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#文章

心象風景 / 詩

心象風景 / 詩

町の底に凝った靄は、

ある部分がまとまりを帯びて濃くなったと思えば、

薄らいで離れたり、

そんな風にして漂っていたが、

そこに突如強い光が射し、

絹のようだった靄が俄に粒立った中を車が貫いた。

靄は素早く揺れ、渦を巻いて千切れたが、

暫くするとまた浮かびあがるようにして濃さを改め、

その薄片が粘りながら融合するのだった。

天狗星 / 詩

天狗星 / 詩

夜の空に閃光が走って、あれは天狗星。
深山へ下りて人界に紛れようと、
嘴鋭く、
大目玉を見開いて、
背中の翼は紫のゆらめきを僅かに帯び、
無数の松の影の間を飛び抜く姿は妖獣の類。
狗か鳥か、混じりものか、怖じ気か。

無常 / 詩

無常 / 詩

部屋を見渡すと昔見た色が褪せていた。
擦り切れて減っていた。
存在を減らしていた。
枯れた箪笥が佇んで微笑むようだが、僕にはもうお前が何の木から切り出されたものか教えてやることが出来ない。
それを調査してやる時間も体力もすっかり老いの中で蒸発してしまったのだから。
そもそもお前は自分がどこから来たのかなんてことを考えるのか?
そんなことに意味なんてそもそも無いのだから、でっちあげてしまえば十分だろ

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