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2011東大国語/第四問/解答解説(再録)

ゴールデンカムイの実写化が話題ですが、、

今福龍太「風聞の身体」より

問四 「象徴的な交感と互酬的な関係性の地平」(傍線部エ)とあるが、どういうことか、説明せよ。(60字程度)

内容説明問題。A「象徴的な交感」とB「互酬的な関係性」について説明する。締めの「地平」については「広がり」くらいの意味だが、「どういうものか」ではなく「どういうことか」と問うているので、AとBの内容を具体化すれば事足りるだろう。
Aの解答根拠は、前⑥段「しかも」の後(その前が問一問二の領域)から、⑦段の冒頭3文(問三の領域)を飛ばして「そのうえで」以下の傍線直前までとなる。Bの解答根拠は、「互酬性の観念にもとづく…民俗信仰」について述べてある③段落である。
Aについては、「象徴」と「交感」を表現したい。⑥段の終わり2文を参考にし、「狩り(という具体的な行為)を通して/圧倒的な野生へと/自己を開き/没入する」とまとめた。その上で、Bは「互酬」つまり「人間」と「熊/神」との相互的関係を説明する。③段の3文目4文目を参考にし、「贈与として熊の身体を戴いたことの/返礼を熊神に捧げ/熊の魂を天上にかえす」とまとめた。

→「至高の現代文/解法探究29」「2. 術語の語義への配慮」参照

〈GV解答例〉
狩りを通してアイヌは圧倒的な野生へと自己を開き没入し、贈与として熊の身体を受領したことの返礼を熊神に捧げ、その魂を天上に返すこと。(65)

〈参考 S台N師解答例〉
アイヌの民俗信仰では、人間と人間を超える存在とは、物質的・精神的交渉を行う、純粋に贈与経済的な間柄にあるということ。(58)

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