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読書 | 独文解釈法

 枕頭の書というか、普段使う机の棚に「新しい独文解釈法」(小柳篤二[著]、大学書林)を並べている。
 この本は改訂版で昭和35年に第1版が出ている。「改版にあたって」という文章が劈頭にあるが、旧版「独文解釈法」が出て25年が経ってから、新版として「新しい独文解釈法」となったと書いてある。ということは旧版の初版は昭和10年に出版されたということなのだろう。

 もう10年以上も前に、英語からいったん距離を置きたくなった時に購入した本だ。それ以来、ときどき読み返している。愛読書の1つになった。

 当時、なぜ英語から距離を置きたくなったのかというと、いくら英語を学習しても力がついている実感を持てなくなっていたから。その頃、英検1級にチャレンジしていて、1次試験は合格したものの、2次試験に立て続けに落ちた。1次試験が免除される期間が過ぎて、1級に合格するには、また1次試験からやり直さなければならなくなった。

 ちょっとというか、かなりやる気が損なわれて、英語を学ぶことが楽しく感じられなくなっていた。2次試験に落ちたショックを引きずりながら再チャレンジする意欲をもてなかった。

 まぁ、英語は趣味でやっていることだから試験なんて受けなくてもいいのだが、試験云々に関わらず、いくら好きな英語といえども、波長が合わないときはくる。

 スランプを感じるときは、それだけ上達した状態とも言える。いったんスイッチバックして、英語を新鮮な気持ちで学び直すために、ドイツ語を勉強することにした。

 別に何語でも良かったのだけれども、英語とは近い関係にあるし、新たな視点から英語を見つめ直す意味もあった。

 ドイツ語は大学のときに1年間講義で学んだことがあったから、比較的スムーズに楽しむことができた。

 学び始めの頃は、勉強すればするだけ実力が上がったことが実感できる。何年も学習している英語だとまる1日学習したって大して変わらないような感じだが、ドイツ語の場合は1時間学習するだけでも、力がついたことが実感できた。


 「新しい独文解釈法」には、「独文和訳十則」が掲載されている。著者の小柳篤二先生が教壇生活から得た体験から独文和訳の秘訣を述べているが、これは英文和訳だけにとどまらず、広く英語学習にも当てはまるものであり、何度も読み返している。


独文和訳十則   (前掲書より)


  1. 単語の合理的把握

  2. 慣用句の記憶

  3. 文法規則の検討

  4. 文章の解剖

  5. 大意の捕捉

  6. 音読と語感

  7. 語位*と力点

  8. 直訳か意訳か

  9. 直読直解の可否

  10. 訳文の硬軟


*「語位」(Woltfolge)とは、各語の位置のこと。


 英語も使いこなせないのに、英語以外の言語を学ぶことは、遠回りに思う人もいるかもしれない。だが、決してそんなことはない。
 英語だけしか学んでいないときには気が付かなかったことに気がつくこともある。

 たくさんあるが、たとえば英語の「every day」。毎日という意味で主に副詞として使われるが、ドイツ語では「jeden Tag」と言うが、「jeden」は4格。「副詞的4格」と言われるが、英語の「every day」も目的格ということだ。

 英語の「現在完了形」はあくまで「現在」のことだが、ドイツ語の「現在完了形」は主として過去形の代わりに使われることが多い。

 ドイツ語の人称変化は、シェイクスピアの英語を読むときにも知識を転用できる。


結び


 まとまりのない文章になりました。英語の勉強に行き詰まったら、ほかの外国語を勉強してみるといいですよ、という話でした。外国語じゃなくても、漢文とか日本の古典を読み直すと、英語に対するアプローチの仕方を見直すきっかけになります。


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