見出し画像

脱走兵の夢想 | 戦国時代の自動操縦

 ほとほと嫌になっていた。なんでこんな無意味な戦争をつづける必要があろう?
 傭兵として戦地に赴いたものの、如何せんモチベが上がらない。カネはいらない。数人の仲間とともに脱走することにした。

「理想的な戦争なんてないが、どんな戦争だったら遣り甲斐を感じるだろうか」

「日本史上で言ったら、俺は長篠の戦いに参加したい」


 長篠の戦いにおいて、最強の騎馬隊を誇る武田軍は、鉄砲を使いこなした織田・徳川連合軍に破れた。もし、私達傭兵がこの戦いに武田軍の一員として参戦していたならば、どうだったろう?勝つことが出来ただろうか?

 もちろん実際の歴史通りの場所で、織田・徳川軍と相まみえたならば、私達は負けることはないだろう。
 しかし、通信手段も燃料も手に入らない時代の中で戦うとしたら、敵は私達の兵站を遮断したり、地の利を巧みに利用出来る場所を戦場に選ぶに相違ない。また、彼らは諜報活動もおこなっただろう。

 こちら側も、織田軍に倣って自動操縦の銃を使ったなら、勝てただろうか?やはり、歴史を覆すことは難しかっただろうか?

 それにしても、現在の、この2つの戦争では、泣くのはいつも関係のない子ども達だ。無駄な血を流すことに加担したくない、たとえ傭兵だとしても。

 



#毎週ショートショートnote
#たられば
#短編小説
#日本史がすき
#地学がすき
#戦国時代
#ロジスティックス
#風林火山
#孫子の兵法
#兵站
#地形
#傭兵
#戦争
#長篠の戦い
#織田信長
#徳川家康
#武田勝頼
#鉄砲

この記事が参加している募集

記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします