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京都大学/国語(現代文)

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2019年2月の記事一覧

2016京都大学/国語/第二問(理系)/解答解説

2016京都大学/国語/第二問(理系)/解答解説

【2016京都大学/国語/第二問(理系)/解答解説】

〈本文理解〉
出典は樺山紘一『情報の文化史』。
前書きに「中世のヨーロッパ社会でさまざまな情報がいかに伝達され、共有されたかを考察した文」とある。
①②段落。マイクロフォンとスピーカーによって、人声を同時に多人数に伝達ができるようになるまえ、ひとはいったいどうやって意思をつうじあっていたのだろうか。…直接、肉声をもって語りかける演説や説教とな

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2016京都大学/国語/第二問(小説)/解答解説

2016京都大学/国語/第二問(小説)/解答解説

【2016京都大学/国語/第二問/解答解説】

〈本文理解〉
出典は黒井千次「聖産業週間」。筆者は「内向の世代」の作家(他に古井由吉、小川国夫など)。

(前書き) 怠惰で仕事に対して冷笑的な態度をとってきた会社員田口運平は、ある日から突然仕事に猛烈な情熱を示すようになる。次の文はその心境の変化の経緯を記した田口の手記であり、その心境の変化のきっかけとなった田口の息子の行動を記した部分から始まる。

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2016京都大学/国語/第一問(随想)/解答解説

2016京都大学/国語/第一問(随想)/解答解説

【2016京都大学/国語/第一問(随想)/解答解説】

〈本文理解〉
出典は松浦寿輝『青天有月』(随想)。
①段落。P・G・K・カーンとS・M・ポンピアは一九七八年に発表した論文の中で、現存種のオウムガイの殻の表面に見える成長線を数え、隔壁の間に挟まれた小室の一つ一つに平均三十本の細線が含まれること、その数はどの殻を見てもまた同じ殻のどの小室を見てもほとんど変わらないことを報告している。深海に住む

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2017京都大学/国語/第二問(理系)/解答解説

2017京都大学/国語/第二問(理系)/解答解説

【2017京都大学/国語(理)/第二問(評論)/解答解説】

〈本文理解〉
出典は安藤宏『「私」をつくる 近代小説の試み』。
①段落。今日ごくあたり前に使われている「言文一致体」は、明治二〇年頃から明治四〇年近くまで、およそ二〇年かけてようやく一般化していった。(具体)。
②段落。言文一致の利点は、なんと言ってもその平明な「わかりやすさ」にあったのだが、これと並び、当時しばし長所とされたのが

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2017京都大学/国語/第二問(評論)/解答解説

2017京都大学/国語/第二問(評論)/解答解説

【2017京都大学/国語/第二問(評論)/解答解説】

〈本文理解〉
西郷信綱『古事記注釈』。
①段落。「「古事記伝」は不壊の書だが、それに追随すればすむというのではない」(傍線部(1))。私たちはもはや、宣長が古事記を読んだようにそれを読まぬ。(具体/宣長の読み)。宣長には、天皇を中心とする国家というものが、一つの動かしがたい規範的観念であった。私たちには、私たちの文脈において古事記を読み直す

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2017京都大学/国語/第一問(随想)/解答解説

2017京都大学/国語/第一問(随想)/解答解説

【2017京都大学/国語/第一問(随想)/解答解説】

〈本文理解〉
出典は串田孫一「山村の秋」(1962)。
①~③段落。今日思いがけなく、古い友だちから葉書を受け取った。山の奥の村に移り住んでもう三年になり、再び都会の生活に戻ることもあるまいから住所を知らせておくという、それだけが書いてある葉書だった。その数行の文句を、一字一字見ているうちに、何という贅沢な奴なのだろうと思った。「まさか何とい

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2018京都大学/国語/第二問(理系)/解答解説

2018京都大学/国語/第二問(理系)/解答解説

【2018京都大学(理系)/国語/第二問/解答解説】

〈本文理解〉
出典は湯川秀樹「科学と哲学のつながり」。筆者は日本人初のノーベル賞受賞者(物理学賞)。
①段落。「科学には限界があるかどうか」。科学が自身の方法で、人類のために厖大かつ永続的な共有財産を蓄積しつつあるのを見ると、科学によってすべての問題が解決される可能性を、将来に期待してもよさそうに思われる。しかしまたその反面において、人間のさ

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