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考察 | 思い込みの諸相


(1) 勝手に線を引いてしまうこと


 書かれた言葉を言葉通りに読むことは意外と難しい。点と点があると、その間のことは本当は、まったく何も言われていないのに勝手に線を引いてしまうことがある。

 たとえば、「彼は不幸な家庭に生まれ、死ぬ時も惨めだった」という文を読めば、「彼はずっと不幸な生涯を送った人なんだなぁ」と思う人が多いのではないだろうか?

 「彼は不幸な家庭に生まれ、死ぬ時も惨めだった」という文で述べられているのは、彼の生まれた時のことと彼が死ぬ時という、2つの時点のことだけだ。
 彼の生の瞬間と彼の死の瞬間だけを知って、その間も同じだったに違いないと考えることは間違っている。


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