ひっそり応募 | 『ご注文は?』(#たいらとショートショート)
「先にお飲み物お伺いしましょうか?」
黒のキャミに、バニーガール👯♀️のウサギ🐰の耳のようなコスチュームを身につけたセクシーな女性が出迎えてくれた。
わたしは今、知る人ぞ知るカフェに来ている。店内に入ると、通信機器はいっさい使うことが出来ない。
うわさには聞いていたが、妖艶な雰囲気に、わたしは気圧されていた。
「お飲み物は?」
もう一度、懇願するような口調で、女の子に尋ねられた。わたしは初めてこの女の子の声に魅惑されてから、ぼーっとしていたのだ。
「とりあえず、お冷やをいただけますか?」
「かしこまりました。メニューはこちらをご覧ください。お決まりになりましたら、ボタンを押していただけますか?」
「分かりました」
それにしても、エロかわいい女の子だ。とても若いにもかかわらず、どことなく昭和レトロな女の子である。
わたしはメニューに目を通した。
「ん、、、。はて、、、?」
すべてのメニューが、二択形式で書かれていた。
①
「キレイ系」と「かわいい系」とでは、どちらをお好みですか?
②
「若いピチピチ系」と「しっとり熟女系」とでは、どちらをお好みですか?
③
「あっさりサバサバ系」と「べったり濃厚系」とでは、どちらをお好みですか?
④
「天然おバカ系」と「しっかり才女系」とでは、どちらをお好みですか?
⑤
「投げkiss系」と「舌も入れるkiss系」とでは、どちらをお好みですか?
⑥
あなたは、どちらかというと、「経済力にモノを言わせる系」ですか?それとも「お金はなくても女に尽くす系」ですか?
… … … … … … …
一応、メニューに書かれた項目に対する答えを考えたわたしは、テーブルのボタンを押した。
ほどなくして、先ほどの女性が現れた。
「ご注文はお決まりですか?」
「わたしはあなたのような女性が好きです。あなたを注文したい!」
「お客様。恐れ入りますが、たいへん光栄で、とても嬉しいのですが、わたしは注文を伺うウェイトレスに過ぎません」
「わたしは絶対にあなたがいい。お願い致します」
「申し訳ございません。わたしはただ、ご注文を伺うことが仕事なのです。ところで。ご注文はいかがなさいますか?」
(888文字)
記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします