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【ブランディング担当者必読!】11月22日発売『ここだけにしかない魅力をつくり出す 世界のショップブランディング』冒頭全文公開

11月22日に発売する『ここだけにしかない魅力をつくり出す 世界のショップブランディング』は、体験や価値を売る、世界の最新ショップブランディングを豊富な写真とともに紹介する書籍です。

本書では、美しく個性的な内装のショップだけでなく、コミュニティ作りに一翼を担うショップや、高い専門性を持つショップなど特徴的なショップを紹介しています。
また、アフターコロナ時代の訪れとともに注目される、実店舗での顧客体験のヒントとなるような、リアルとデジタルをシームレスにつなぐショッピング体験を提供するショップや、イベントを提供するショップも紹介。リアル店舗への進出を考えるD2Cブランドを運営するかたや、ブランディング担当のかたにぴったりの内容です。
そこで、本作の刊行を記念して、冒頭を無料公開いたします。

新しいショップビジネスの到来

成功するショップとは、未来への意識によって磨きあげられた、世界中に存在するアートのこと

 時代の風向きを変えることはできないが、風に合わせて帆を張ることはできる。成功するショップはあらゆる国で、斬新なアイデアとインテリアを駆使して新しい挑戦をしている。世界は刻々と変わっていくーーそしてリテールも例外ではない。
 本書は、優れたショップ、ブティック、そして未来に向かってチャレンジを続ける創業者をめぐる旅へと読者を誘う。これから紹介するショップや物語を読むと、創造性にあふれるデザイン、新鮮な美意識、今までにないソリューションだけでなく、所属するコミュニティとの深いかかわりにも驚かされるだろう。
 たとえば、ニューヨークのスポーツ用品ブランド〈バラ〉(p.100)は、ショップをパステルカラーの遊び場のようにデザインし、人気のインフルエンサーにフィットネスや瞑想のクラスを担当させる。

『ここだけにしかない魅力をつくり出す 世界のショップブランディング』より

ギリシャのミコノス島のジュエリー・ショップ〈ガヴェッロ・ネル・ブルー〉(p.92)を訪れた人々は、青いタイル張りのプールサイドのような場所にハンドメイドのネックレスや指輪やバングルが並ぶ、魅力的な世界に深く浸ることができる。

『ここだけにしかない魅力をつくり出す 世界のショップブランディング』より

 リテールテインメント(小売と娯楽をかけ合わせた商業形態)とは、ショップが扱う製品の範囲を拡大し、さまざまなエンターテインメントに満ちた空間をつくりだすというコンセプトだ。

エキサイティングなデザイン、イベント、体験性の高いサービスを提供すれば、ショップに行くこと自体が娯楽となる

近年は、エキサイティングなデザイン、ブランドイメージに合わせたイベント、顧客自身が「体験」できるサービスを提供する動きが広がりつつある。こうしたアプローチによって、ショップに行くこと自体が娯楽になり、顧客のなかでは商品のラインナップとポジティブな感情と記憶が結びつく。ショップスペースはステージやテーマパークでもあり、そこでは企画したイベントによって訪れた人々が一体となる。パンデミック後も、他者との交流や体験型サービスへの需要は高いままだ。実際、本書で紹介するショップのいくつかは、新型コロナウイルスによるロックダウンの最中にオープンし、本書が刊行された時点でも大盛況を博している。
 拡張現実(AR)をはじめとするテクノロジー、オンラインで購入して実店舗で受けとるという選択肢、そして現代のデジタルチャネルは、これまで想像もしていなかったような機会を提供する。パーソナライズされたショッピング体験とさまざまなチャネルを横断するシームレスなサービスが、顧客のロイヤリティを支える。Eコマースが台頭する前と比べると、顧客への接触がはるかに簡単になったにもかかわらず、顧客を引きとめておくのはかなり難しくなっている。現在の顧客は、一貫性と統一感のあるブランド体験、利便性、エンターテインメント性、個人的な交流、役に立つアドバイス、ユニークな商品を求めている。〈アップル〉〈シャネル〉〈ルルレモン〉といった大手ブランドを見れば、ブランド・アイデンティフィケーション*がどれほど強力で利益を生み出すかがわかるだろう。
*製品とブランドを同一のものとして結びつけること

そうしたショップは、記憶に残りやすく、独自の世界観を確立している点で突出していて、顧客からもそう認識されている。強力なブランド・アイデンティフィケーションはビジネスの原動力となる。この考え方が正しいことは、売上によって何度も証明されている。だが、オンラインで製品を購入できるようになったことで、状況は逆転しつつある。現在、いつ、どこで、何を、どのように購入するかの決定権は顧客が握っている。リテイラーは文化とコマースを組み合わせ、世間の注目を集めるかたちで、進化する顧客のニーズに対応しなくてはならない。
 たとえば、ミラノのブティック〈ヴォルガーレ〉(p.168)は、テラゾー床、ガラス、バイクのヘルメットといったインテリアを効果的に使い、メンズファッションを印象的に見せている(2023 年、このショップのインテリアはドイツのデザイン賞を受賞した)。

『ここだけにしかない魅力をつくり出す 世界のショップブランディング』より


グラナダにある〈アルテリエル〉(p.222)は、アート作品のギャラリーのようなデザインを活かし、高級感のあるインテリアがオイル、生ハム、パンのイメージも高めることを証明した。

『ここだけにしかない魅力をつくり出す 世界のショップブランディング』より

一方、東京ではコスメティック・ブランドの〈オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー〉(p.162)が、歴史と未来の両方の要素を融合させたみごとな外観を選択した。

『ここだけにしかない魅力をつくり出す 世界のショップブランディング』より

 本書で紹介するのは、世界各地にある大胆かつクリエイティブで、インスピレーションあふれるショップだ。いずれも、チャンスという新しい風をその帆に受け、新たな海岸に向けて思いきって出帆したのだ。アルゼンチンの職人たちの貴重な伝統の保護に熱心なショップもあれば、その専門性によってユネスコの大切なパートナーになっている専門店もある。近隣住民のために小さな楽園をつくったバリ島のサーフショップの前に錨を下ろしたら、今度は立体的なメタバースに若い人を誘うバルセロナのブティックに向けて船を出す。私たちはデザインに憧れ、発見を求め、どこまでも明るい未来を見据えている。

■著者紹介
マリアンネ・ユリア・シュトラウス
トラベルジャーナリスト。人生における最良のものについて執筆するのを好む。処女作となる『DO YOU README?』と同じく、ゲシュタルテンから刊行された本書は、近隣に活気をもたらすショップの勇気、独創性、魔法を称えている。


D2Cブランドを運用するかたや、商品・サービスのブランディングに携わるかた必読の1冊です。ポストコロナ時代の最新のショップブランディングを体系的に知ることのできる本書を、ぜひお手に取ってご覧ください。


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