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ネパール風チキンカレーククラコマスのレシピ

今回は日頃マサラ部室で研究しているカレーレシピのアウトプットとして、ネパールのチキンカレー"ククラコマス"を取り上げたいと思います。レシピはネパール現地で以前習ってきたものを改良しました。ちょっと汁っぽくトマトが効いた感じになります。

ネパールにおけるチキンカレーの文化的背景と、最大限おいしくするための考え方について解説したあとに細かいレシピが載っています。

ちなみにカレー作りに関してはこっちのブログでも随時紹介しています。

せっかく毎日インド料理漬けの生活をしているので、可能な限り東京マサラ部室での暮らしを描き、記録に残しておくことにする。カレーを中心に起きた出来事や考えたことをカレー哲学の視点で記していく。毎回1000〜1500字くらい。
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ククラコマスとは

近年までネパールでは鶏肉は希少で高価なもので、むしろ水牛や山羊の方が価格が高くより普遍的に食べられているものでした。現在では技術も発達し、鶏肉や卵も割と頻繁に食べられるものになったようです。

「鶏」はネパール語でククラ"kukhura"と呼ばれ、「肉」は"masu"といいmasu。チキンカレーは鶏肉のカレーなのでそのまま"ククラコマス"です。
ちなみにネパールでは鶏以外にもターキー(ban kukhura)、アヒル(haas)、うずら(battain)、キジ(kaaliz)なども食べられるようですね。ワイルド。

現地で食べたダルバートでは大体マトンかチキンを選ぶことができました。

最大限おいしくするため、以下のようなポイントを意識しました。

・動物性と植物性のうま味バランスが良くトマトの酸味が立った感じにしたい
・鶏肉がしっとりしつつ、ほぐれて食べやすくしたい
・ニンニク感、ターメリック感などネパール風カレーの特徴をしっかり出したい

動物性と植物性のうま味バランスが良くトマトの酸味が立った感じにするには

新大久保などのネパール料理店のチキンカレーはコストとパフォーマンスを両立させていてすごいなと思います。しょっぱ目で汁気が多く、ご飯が進む味です。おそらく骨つきチキンを使うことで出汁がしっかりでており、さらに魔法の粉でグルタミンブーストを使っているからだと思われます。

家庭ではそこまでコスト意識したくないうえ骨つき肉は入手ハードルが高いので、とりもも肉から出るダシにトマトのグルタミン酸を重ねたいと思います。トマトは野菜の中で最もグルタミン酸が多いらしいです。

トマトはフレッシュトマトではなくホールトマト缶を使います。ネパール現地ではもちろんフレッシュトマトを使っていましたが、日本とネパールでは野菜自体の味の濃さ?水分量?がやっぱり違います。

また、時期にもよりますがフレッシュトマトは品質が安定しないため、十分な酸味とトマト感を出すためにホールトマト缶を使うという判断です。

以前調査しましたがブランドは割となんでもいいです(KALDIだけは避けた方がいいかも)。


鶏肉がぷりぷりしつつ、ほぐれて食べやすい仕上がりにするには

とりもも肉は皮を剥いたものを使用しますが、一口大よりすこし大きめにカットした後、あらかじめ肉に塩を振って一晩おいて馴染ませておくことで食感をプリプリにします。生の肉に塩を振ると一旦肉から水分が抜けますが、後で水分は戻り、結果として調理後の水分保持量が増えます。

肉の表面は片面ずつ強火で焼きます。軽く焼くことで肉の生臭さが減り、メイラード反応がうまみと香ばしさをもたらします。この反応が大きく加速する温度帯は155~180℃と言われているので強火で表面だけ焼き付けます。

また、加熱した後に冷ますのも大切です。加熱している時に肉から一旦水分が抜けるものの、冷却しているときに40℃〜50℃の間の温度帯でカレーの側から塩分や香り成分が戻ります。

ニンニク感、ターメリック感などネパール風カレーの特徴を出すには

インド料理を作る時はニンニク生姜のペーストを使うことも多いですが、このレシピではそれだと強すぎるのであえてみじん切りにして使います。また、ニンニクは肉を入れた後に入れることで温度があまり上がらないので生の香りが全体に残ります。それがネパールっぽいです。

ターメリックの使用量はかなり多いですが、ネパールやベンガルあたりの料理では結構ありがちな量です。ターメリックをもう少し減らすとなんとなく北インドっぽくなります。
ちなみにここでフェヌグリークを入れるとカップラーメンカレー味っぽくなるので今回はやめときます。フェヌグリークはジャパニーズカレー粉にもたくさん入っていますね。

多くのネパールの調理では先に肉を炒め、後から玉ねぎやニンニクを入れます。
インド風にするにはニンニク生姜を肉より先に炒める、ターメリックを少し減らすなどするだけです。順番や材料の配分がちょっと変わっただけで別の料理になるから不思議です。


ネパール風チキンカレーククラコマスのレシピ

材料

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