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エッセイ | 4630万円アレコレ

はじめに

 最近の情報番組は「4630万円」の話題でもちきりである。たしかに大切な問題だ。一口に4630万円というが、ちゃんと書いてみると、

46300000

である。確かに一瞬みただけではいくらなのか分かりそうもない。本質を探ろう。

ちょっと数学的に分析してみよう!

とりあえず、

素因数分解してみると

🤷‍♂️ううーん?なんのこっちゃ?
🤷ますますよくわからない🤷‍♀️。

まぁ、とりあえず、いろいろ割り算してみて「463」が「素数」であることがわかったのは、収穫と言えば収穫であった。

それは、さておき、ここから真面目な話に移ることにしよう!


今回の問題

 ご存知のかたが多いと思うが、ことの経緯を簡単に把握しておこう。
 とある町の役所が、公金の4630万円を、誤ってその町に住む1人の男性の口座に入金してしまった。
 間違いに気づき、公金を入金してしまった男性に返還してもらおうとしたが、その男性は、もはや、その金のほとんどをギャンブルに注ぎこんでしまっていた。
 議論は、男から誤入金してしまった金を町が回収できるかどうか、ということに終始しているようだ。果たしてそれだけだろうか?
 もう少し経緯を整理しておこう。

経緯の整理

①町役場職員による入金ミス

②銀行員による男性への振込

③男性による使い込み

大きく分けると、今回の件の論点は、以上の3つに絞られると思う。
そもそも、町職員のミスがなければ、何事も起こらなかった。
仮に銀行員が入金額に疑問をいだき、入金前に役所に問い合わせていれば、そこで終わっていた。
そして、仮に誤って入金してしまったとしても、男性がそのまま返していれば、事件にはならなかった。

 法律的なこと、および、お金がかえってくることが、事件解決にとって大切なことだと思う。
 しかし、この問題は「哲学」的にも興味深い。法的なことは弁護士その他の人に任せることにして、この記事では「妄想哲学」的に論じてみたい。

妄想哲学的考察

私の脳裏に浮かんだ、妄想哲学的考え方は、「原因説」「動機説」「功利主義説」の3つである。それぞれの考え方について順番にのべたい。

①「原因説」

 先に述べたように①→②→③の時系列にしたがって、あたかもドミノ倒しのように事件が起こったとする。
 「原因説」に従えば、最初の一押しをした人が一番悪いと言える。つまり①の過ちをおかした人物である。
 しかし、そもそも4630万円という額のカネが、たった1人の人物によって動いてしまったのは、なぜだろう?
 複数人によるチェック機能が働いていれば、今回の事件は防ぐことができたはずだ。本当の原因は、チェック機能を充実させておかなかったことのようにも思える。

②「動機説」

 動機説に従えば、「悪意」をもっていたかどうかが一番の焦点になる。
 心の中はなかなか見えないので、判断は難しいが、仮にお金を使い込んだ男が、振り込まれたカネを正当なものだと思って行動したのならば、責任を帰すことはできないだろう。
 今回の事件で、一番強い悪意をもっていた人物が一番悪いことになる。

③「功利主義説」

 問題の本質が「カネ」にあると考えるのが功利主義的な考え方。
 今回はどうやら、金を受け取った男性がすべて使い込んでしまったようだが(詳細はまだわかっていないが)、仮に「投資」した金が、「倍増」していたらどうだろうか?
 4630万円が、たとえば一億円になったと仮定してみよう。
 確かにお金を使ってギャンブルをやった。それはよくない。しかし、うまく成功して、もとの金の倍になって、その増えた分も含めて町に「返還」したら、男性の行為は、称賛に値すると言えるだろうか?
 功利主義的に考えれば、男性のしたことは「善」になる。
 カネが倍増したのだからいい、と考える人も多いかもしれない。
 いや、それでも動機が不純だから、町が儲かっても、正当化できない、と考えるならば、それは「動機説」である。


まとめ

 今回の事件では、実際に得をした人がいるのだろうか?
 誤って入金した職員は、思うに、食事も喉に通らないのではないか?
 また、お金を使い込んでしまった男性にしても、役所の誤入金がなければ、平穏に過ごしていたかもしれない。
 使い込んだ男性が一番悪い!と考える人が一番多いようにも思うが、いきなり目の前に4630万円という大金が現れたら、黙って素直に返せるかなぁ?、という気持ちもある。
 いずれにしても、今回のことで人生が狂ってしまった人がいると思うと、興味本位に笑ってばかりもいられない。




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