ポジティブ心理学
(´_ゝ`){たにぐちです!!!
今回はポジティブ心理学について記事を書きます。
「ポジティブ心理学?」
「ポジティブシンキング?幸福学?」
「自己啓発?怪しい」
と思われるかもしれません。
すでにご存じの方もいらっしゃると思います。
SNSでは意外にも「ポジティブ」とは言えないツイートが多く見られており、主流になりつつあるポジティブ心理学が今後一般の方にも必要になってくるのではないかと思い、noteに記載することにしました。
本題
先日ツイッターでこのような内容の発信がありました。
このツイートをみて、私も
と返信しました。
現在、精神科医療は大きな転換点を迎えています。
背景には、社会保障の問題もあれば、OECD諸国の中でも脱施設化が進んでいないこと、精神科の病床数の多さや、在院日数の長さ等があります。
このあたりについては、精神科医療の歴史を知っておく必要があります。
精神科特例や、ライシャワー事件以降、朝日新聞をはじめとしたマスコミのネガティブキャンペーンもあり、閉鎖処遇が支持されていた時期がありました。
日本では平成16年に精神保健医療福祉の改革ビジョンが示され、平成17年、障害者自立支援法(のちの障害者総合支援法)が公布、平成25年、医療計画に「精神疾患」入り5疾病5事業に、平成26年には精神保健福祉法も改正されました。
日本でも入院医療から地域生活中心へという大きな方向転換を図っています。
精神科医療も変わりつつあります。
アメリカの国立精神衛生研究所(NIMH)もRDoCを進めていたり
精神療法 という雑誌では「ネオ力動精神医学を提唱する 」というタイトルが見られたり(第45巻第4号)
治療や診断など様々な変化の兆しが見られています。
その中で、ツイートにもあるように心理学も1998年頃から欧米を中心にポジティブ心理学が推奨されてきました。
推奨しているのは、アメリカ心理学会会長のマーティン・セリグマン氏(Martin E. P. Seligman)です。彼はうつ病と異常心理学の世界的な権威。
約20年前からアメリカの心理学会はポジティブ心理学が提唱しているんですね。
また2012年ディリップ・ジェステ氏(Dilip V. Jeste)がアメリカ精神医学会の会長講演でポジティブ精神医学の必要性を説いています。
今までの治療では不十分?
マーティン・セリグマンを中心としたアメリカ心理学会がなぜポジティブ心理学を提唱しているのか。
彼は、従来の治療に対して疑問を抱いていました。
従来の「通常の心理学」は、主としてネガティブな心理状態や、精神疾患を研究して治すことに力を注いできました。
心理学者のほとんどが、患者のどこが悪いのか、どうしたら治せるかに焦点を当てていました。
もともと良いのはどこか、どうしたらもっと良くなるか、という考えなかったようです。
マイナスがプラスにならない
セリグマンは当初心理学が不完全なものとして見ていました。
ネガティブなこと(悩み、苦しみ、精神病、トラウマなど)に対する研究は多くなされており、心理療法あるいは薬物療法によってある程度の有効性が証明されていました。
しかし、心理学者たちは、あることに気づき始めます。
治療がうまくいき、患者がうつ病などから抜け出すまでの助けにはなれるものの、患者が幸せになれるとわけではなかったと。
治療で得られたのが、幸せではなく空虚感であることは珍しくも無かったようです。
つまり、精神疾患を治すことは、ネガティブ(マイナス)な状態を中立的な状態に戻すことに相当し、直ちに良いポジティブ(プラス)な状態をもたらすわけではないということでした。
そしてポジティブティ(楽観主義)についての研究が進み、効果が実証され前述した通り、ポジティブ心理学に目を向ける必要性を指摘しています。
こういった流れから、日本でもポジティビティに目を向ける流れが出てきています。
日本での流れ
一般社団法人認知行動療法研修開発センターの大野裕先生も日精協誌の中でこのように語っています。
ポジティブサイコロジーという言葉を最初に耳にしたとき、若干の”いかがわしさ”を感じた。
-中略-
研究内容を知ることによって、ポジティブサイコロジーが臨床への応用可能性が高い事を実感するようになった。
その背景には、筆者自身が以前から、精神疾患の治療の為には、抑うつや不安、怒り等のネガティブ感情に関連した病理だけでは十分ではないと感じていたことがある。それは、多くの身体的不調の治療ではもちろんのこと、精神的不調の治療では、不調の原因を明らかにして医学的に介入するだけでは十分ではなく、不調に苦しむ個々人の回復力に働きかけて機能の回復を図る必要があるからである。
ストレス症状や精神症状は、そのヒトの人のなりや環境との相互作用を抜きにして語ることはできません。
人は一人では生きていけないという話がありますが、個を理解する上では、環境やその関係性を知る必要があります。
支援を行う上では、
・家庭を含む社会の内に生きる個人の苦しみを理解する
・症状だけでなく、社会的なあり方や人間としての生き方を理解する
・その人が持つ長所、強み、レジリエンスに目を向ける
・周囲の環境にも働きかける
といったことが大切になります。
また信じるということも大切です。
これは患者だけでなく、支援者が症状に苦しむひとの力を信じる姿勢が大切になります。支援者が患者の力を信じることによって、患者が自身を取り戻すきっかけにもなります。
信じてくれる人がいることで、支援者への信頼感が増し効果的な治療につながります。
信じるということについて
技術的な話かもしれませんが
カウンセラーのカール・ロジャースは来談者中心療法のなかで
・人間には実現傾向があり、人間関係の中でよりよく発揮される
・無条件の肯定的な配慮をしていること
・共感的な理解に努めること
を挙げています。
実現傾向とは、人が誰しも持っている、自身の力を発揮して維持、成長に向かおうとする傾向です。
ある意味で自然治癒を目指したナイチンゲールの看護論にんも通ずる気がします。ピグマリオン効果という心理効果もあり、他者を徹底的に信じるというのは必須かもしれません。
他にも治療的人格の形成に必要な条件があり、興味のある方は是非調べてみてください。
患者が抱える悩みや問題への対処に患者の強みを生かそうというポジティブ精神医学の流れは、大きく期待され、ACTやオープンダイアローグ等のアプローチの関心も高まってきています。
ここまではポジティビティが重要視されているその流れについて記載しました。ざっくりと記載しましたが、ご意見がありましたら、もう少し詳細にかけたらと思います。
ポジティブ心理学の3つの目標
さてポジティブ心理学には3つの目標があります。
1、短所と同じくらい長所に関心を向けること
2、人生で最も素晴らしい事、人生をより充実させること
3、才能や、教養に関心を持つこと
これらに関心に向け、生きがいのある人生を送れるようにすることがポジティブ心理学の目指すところです。
支援を行ううえでも、この目標をベースにそのひとの持つポジティブな側面、強みや回復力を生かして、充実した人生を送れるように支援することが大切になります。
最後に
幸せテストというものがあり、幸せを測定できるサイトがありますので興味のある方は是非調べてみて下さい。
テストはこちら↓
Authentic Happiness
ページ右上にある[Select Language]という項目から日本語に切り替えることが可能です。
TEDトークをご存知でしょうか?セリグマン氏が登壇している動画もあるので、興味がある方は是非ご覧ください
マーティン・セリグマンのポジティブ心理学
書籍紹介(Amazonにとびます)
今回はこのあたりで。
(´_ゝ`){ではまた!!!
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