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親愛なる者へ | 3年後の自分への手紙


✉️3年後の山根あきらさんへ✉️


 ぼくは先週、余命3年を告げられました。膵臓ガンでした。

 暑い日に倒れたから、最初は熱中症だと勘違いしたのですが、過去に葬ったはずの悪魔の再来でした。

 医者の言う通りならば、あなたはもうこの手紙を読むことはないかもしれませんね。

 でも、ぼくは3年後のあなたが、この手紙を読んでくれることを切望しています。奇跡というものを信じているわけではありません。

 けれども、もしかしたら、ぼくの余命は4年あるのかもしれませんし、それに賭けてみたい気持ちがあるのです。

 思い起こしてみると、ぼくは自分の運命を呪うために生まれて来たのではないかと思うほど、過酷な人生を歩んで来ました。

 もちろん、楽しい思い出がまったくなかったわけではありません。

 しかし、そんな束の間の楽しい思い出の後には、必ずそれをキャンセル・アウトして余りあるほどの不幸がつづきました。
 
「なんでぼくだけが、こんなに不幸な目にあうのだろう?」と神を恨んだことが幾度となくありました。

 ある人は100歳をこえてもピンピンしているのに、何故ぼくは50歳にも満たない年齢で人生を終えなければならないのか。。。不公平過ぎるではないか。

 でも、それが神の論理なのかもしれません。ぼくが死ななければいけない理由なんて何もなく、たまたまぼくの身の上におりて来た運命なのでしょうね。

 自暴自棄になって、この世ごとまるごとすべて消えてしまえばいいのに、というのが今のぼくの本心です。しかし、それでもやはり、この世に何か1つだけでも、ぼくが生きた証を残したい。

 ぼくは残された3年という時間を、とりあえず精一杯生きてみようと思います。
 君がこの手紙を読んでくれることを期待して擱筆します。

絶対に読んでくれよ。
どんなに傷ついてもいい。
どんなに汚れてもいい。
生き抜いてくれ!!

       今の山根あきらより
                         2023.9.26



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