五感体験こそ授業には必要:VRにはできない

初めての理科の授業

僕はいつも理科の授業を理科室でやる時は
学年の初めに「理科室・理科準備室の探検」をさせます。

今から理科室と理科準備室の探検をします。
どこに何があるか、机の引き出しを開けて見てください。
ただし触ったり取り出したりはしないでください。
見るだけです。

では、20分間です。どうぞ。

子どもたちはそんなことはしたことがないので
興味津々で理科準備室の標本や様々な機械や実験器具を
見てまわります。

これを最初にやっておくと
どこに何があるかわかっているので(うろ覚えでいいのです)
天秤を持ってきて用意して、とか
振り子を用意してとか
言った時にすぐに場所がわかるのです。

理科準備室に入ったことがなかったという子もいます。
立ち入り禁止にすればするほど
理科好きからは遠ざかってしまいます。

さて戻ってきた子どもたちに「大豆」を
班ごとに分けました。
子どもたちは大豆ということを知りませんでした。
そこで黒板に「大豆」と書いて
「食べてごらん」と言いました。

子どもたちはびっくりしたような顔をしていましたが
僕が食べ始めるとおっかなびっくり「ガリガリ」と
やり始めました。

「う~~、げ~、まじい~~~!」
「キャベツみたいな味だ」と口々に感想を言っています。

僕が大豆の袋を持ち上げて袋に書いてある文字を
冗談まじりに読み上げました。

「え~~と、鳩のエサって書いてある。」
「げ~なんでこんなの食べさせるんだよ~」

そこで
「冗談、冗談。大丈夫、新しい大豆だから」と言って
安心させました。

さてここで「大豆」というものを五感の最も鋭い部分
味覚で感じ取ったのです。
こういう体験こそ教育には大事なのです。
バーチャルではできません。

「どうやったら芽が出ますか」

次々と意見が出ました。

1 傷をつけて水につけ冷蔵庫に入れる。
2 水にしばらくつけて土に植える。
3 そのまま土に植えて水をかける。
4 わたに湿らせておいておく。
5 お湯で少し温めてから土に植える。

それぞれ実験することになりました。

僕が準備しなくても
保健室にわたをもらいに行く子、
職員室の冷蔵庫に入れに行く子、
フラスコでお湯を温める子。

「先生、しわになってきた!すごい!」
(私のシワが増えたのではありません。大豆のです。)

「すごいよ、大発見だよ、ノートに書いておきなよ。」
褒めてノートへの記録の大切さに目を向けさせました。

意見を出させてそれをそのまま自由に実験させるのです。
そんな実験方法は教科書にも書いてありません。

教科書というのはあくまでベースであって最低限。
それ以上のことを教え気付かせていくのが教育なのです。


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