連載小説(38)漂着ちゃん
およそ1年振りに収容所の地下室に行くことになった。地下室で待っているのは本当に所長だろうか?それともエヴァだろうか?
しかし、いずれにしても私には地下室に向かう以外の選択肢はなかった。指定された日時は刻々と迫ってきた。
地下室へ向かう朝、ナオミは微笑みながら言った。
「じゃあ、お気をつけて。ご無事に帰っていらっしゃることをお祈りしています」
「何かあったら、ヨブをよろしく頼む」
前回地下室へ向かったときと同じように、部屋を出ると無表情の護衛官が二人立っていた。
「では、参りましょうか」
地下室へ向かう時にはいつでも緊張感を伴うものだが、慣れるということはない。毎回新しい緊張感を伴う。
待っているのは、エヴァなのか、それとも所長なのだろうか?
「着きました。では、我々は部屋の外でお待ちしております。ごゆっくり」
「ごゆっくりとは余計なお世話だ。お前らAIロボットとは違うのだ」という言葉が喉元まで出かかったが、私は無言で地下室の扉に手をかけた。
扉の向こうにいるのが、エヴァだろうが所長だろうが、なるようになれ!
自らを奮い立たせて中に入ってゆくと、予想だにしない人物が待っていた。
…つづく
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