相次ぐ学力試験廃止 - これからの入試の行方は?
みなさん、こんにちは。
最近、いろいろな国で入試改革が進んでいます。
日本でもAO入試のような学力以外の面を評価するような入試制度があったり、自己推薦入試(なんだか変な名前だなといつも思います…)があったりしますね。
学力だけを評価する日本の入試は昔から批判がありましたが、すくなくとも選択肢があるというのは僕はいいことだというように受け取っています。
もちろん、どの入試にもいい面とよくない面があると思うので、どれを選ぶか考えさせられるという負担はあるのですが…
話はずれますが、人間にとって選択肢があるというのは素晴らしいことに思えますが、実はと言うと結構な負担になると言う考えがあるようです。
このような話は読んでいるだけでも楽しいですよね!↓
さて、話を戻しますと、いろいろな受験改革が進んでいますが、それは少しでもみんなにとって平等な制度にしようとしているというのが多いのだと思います。
アメリカの統一試験廃止
アメリカではもともと学力試験だけで生徒を審査するという習慣がありません。もともと日本のAO入試もアメリカの入試制度をもとにつくられたと言われていますね。
アメリカの入試は、志望理由書やこれまで通った学校の成績、その他、課外活動なども評価の対象となっています。
そのなかのひとつとして学力試験も含まれています。
アメリカではそれぞれの大学が独自の試験をよういするということはなく、Standardized Testsとよばれる統一試験があり、SATとACTが学部課程入試では用いられています。
有名校になると志望理由書や学校の成績がよいことはもちろんのこと、この統一試験でかなりの高得点が取れないと合格できないことが多いです。
志望理由書や学校の成績がよくても統一試験の点数が足りないために不合格になる可能性もあります。(アメリカの入試に明確な合格基準はないので、あくまで結果論なのですが。)
志望理由書や学校の成績は比較的コントロール可能ですが、統一試験は試験を解けるだけの学力、そしてテストテクニックが多少なりとも必要なので準備が難しいこともあります。
この試験は非ネイティブも同じように受験しますが、特に英語は非ネイティブにはかなり厳しいものです。(もちろん、非ネイティブにネイティブほどの点数を求めない学校もあるとは思いますが。)
SATのサンプルテストがネットで無料で公開されていますので、よければ見てみてください。
ちなみにこのテストはCollege BoardというSATを行なっている団体が提供しているものですが、これは本番よりかなり簡単なことで有名で、本番はこれより難しい試験を解くことになります。
こんな大変な試験ですが、最近、この統一試験が廃止、もしくはオプション扱いされることが多くなってきました。
理由としてはこちらの記事にもあるように貧困層やアメリカ文化に詳しくない人に不利であるという指摘がよくあるからです。
アメリカは日本ほど受験勉強をしないという話がありますが、実際は何観光を目指している生徒を中心にチューターをつけてガッツリ受験勉強している人は少なくないです。
個別チューターはもちろん追加で費用がかかるので、金銭的に余裕がなければつけることができません。
内容がアメリカ文化寄りというのは、SATの問題を読んでみればその通りです。
判断が難しいのが、だからといって問題を解くのにアメリカの文化を知っている必要があるかということです。
僕はなんとなくしかアメリカの文化は知っていませんが、それでもSATの問題は解くことができます。しかし、アメリカの文化を学ぶというのはSAT対策としては一般的なことなので、知らないより知っていた方がよいとは思います。
ちなみに、国語や英語を解くときに背景の知識が必要かどうかという問題を以前に考えてみました。↓
統一試験は将来の学業での成功に関係あるという考えやGPAに比べ学業の成功を予測するのに役立たないという考えなどいろいろあります。
これに関してはもう少し研究が行われていくのではないかと思います。
いずれにせよ、現在のアメリカの様子を見ているとこれからますます統一試験は廃止の方向に向かいそうですので、これからも定期的にチェックしておくのがよさそうです。
帰国子女最難関・広尾学園の英語試験
日本でもいろいろなところで試験方式が変更されている例が見られます。
ここ最近で一番インパクトが強かったのが、帰国子女入試最難関のひとつである広尾学園の中学入試で英語試験が選択式になったことです。
選択式なのでそのまま試験が免除されるわけではありません。
広尾学園が用意した問題を解くか、TOEFL iBTのスコアを提出するかのどちらかを選べることになったようです。
帰国子女入試をあまりご存知ない方には信じられないかもしれませんが、帰国子女入試の英語の試験はとても難しいです。
海外で暮らしていたからといってそれだけで解けるような問題ばかりではなく、中には大人が解いても難しい問題もあり、その筆頭が広尾学園の中学入試です。
どれくらい難しいかというと、僕の感覚では英検1級より難しいです。
英検は論理的な文章が出題されますが、広尾学園の問題はフィクションやポエムが出題されています。
ですので、両者を単純に比べることはできないのですが、僕が広尾学園の問題を見た後に英検1級の問題を見ると随分簡単に思えるものです。
「英検は論理展開もはっきりしてるし、問題も選択肢を選ぶだけなんてめちゃくちゃ楽!」と思えてしまうくらい広尾学園の問題は解くのが大変です…
試験制度が変更され、TOEFLのスコアがあればこの難しい問題を解かなくてもよくなったわけですが、その最低基準が90点。
TOEFL iBTに取り組んだことのある方ならわかると思いますが、このスコアは簡単に取れるものではありません。
先ほど言ったように、広尾学園の問題はある意味英検1級より難しいのでこれは妥当なスコア設定だとは思いますが、それでも小学生がそのスコアを取ると考えると驚きですね…
とはいうものの、帰国子女入試の最難関を突破するような子は小学生でTOEFL 100点を取ったりするので、広尾学園の人気度・難易度を考えるとそれくらいの基準が必要なのかもしれません。
これらのうちどちらで出願するかは個人の能力にもよるかと思います。
広尾学園の英語の問題は全てがセンテンス記述なのですが、むしろその方が点数を狙いやすいとも考えられますし、論理的な文章よりフィクションやポエムの方が心理的ハードルが低いと感じる子どもは多いと思うので、その意味ではあのとんでもなく難しい試験に挑戦するのがいいのかもしれません。
小学6年生ならばギリギリTOEFLの内容を理解できないこともないかもしれないので、論理的な文章の方が点数が安定するならTOEFLの方がいいかもしれません。
そして、これが一番大きな利点かもしれませんが、TOEFLは何度も受けられます。これは本番1発勝負より安心できるかもしれませんね。
広尾学園を検討している方には難しい選択ですが、より取り組みやすい方がどちらかじっくり考えて選んでほしいと思います。
これからも様々な試験制度改革には注目していきたいと個人的には思っています。
最後まで読んでくださってありがとうございました。
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