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初めての給食当番1話★  小学一年生の物語 食育と学校生活のルール 児童小説 先生の考え方

1章★学校生活スタート!

僕の名前は、マサムネ。

小学1年生になったんだ。

クラスは、1組。

入学式は終わったけど、まだ勉強も給食も始まらない。
最初に始まったのは、学級会だった。

「最初の学級会は、学校やクラスのみんなに慣れる時間です。みんなで楽しみましょう!」

1組の担任、藤原先生は そう言って自己紹介を始めた。

「先生は大学生の時に、小学生の家庭教師の仕事をしたんだ。
その時に、子供の為に良い先生になりたいと思って、小学校の先生になる事を目標にしたんだ。」

(へぇ~。)

僕が そう思うと同時に、先生はニッコリ笑った。

「先生が良い先生かどうかを決めるのは、校長先生ではなく生徒の皆です。

だから、先生は皆の気持ちをよく知りたい。」

その時、僕は先生と目が合って ドキッとしちゃった。

「次は、皆に自己紹介をしてもらいます。
何を話しても良いけど、話すのが苦手な子は先生が用意したテーマについて話してね。」

先生は黒板に【今まで読んだ本】とか、【幼稚園の思い出】とか、テーマを書いた紙を貼った。

僕は【好きなアニメ】について話すと決めた。
すぐに出番はやってきて、大好きなアニメ【スミジロウの鬼退治】を見て、ワクワクした時の事を話した。
僕としては、なかなか上手く話せたと思う。

その後は、クラスの皆で対戦ゲームをした。すごく面白かった。

僕の住む街は小さいから、クラスには同じ幼稚園に通っていた子が沢山いる。

でも、同じ班のヒロ君は初めて会う子だった。ゲームをしたら、たくさん話せて仲良くなれた。

キーンコーン カーンコーン

2時間目の学級会では、【学校での生活の仕方】の話になった。この話が始まると僕は ちょっと焦った。

机やロッカーの中の整理整頓、連絡帳に書く事、体育の授業の準備、給食や掃除のルール。
他にも、沢山の学校のルールを教わった。

学校って覚えなきゃならない事が、いっぱいあるみたい。

「毎日、時間を気にして動きましょう。
そして、自分の事を自分で できるようになりましょうね。
そうすると、誰かを助けられるようになれます。それは、とっても素晴らしい事ですよ。」

最後に 先生が こう言って、2時間目は終わった。


キーンコーン カーンコーン

3時間目の学級会が始まった。

「みんなで学校の中を見て回りましょう。」
先生が そう言ったので、僕は嬉しかった。
ずっと座って話を聞いているのは、少し退屈だったから。

教室を出て、生徒は二列に並んで歩いた。

「ねぇ、学校の怪談って知ってる?」

(えっ!?)

トイレの前を通った時に、後ろから男の子の声が聞こえた。稲垣シュンジ君の声だ。

(・・嫌だなぁ。怪談って、怖い話だよね。僕は苦手。)

それなのに、そんな僕の事を気にせずシュンジ君は話し出した。

「男の子のトイレの個室には、幽霊の便太郎がいるんだ。
【ウンチをしたのに、トイレットペーパーが無い~!】って叫んで出てこれないんだよ~。」

(えぇ~!?誰か助けてあげなよ~!)

僕は、思わずツッコミを入れた。
それからというもの、どこへ行ってもシュンジ君の話が気になった。

「誰もいない真夜中の体育館で、ボールを擦る音がするんだよ~。」

(えぇ~!?それは、天才バスケットマンが、キャプテンに認められる為にボールを磨いているに違いな~い!)

「真夜中に校庭に出ると、逆上がりができない幽霊が1人で練習しているんだよ~。」

(メッチャかわいそうじゃ~ん!)

「音楽室にいる弁当ベンの幽霊は、ドイツ仕込みのソーセージ弁当を食べさせてくるよ。
一口食べたら、ジャジャジャーンってなるよ~。」

(ソーセージ、メッチャ食べたーーい!)

「理科室にあるホルマリン漬けのカエルの名前は、ゲロッピ。
内蔵を見せてやるぜ、ゲロゲ~ロ!」

(ゲロッピって名前、可愛いじゃ~ん!)

「最後は、給食センターへ行くよ。
みんなの為に ご飯を作ってくれる所だよ。」

(うわあぁ~!先生が喋った~!)

突然 先生が話しかけてきたので、僕は驚いてしまった。
シュンジ君の話に夢中で、先生の事を忘れていた。

「給食センターには、モッタイナイババアっていう妖怪がいるよ。
食べ残しをする子を、ゴミと一緒に捨てちゃう妖怪だぞ~。」

 (ええぇ?それじゃあ、野菜が苦手な僕は捨てられてしまうじゃないか~!)

シュンジ君の話を聞いて怖くなった僕は、先生の背中に くっつくように歩いた。

「ここが、給食センターだよ。」

先生がそう言った時、給食センターの中で動く人影が見えた。

(ぎゃーーっ!?モッタイナイババアだぁ!)

「あら、こんにちは。」

顔を青くした僕の前に現れたのは、普通の女の人だった。

「はじめまして。私は、給食のおばちゃんよ。」

女の人が笑顔で そう言うと、先生も笑顔になった。

「ご飯を作ってくれる栄養士さんです。
これから6年間、お世話になります。
みんなで挨拶をしましょう。」

「よろしくお願いします。」

僕達は、声を揃えて挨拶をした。

(な~んだ!モッタイナイババアなんていないじゃ~ん!)

「さて、それじゃあ、教室に戻って給食当番の話をしようか。」

先生が教室に向かって歩き出したので、学校の怪談ツアーは これにて終わり。 


2章★給食当番って、なあに?

キーンコーン カーンコーン

休み時間が終わって、4時間目の学級会が始まった。

「それじゃ、木曜日から始まる給食当番についての話をします。」

先生は、大きな紙を黒板に貼った。

【きゅうしょくとうばん きゅうしょくぎ】という文字と、白い服を着た子供の絵が描かれている。

「生徒が給食当番になって、ご飯を配ります。その時に給食当番は、給食着を着ます。この袋に入っているよ。」

先生は壁に掛かった白い袋を持つと、中から白い服と帽子を取り出して僕達に見せた。

「これが給食着です。
給食当番の子は、4時間目の授業が終わったら、手を洗って この給食着を着て帽子をかぶりましょう。
洋服に付いたゴミやバイキンが、給食に入らないようにする為です。髪の毛は、帽子の中に入れてね。
他にも、マスクが必要です。マスクは、自分で持ってきた物をつけましょう。」

そう言い終わると、先生は給食着を畳んで袋に戻した。

「給食当番は、一列に並んで 先生と一緒に給食センターへ行きます。
ご飯の入った、食缶という入れ物を取りに行くんだ。」

先生は、また教卓から 紙を出して黒板に貼った。

「これが、当番表です。
ご飯やおかず、牛乳やプレートを配る当番を誰が担当するのかを今から決めます。
決まったら、この当番表の下に名札を付けるからね。」

僕は紙に描かれたイラストを、1つずつ見た。先生は、紙に指を向ける。

「まずは1番、スープの当番。
この大きな食缶を【大食缶】と呼ぶんだ。大食缶は重いから、2人で持って運ぶよ。

2番は、牛乳の当番。2つのケースを1つずつ持って、2人で運ぶ。

3番は、ご飯、またはパンの当番。大きなケースを、2人で持って運ぶ。

4番と5番は、おかずやデザートの入った、小さな食缶の当番。
軽い食缶なので、2つの食缶を1つずつ持って、2人で運ぶ。

6番は、プレートの当番。お皿になるプレートは重いから、2人でケースを運ぶ。

7番は、お椀やスプーンの当番。これも2人でケースを運んでね。」

紙を見ながら話していた先生は、僕達の方へ振り返る。

「まずは、1班ずつ生徒6人が給食当番になってもらうよ。
他にも、給食台の準備と片付けを別の班の子に手伝ってもらうからね。」

そう言うと、先生は教室の隅に置かれた給食台を前に出して準備や片付けの仕方を教えてくれた。

(ちょっと、大変そうだなぁ。)

僕がそう思った時、先生は僕の気持ちに気付いたかのように笑顔を向けた。

「心配しないで大丈夫だよ。
先生も手伝うし、みんなが給食に慣れるまでは6年生と栄養士さんも手伝ってくれます。」

(あっ、6年生かぁ・・。)

僕は学校へ行く時の事を思い出した。6年生は、朝も1年生について来てくれたんだ。
6年生って、しっかりしているんだなぁ。

「でも、手伝ってくれるのは最初だけです。頑張って当番に慣れていきましょう。」

そう言い終わると、先生はメガネを持ち上げた。

「さて・・。
最初の給食当番は、1班に任せようと思っているんだけど・・。」

キラリン!

突然 先生のメガネが光った。
真剣な顔で、僕のいる方を見ている。
そして、そのまま僕達1班の所へやってきた。

(なんだろう?)

僕は、思わず唾を飲み込んだ。

暗い顔になった先生は、胸のポケットから1枚の紙を取り出した。

「実はね・・、栄養士さんは、1年生には初めての給食だというのに、君達に挑戦状を突きつけてきたのさ。」

バサッ!

先生は、勢いよく紙を広げた。
一番前の席の僕は、目をパッチリ開いて その紙を見つめた。

(挑戦状?)

そう思った時、先生のメガネがギラリと光った。

「これを見たまえ。」

【わくわく!4月の こんだてひょう】
広げた紙には、そう書いてあった。

(あっ!な~んだっ!)

献立表って、毎日の給食が書いてあるやつでしょ!僕だって知ってるよ!
幼稚園でも見たことがあるし。

「えっ?ポンチまつり?」

声を出したのは、隣の席のアヤちゃんだ。
献立表に顔を寄せて、僕と同じように目をパチクリさせている。

すると先生の顔は、ますます暗くなった。

「そうだよ。栄養士さんは、初めての給食でポンチ祭りを開催すると決めたんだよ・・。」

「ポンチ祭りって、何ですか?」

僕は、思い切って聞いてみた。

キラーーン!

ううっ!眩しい!
先生のメガネが、さっきよりも光った!

「ポンチ祭りを知らないのかい?
ポンチとは、あのポンチだよ。みんなが大好きな、あのポ・ン・チ!」

「あっ、フルー・・」

「フルーツポンチだぁ!」

僕より大きな声で、同じ班のアンナちゃんが声を上げた。

それを聞いたアヤちゃんは、アンナちゃんの方を見た。2人は嬉しそうに顔を見合わせた。

「やったね!フルーツポンチだ!」

「イエーーイ!」

グシャリ!

その時、先生は献立表を握り潰した。

「そうともっ!あのフルーツポンチなんだよ!
トロピカル、フルーツポ・ン・チだぁーーーっ!!」

(ええぇーーー!?)

僕は、ビックリした。僕だけじゃない。
みんなも、目を丸くしてビックリしている。

漫画の中みたいに、シーーンと静かになってしまった。

「あぁっ・・!しまったーーー!」

みんなの驚いた顔を見て、 先生は悩むように頭を抱えた。

「ごめん、ごめん!
給食の事になると、先生は つい気合いが入ってしまうんだよ!落ち着かないとねっ!ふぅ~。」

手を広げて深呼吸をすると、先生は僕達に笑顔を向けた。

「初めての給食でフルーツポンチが出るなんて、ドキドキしちゃうよね~!
きっと、給食レディは【自分達の力で乗り切ってみなさい】って言いたいんだろうね!
いや~、まいったね!ははは!」

先生は笑っているけど、僕には どういう事なのか よくわからなかった。

【わからない事は、わからないままにしないで聞きなさい!】
僕は、お母さんによく こう言われる。
だから、 もう一度聞いてみた。

「フルーツポンチを配るのって、そんなに大変なんですか?」

「えっ・・!?」

キラーーン!
先生は、また眼鏡を光らせた。
「君は、まだ坊やだからね」とでも言いたそうだ。

「この学校の給食のフルーツポンチは、ゼリーとフルーツが色鮮やかな【トロピカルポンチ】なんだ。
だからフルーツポンチが出る日は、ちょっとしたお祭りと言われていてね。
【フルーツポンチフェスティバル】と言われているのだよ。」

暗い顔に戻った先生は、なんだか辛そうだ。

「期待されるイベントには、【スリル・ショック・サスペンス】が つきものなんだよ!
何が起こるかは、わからない!
だからフルーツポンチは、給食に慣れてから登場させて欲しかったのだけどね。
こればかりは給食レディが決める事だから、 どうにもならないんだ!」

先生が そう言い終わると同時に、僕は思った。

「スリル・ショック・サスペンスって、何ですか?」

そう聞きたかったけど、先に声を上げたのはアヤちゃんだった。

「給食レディって、何ですか?」

「給食レディとは、給食を作る栄養士さんの、もう一つの名前だよ。
給食のおばさんでは失礼ではないかという事で、給食レディと呼ばれているんだ。」

「へぇ~。そうなんだ。」

アヤちゃんが答えると、先生は手を広げた。

「さぁ!学校生活、最初のフルポンフェスが開催されるよ!ドッキドキだよね、フゥ~!」

先生は、今度は ちょっと嬉しそうだ。
僕は、なんとなくわかった。藤原先生は、きっと少し変わっている人なのだろう。

「一年生の時が、一番 フレッシュな気持ちで物事に取り組めるんだ。
輝ける この機会に、フルーツポンチを配りたい子は いないかな?」

先生は僕達に向かって手を差し伸べたけど、1班の生徒は誰も手を上げない。

「スープやご飯は 6年生にお任せするんだ。
フルーツポンチは、1年生で頑張りましょう!
どんな事でも、頑張れることは 良い事ですよ。やってみようと思う子は、いませんか?」

「ジャンケンでいいと思います!」

みんなが黙っている中で 声を上げたのは、言いたい事をハッキリ言えるアンナちゃんだ。

すると、先生は時計に指を向けた。

「では、時計を見ながら話し合って下さい。
長い針が4のところへくるまでに、それぞれの班で誰が何の当番をやるかを決めて下さい。」

先生にそう言われた途端、クラスのみんなが話し出した。

僕は、後ろの席に顔を向ける。

「私は、フルーツポンチは嫌だよ~。
上手に配れないもん。」

同じ班の5人の中で、最初に声を上げたのはアヤちゃんだった。

「僕も不器用ですから、お断りしたいですね。」

次に喋ったのは、後ろの席の三郎君。
三郎君は、見た目も話し方も おじさんくさい。

「僕も、嫌だな。」「私も。」「私も。」

フルーツポンチを、やりたいと言う子はいなかった。

「ジャンケンにしようよ。」

「うん。」

アンナちゃんに言われて みんなが頷いたから、6人でジャンケンをした。

5人がパーを出して、カスミちゃんだけグーを出した。

「私で大丈夫かな・・?」

カスミちゃんは、すごく心配そうな顔をした。

(・・大丈夫じゃない気がする。)

僕は、そう思った。

だってカスミちゃんって、1時間目が始まってから色々な物を落としたんだ。
消しゴム、プリント、鉛筆、定規・・。

フルーツポンチも、落とす気がするなぁ・・。

僕はヒロ君がいいと思うけど、もう決まっちゃったから仕方ないね。

当番表のプリントに名前を書いて、アンナちゃんが先生に渡した。

「では、次は【給食のルール】についてを話します。
給食には【おかわりのルール】があって、これは、とても大切な事なんだよ。」

先生が話し始めた時、僕は あくびが出そうになった。

(あと、ちょっとで終わる・・。)

僕は、少し疲れていた。
でも、眠くなった目をこすって、【おかわりのルール】についてを頑張って聞いた。
学校って、色々なルールがあるんだなぁ。

「それぞれの班で1つのチームになって、当番を頑張りましょう!」

先生が言うと、チャイムが鳴った。

今日の最後の授業が終わったんだ。

初めての学校は、少し緊張して疲れたなぁ。

3章★カスミちゃん

キーンコーン カーンコーン

「さようなら。」

帰りの会が終わって、僕は学校を出た。

幼稚園でも仲良しだったテツ君と、話しながら帰る。

「弁当ベンって、ソーセージ弁当を作っている人なの?」

「えぇっ?違うよ!弁当じゃなくて、ベートーベンだよ!
色々なクラシックの曲を作った、すごい人だよ。」

「じゃあ、スリル・ショック・サスペンスって、何?」

「それは、わかんない。」

「物知りなテツ君でも、わからないのか~。」

僕は今日わからなかった事をテツ君に聞いて、交差点で別れた。

「バイバーイ!」

交差点の角を曲がって、通学路を1人で歩いた。

「マサムネ君!」
「えっ?」

突然、後ろから女の子の声が聞こえた。
僕はドキッとして、勢い良く振り返った。
すると、そこにいたのはカスミちゃんだった。

「あのね、ちょっと お願いがあって・・。」

僕はカスミちゃんの顔を見て、そのお願いが すぐにわかった。

「フルーツポンチの当番を代わって欲しくて・・。」

やっぱり・・。
カスミちゃんは、フルポンフェスが嫌なんだ。

僕は迷った。

「え~と・・。ヒロ君とか、アンナちゃんに聞いてみたらどうかな?」

「うん・・。
でも、私はマサムネ君が良いと思うの。
マサムネ君は、しっかりしていると思うし。」

「えっ?そうかな?」

僕は、その言葉にちょっと嬉しくなった。

「うん。マサムネ君は、しっかりしているよ。」

「えぇ~?そうかなぁ~?」

僕は少し照れながら、もっと嬉しくなった。もう一回、しっかりしているって言ってくれたら、フルポンフェスに出てもいいかなぁ~なんて思った。

「私は何度も物を落としちゃって、それを拾ってくれたのはマサムネ君だから。」

「えっ?それだけ?」

僕は、がっかりした。

「落とし物を拾うなんて、誰でもできるじゃん。」

そう言って僕が歩き出そうとすると、カスミちゃんは真剣な顔になった。

「みんなが拾ってくれる訳じゃないよ!」

突然 大きな声を出したカスミちゃんに、僕はビックリした。

「サクラちゃんも、そう言ったの。
マサムネ君は優しくて、しっかりしているって。マサムネ君なら、フルーツポンチを上手に配れるって。」

「えぇっ?」

僕は、その言葉に胸がときめいた。

「サクラちゃんが、そう言ったの?
本当に?」

「うん。」

僕の大好きなサクラちゃんが、そう言ってくれたなんて嬉しい!

「えっと、えっと・・。
少し考えるから、ちょっと待って欲しいな。」

「・・うん。」

そう言って、僕は カスミちゃんと別れた。

もう一度歩き出すと、カスミちゃんに言われた事を何度も思い返した。

(マサムネ君は優しくて、しっかりしているって。)

サクラちゃんが、そう言ったのかぁ。

僕は優しくて、しっかりしていて、カッコ良いって言ってくれたんだぁ・・。

あっ、カッコ良いとは言ってなかったっけ?でも、そう思ってくれているよね!うん、きっと思っているよ!

僕の大好きなサクラちゃん!!

僕は気付いたら早足になって、大きな歩道に出た時には駆け足になった。

給食当番って、フルーツポンチを配るって、そんなに大変な事なのかな・・。

「学校の事で迷った時は、人生の先輩に何でも聞いてちょうだい!」

そう言った お母さんに聞こう!
僕は、家まで走った。

ガチャ!

家に到着した僕は、ドアを思いっきり引っ張った。

「ただいま~!」

「おかえり~。」

家に入ると、何も知らないお母さんは白髪を夢中で切っていた。僕は、大きな声を上げた。

「お母さん、僕は学校でフルーツポンチを配る当番を頼まれたんだ!」

ガッターーーンッ!

お母さんは、振り返ってイスから転げ落ちた。  

「・・フ、フルーツポ・ン・チですって?」

白髪も抜ける大事件?フルーツポンチ!?

さて、誰が配るのか?
たかが給食?されど給食!!

なめてはいかん!給食当番&フルポンフェス!!

★次回へ続く★

●作者より●

最初はただ、フルーツポンチを配るだけで盛り上がる話を考えていました。
でも、児童小説の作家になりたいので、給食は食育であると考え直し、給食当番についての説明や、給食のルールを取り入れた話にしました。

小学校のブログや学校の先生のインタビュー記事を参考にして、現代の小学校のルールを少し反映させていますが、学校生活のルールは学校により異なります。

どこかの学校で、こんな個性的な先生や子供達がいたら面白い!と、思って頂けたら嬉しいです。

全部で5話です。最後まで、お付き合い頂ければ幸いです。よろしくお願いします。

次の話↓


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