見出し画像

外語祭をきっかけに「外国/国際について語るときに私が語ること」

「多文化共生に関心を持ち、韓国語やフランス語をしているライターです。自分の学生所感も合わせて、簡単な所感レポートをあげられたらと・・・」

学祭の実行委員会広報さんにそんな簡単な申し出をし、母校ではない大学の学園祭に行ってきました。


いわゆる学祭シーズンは終盤ですが、他大学SDGs関連の審査員仕事(普段の仕事とはイレギュラー)で学生と向き合う審査に挑む目前。一方でライターとしては今年中を目標とする書き物の仕上げがひと段落し、個人的な予定帳の境目にあたる「今でしょ」というタイミングでした。


大学時代はお祭り野郎でハッピー野郎、研究会や語学も専攻と副専攻を掛け持ちしたほど。

学園祭ひとつ切り口にしても、サークルやゼミ、関わる部分が多すぎてどこから語ればいいのか悩ましいので、今日は私と外国/国際のつながりに絞って語らせていただきます。

インドネシアの「マルタバック」/2013年慶大三田

遡ること10年と少し前、親友が有志で立ち上げた留学生交流サークル「Plurio(plurilingualを含意)」でチアダンスサークルと掛け持ちし、動画制作や企画などをやっていたのが、2011年から2013年秋の卒業まで。
学園祭では交換留学生たちと催した「多言語喫茶」という軽食屋台が思い出の一つです(写真)。

そもそも東京外国語大学さん往訪の動機は、約2年オンラインでお世話になっているフランス語の先生(卒業生)。長い歴史をもつ「語劇」というものについて教えていただき、この度、初めて知りました。語劇のスケジュールを見てピンときたのが「多言語多地域有志」の皆さん。

この「多言語」で学生時代の濃厚な思い出が呼び覚まされて、「コロナ禍について語る時に、我々が語ること」という村上春樹の書籍彷彿的なタイトルにも惹かれ、思わず足が向かったのでした。

語劇は学生が多言語寮に入寮する場面に始まった
「世界の料理が食べられるんだよ!」学祭自体もネタに
死が身近だった海外のロックダウンを思い出させる演出

私は中高が英語劇部だったので、舞台人的な発声や、言語ごとの細かい発音など、聞いているこちら側には簡単にサッと通りすぎてしまうような部分も練習時に苦労されたはずだと思いました。

どんな言語もスラスラと台詞をこなす運用能力だけでなく、コロナ禍に人を亡くした哀しみを全力で表現し、慟哭演技する学生さんたちを見て、自分もまた舞台で演技がしたくなったなあ、というのも率直な感想です。

私が経験した外国語での劇は中高で英語だけでしたが、中高の部活と大学のサークルと、そして(多くも少なくもない程度の)卒業後の20代での海外で経験した自己実現を、外語祭をきっかけに頭の中で紐づけて、締めにこんなことを書いてみます。

世の中に、境遇だけが理由の「経験弱者」なんて存在しなくて、本人の思い次第で後天的に獲得できる。


と、私は信じています。

私のフランス語の先生は外語大卒業生でアフリカに滞在経験があり、現在は青森在住で通訳案内士をされています。東京に住む私から見てもユニークに映る住まい方や生き方で、これまではオンライン会話のみですが、国や地域の切り口で会話が尽きないはず。早くお会いしてみたいと惹かれます。

もし私にフランスや世界の友人(匿名)がいたとして、その人もまた先生の地域や経験の切り口だけで惹かれるのではないでしょうか。

「海外経験豊かですね」「国際的ですね」という日本人の会話は無意味。(時には私のように自信がないと、いくつになっても謙遜つき)


4年ほど本業外で承っている他大学のSDGsアイデア・アクション審査では、学生からのアウトプットでしばしば個々人の海外経験が垣間見えます。

グローバル人材。グローバル経験。学生の面接などから大人になってもよく交わされますが、そんな掛け言葉の反対側には「都会に住んでないから」「お金がないから」・・・住む環境、地域、経済格差を理由に「世界の文化や味を体験できない」という大多数の意見も然り。

でも、今からそう言い切ってしまう人がいたら、長い人生80年でそんな思考に閉じてしまうのはもったいない。これまで国内外で出会った方や、オンライン上で知る、外国/国際を股に掛ける方々の人となりや自分の経験もふまえながら、私はそう励ましたいのです。

「外国」や「国際」は死ぬまで身につくし、身近で肌に感じて、味わって、楽しむチャンスに溢れている。

私はこれからも、学生から親御世代、おじいちゃん・おばあちゃん世代までにエールするような発信をしていきたいと思います。

10年と少し上なだけの私ですが、今の外語大生さんも90年代の海外環境と大学教授の暮らし視点できっと面白く読めると思った『やがて哀しき外国語』(講談社)。文庫版の「後日附記」の村上さんが私は好きです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?