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「対話力」と「リーダーシップ」

法律用語というのは、非常に難解だ。
学んだことのない人にとっては、
チンプンカンプンなものも多いだろう。

難解な法律用語には、必ずそれが何を
意味するかの定義が付いて回る。
法学部に学んだことで、大きなメリットを
得たなぁと思うことの一つに、この
「定義を大切にする」
という態度、姿勢がある。
そうやって、どんな意味かをあらかじめ
明らかにすることで、議論するための
基礎、基盤
を作っている。

定義できるということは、
本質を掴んでいることに通じる。
ある概念を定義するためには、
その本質が分かっている必要がある
ことは、想像に難くないだろう。

その定義も、定義できればよいと
いうものでもなく、いかに他人に
とって分かりやすく定義できるか

重要だと考える。
ここでも、やはり本質をしっかりと
掴んでいるかどうかがカギを握って
いる。
本質を掴んでいれば、誰に対しても
分かりやすく説明できる可能性が
高まると思うからだ。

大学時代の恩師が、ここのところ
立て続けに本を出されている。
直近で出たばかりのものがこちら。

「対話」の重要性は高まる一方なのに、
日本人には「対話」が足りない!
「対話力」が足りない!

そんな問題意識から、どうやって
「対話力」を身に付け、それを活かして
いくかを論じた本。

最初から最後まで、とても安心して
読み進めることができたその理由は、
丁寧に言葉を「定義」しながら論じて
いたから。
「対話」とは?
「対話力」とは?
「議論」との違い
「交渉」との違い
混同しそうな類似の言葉や概念を、
類書も引用しながら丁寧に説明し、
論を進めている。

本書が定義する「対話」とは、

意見や考えが異なる人と、対立を恐れずに行う話し合い

であり、なおかつ

複数人の中で展開される一対一の話し合い

であるという。
この「対話」を行うことで、
自分と相手の違いを明確にし、
その相違を克服し、
問題解決へとつなげていく。


当たり障りのない「会話」や、
自説をぶつけ合う「議論」とは異なり、
問題解決というゴールへと近付くために
リーダーシップが求められる。

だからこそ、恩師はずっと
「対話力」「リーダーシップ」という
言葉をずっと声高に唱えてきた。

法律家(法学部教授)である恩師が、
なぜリーダーシップを語るのか、
今一つピンと来ない時期もあったが、
それを理解する補助線がこの本の中に
全てまとまっているように感じる。

「対話力」と言えば、つい最近こちらに
書いた「1 on 1 ミーティング」も、
まさに上司と部下の間の「対話」だ。

こちらは、組織の成長や成果を目指す
組織論の側面からのアプローチという
色が濃い。

人と人との間のコミュニケーションや
リーダーシップに関する分野は、
仕事の基本中の基本であるがゆえに、
様々な学問分野から、ありとあらゆる
アプローチ
がなされていて、その軸の
取り方、整理の仕方により、様々な論が
展開されている。
ただ、本質的な部分では、どれも通底
している
のは間違いない。

タイトルに「すゝめ」とある通り、
この本はあくまでも入門的内容。
それゆえ、できるだけ多くの人に
この本を手に取ってもらいたいが、
そのためにはもう少しタイトルや
表紙のデザインに一ひねり欲しい
ところ。

しかし、恩師曰く、このタイトルが
決まるまでには色々と背景があり、
出版社との度重なる対話を経て、
ようやくここに落ち着いた様子。
「対話学」という言葉を前面に出し、
日本にこの考え方を広める強い
意気込みあってのネーミング。
読みやすいと思うので、是非手に
取ってもらえたら嬉しい。

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