民審査のできるサイトをスマホで起動させてみた。

敗者復活戦に臨む全組の写真が、出番順に並んでいる。
そこに、点数を、自分でつけられるようになっており、一組終わったら次の組、また終わったら次の組と、つぎつぎ点数をつけられるように更新されていく。
つける点数は、最後によかった3組を投票するための参考になるよう、メモ程度の機能となっている(後で変更も可)が、ときどき、現在の国民の採点状況がネットで情報収集、集計され、それまでの出場組の平均点が、会場のモニターに映し出される。

すごーい!

初めて、誰かの漫才に採点したので、システムもそうだし、いろいろ初めてでたのしかった。

これが、敗者復活戦の国民投票なのか。


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YouTubeで、3回戦~決勝戦、敗者復活戦のネタが公開されているのは昨年も知っていて、そこで観たりしたことがある。

昨年。

「敗者復活戦でのぺこぱへの票はファン投票(人気だけで入れられたもの)だ」
という誹謗中傷的な意見が、YouTubeの動画のコメント欄で飛び交っていて、みていて嫌な気分になったのを覚えている。
でも、そのとき、投票の仕方など、詳しくは知らなかった私。
ぺこぱは、2019年のM-1旋風から人気がすごく、インパクトのあるキャラクターとやさしい人柄、”ひとを傷つけない漫才”と名付けられた芸風で大ブレイクしていた。
本当にファンが競合したのかどうかはわからない。
でも、あの有名になりすぎた肯定ツッコミをちゃんと変化させていたし、多忙すぎるスケジュールの中よく敗者復活戦で戦えるところまできたな、と正直思っていた。
松陰寺さんの、”M-1にチャレンジするか迷った末に出場を決断した”というブログも読んでいた。
ぺこぱも、多忙な中でチャレンジしてしっかり審査されてここまできたのに、心外だろうな、でも言えないだろうな、予測はしていただろうなと、ものすごく私はもやもやした。


、、、、、、という、私の記憶があって、今回、たまたま”推し”のふた組が出場するからと、敗者復活戦をみて、投票もやってみた。




私の検証結果。



これは、もしどんなに自分が応援する推しの組でも、そのときのネタがおもしろくなかったら3組の中には選ぶことができないシステムだな、と私は思った。


お笑い自体がすきならば、とくに。


自分の期待以上にいいネタが観られて、すきなひとが闘う緊張感よりも、自身が”おもしろい”と感じ、心から笑えなければ、”推し”を、決勝の舞台に責任をもって”推す”ことは、できないなぁ、、、、、、

、、、、、、と、やってみて感じた。

※なお、昨年と方式が同じかどうかはわからない。


実際、採点の画面をスクリーンショットすることは忘れてしまったが、
最終的に私が選んだ3組は、
・ニューヨーク
・アルコ&ピース
・ダイタク
だった。
(自身の採点に忠実に、高い点数順に3組選んだ。)


、、、、、、うん、結果を知っている方は、この3組誰も決勝戦に出ていないことはわかるだろう。笑


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・ニューヨーク

推し。「策はある」と言っていたが、こうきたか。ご本人公認、稲垣吾郎さんのプライベートの勝手な妄想をネタにした漫才。緊張して見始めたけど、もう、嶋佐さんのステージいっぱい使った動きと表情も、屋敷さんのセリフも絶好調で、心から爆笑した。(笑えた自分に安心した。)


・アルコ&ピース

アルピーワールド。漫才というカテゴリーかどうかはもうよかった。ストーリー性のある内容に、気づいたら惹きこまれていく自分がいて。それがすごかったから選んだ。ふたりの演技力かな?なんだか、ドラマを見ているようだった。


・ダイタク

ニューヨークの良き先輩なのは知っていたが、ネタは初めて観た。一卵性の双子ならではのあるあるがたまらなく面白いんだけど、めちゃくちゃリアルで。「そっかー!そうだよなー!」と思ってしまう。テーマは、弟のタクさんが亡くなったときの葬式に、兄のダイさんが参加したら起こりうること。もっとネタを観たくなった。初見、という利もあるかもしれない。


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、、、、、、ここに、私は、見取り図を入れられなかった。

ごめんね見取り図。


期待が高すぎた。それだけ。

ステージをところ狭しと動き回って、裏まで使うのではという勢いで、ふたりはたのしそうだった。

でも、もっと笑いたかった。
個人差はもちろんあると思うけれど、なぜか、大爆笑するところまでいかなかった。
どうしてかは、専門家じゃないから、感覚でしかわからない。

※改めて観てみたら、飛沫のくだりが気になったのかもしれない、、、、、、


でも、そんな些細なことで、審査に影響するんだ。
審査員されるほうもそうだし、審査するほうも、本当に神経が磨り減るなぁ。
私は、視聴者投票をたのしんでやったまでだけれど、決勝戦の審査員なんか、プレッシャーがどれほどのことか、、、、、、



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夜に行われた決勝戦。

笑御籤(えみくじ)に”敗者復活組”というスティックが足され、他の決勝進出者と同様に、それが引かれた時点で復活できる組が発表され、敗者復活会場から駆けつけてそのまま決勝戦のステージに到着次第即ネタ披露。

昨年は、最初にいきなり、敗者復活組がネタ披露をすることになったが、
今回、敗者復活組の出順は、5番目となった。


寒の夜、敗者復活戦を終えたテレビ朝日の屋外エリアからの中継。
ここで、敗者復活戦の視聴者投票の結果が発表された。

その、視聴者投票の結果は、

、、、、、、ニューヨークは8位、見取り図は4位。


そっか、、、、、、


復活はこのふた組(見取り図、ニューヨーク)が固い、と世間的にも言われている中、どんな気持ちだろう、、、、、、
と思いながら、3位以上が確定し登壇した金属バット男性ブランコハライチの3組を私はTVで見つめていた。


復活できたのは、ラストイヤー(結成15年目)、4年ぶりにM-1にチャレンジしたハライチだった。

私はハライチのふたりと同い年という親近感もあり、”よかったね!おめでとう!”と、素直に喜んだ。

そして、決勝戦のスタジオに着いたハライチは、敗者復活戦で見せたネタとは全く逆の、岩井さんがステージを暴れまわるネタを披露した。

↑敗者復活戦。

↑決勝戦。


その後、敗退は決まったものの、

澤部「たのしい15年間でしたよ、ありがとうございました!」
岩井「M-1グランプリありがとう!たのしかった!」
澤部 (岩井さんを指して)「さわやかぁーーー!」

と、暫定ボックスの3位席から言い放って去っていった。


、、、、、、最高の敗退の仕方!!!!

岩井さんのやりたかったネタができたようで、TVでは見たことのない、こんな顔することがあるんだ!と思うような、晴れやかな岩井さんの顔が忘れられない。すごくよかった。



決勝戦については、”推し”が少なかったことや、敗者復活の応援に賭けてしまったことによるパワー不足などがあって、がっつり全ては観られていない。
(鬱病患者は疲れやすい)
家事などしながら観ていたので、ところどころ抜けている。

ただ、審査員が全員困惑した様子だった”ランジャタイ”のネタには、家族全員で大爆笑した。

控室からステージへ向かうときからもう、廊下に並んだ歴代のファイナリストの写真をじっくり眺めるなど、ボケの国崎さんがたのしんでしまっている。
テレ朝の『もう中学生のおグッズ!』に国崎さんが出演したとき、もう中学生さんの世界観に負けないくらいのワールドを持っていることを知ったので、たのしみにしていた。想像以上だったし、これで”漫才”としてよく決勝まで審査されてきたな、というのが、冷静に考えたときの感想。でも、とにかく、無条件に笑っちゃう。ずるい。


そして、
「優勝するんだ絶対に!」
とTwitterでしきりにアツく(伊藤さんが)つぶやいていたオズワルド
ネタ披露後には拍手してしまった。完璧だ。

ツッコミの伊藤さんの声のトーンが低いのがいい、高いのがいい、というのでここ2年、審査員の意見を受け悩んだようだったが、その、声のトーンがどうとか全く感じさせない、素人目にも”オズワルドは進化したな”と、みてわかるくらいの変わりようだった。審査員のナイツ塙さんも、「(出場した)6000組の中でいちばん漫才がうまいんじゃないか」という賞賛の声をあげた。


そして、昨年は敗者復活からのトップバッター、テンポのいい漫才でコロナ禍での大会を明るくしてくれた、インディアンス

このコンビも決勝常連になっている。ボケの田渕さんがうるさいなぁと私が思っていたところから、癖のない明るさになり、そして今では登場だけでハッピーな気分になるところまで、私の印象はよくなってきている。軽快な、どんどん出てくるボケ数がすごい。インディアンスもまた、日々の努力で進化してきたのだろう。


※ちなみに、
私は専門家でもディープなオタクでもないので、どこがどう、というより、受ける印象や感覚での話しかできない。薄い意見でごめんなさい。



そして昨年最年長でエントリー、決勝まで勝ち進み、話題を集めた錦鯉

「パチンコのネタは子どもにはわかりにくい」という、昨年の審査員からの助言を生かしてネタを作ってきたそうだ。

今回またチャレンジすることにも、決勝まできたことにも結構すごいと思った。もちろん、ネタの中身も、昨年からは少し進化しているが、渡辺さんのツッコミがより賢い、的確な感じになった。そして、どこまでも”おバカ”を貫く(長谷川)まさのりさん。どこまでも”おバカおじさん”なワールドなんだけど、よりしっかり考えられたワールドになった気がした。



そして、このオズワルド、インディアンス、錦鯉が最終決戦に進むこととなった。

今年の決勝戦では初出場組が6組。新しい顔ぶれが多い中でも、昨年までの決勝戦の経験者である3組が、しっかり最終戦を勝ち取ったこともまたおもしろい。



最終決戦は、正直、3組ともおもしろくて、優劣が特に感じられず、それぞれの味が出ていたので、どの組が優勝してもいいなぁと思っていた。
※しいて言えば、だいすきなもう中学生さんをネタに入れてくれたインディアンスには拍手した。





7人の審査員のうち5組が、錦鯉に投票。

50歳と43歳の、新チャンピオンが登場した。


錦鯉が優勝したことに関する思いは、ここに書いている。



錦鯉の優勝を受けて、彼らがその後寝ずに朝もTVに出づっぱりになることに対しての不安、心配はしてしまった。どうか、体だけは壊さないでほしいところだ。


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私の、今年のM-1グランプリはこんなところだ。


推しのニューヨークは、敗者復活できずにいつも通り、日曜22時からの『ニューヨークのニューラジオ』の放送(YouTube)をしていた。
8番という順位に恥ずかしがっていたが、移動中以外は、純粋にM-1ファンとして決勝を観てたのしんでいたようだ。


そして、見取り図は、やりきったと話している。”一生会える芸人”だから、是非生で劇場に見にきてほしいと呼び掛けている。来年への挑戦は明言していない。



そして、私のM-1を締めくくるのはカジサックの動画を観てからだ。

このM-1オタク兼漫才師に、毎年お笑い好きがあつまるので、M-1に関して思ったことを、自己満にコメント欄に書かせてもらうのが私の通例。

↓今年は、間違ってこれを先に再生してしまったが、これは『毎週キングコング』だった。相方西野さんが不在のため梶原さんひとりで、カジサックの事務所で撮影していたため紛らわしかった。まあいいのです、より正直な彼が話しているのはこちらなので。


誰かと共有できる場をくれてありがとう、カジサック、そして梶原さん。



そして、こうやっていっちょまえに素人が勝手なことを書いていていいのかな、、、、、、

本当は、お笑いって審査されるものじゃなくて、誰かを笑顔にするものなんだよな、、、、、、


ただ、賞レースがなかったころの芸人さんの話を聞いたりすると、こういう大会があることは本当に芸人さんにとってのモチベーションになるから、必要なんだと強く思う。
そして、みていて応援したくなるし、こういうときに出る人柄などがみえたりすると、”推し”が生まれる。

”推し”は、ひとりでもいいけれど多い方が、しあわせになれる瞬間がたくさんできて、たのしい。


こういう、鬱病で沈んでいるような人間に、笑うきっかけをくれる芸人さんに、心から感謝している。

笑えるって、元気じゃないと、できないこと。

そう考えると、笑わせることって、どれだけのパワーがいるんだろう。



あーーーーーもう、今年も、漫才師さん、コント師さん、ピン芸人さん、YouTubeの芸人さん、みんなありがとう。


お笑いは、ひとを生かしていると思う。

実際、私が生かされていると感じる。
死にたくなっても、流れていたバラエティーを何気にみていて笑ってしまった、あの時の不思議な感覚を忘れない。



ひとをたのしませようとがんばっているすべてのひとに、心からの感謝を。




みんながたくさん笑える未来が、平等に訪れますように。

未熟ですががんばっております。治療費にあてさせていただきたいです。よろしくお願いします。