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公式マガジン『東京マサラ部、インドをつくる』

インドに行けない僕らが東京にインドを作り上げるまでの挑戦の記録。 カレーは手段ではなく、常に目的である。カレーを作り、カレーを食べ、カレーについて考え続ける。都内某所に存在する…
・カレーシェアハウスのヒト、コミュニティ、家についてクローズドで配信します。 ・東京マサラ部室の活…
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随時更新:『東京マサラ部、インドを作る』のガイドブック [index]

旅に出られない僕たちが東京にインドを作るために始めたカレーシェアハウス東京マサラ部室ですが、早いもので設立より半年が経過しました。まだまだインドは完成していませんが、少しずつカレープレイヤーの集まる場として機能し始めています。数字で言えば、いままでに500を超えるカレーが作られ、来客述べ人数は100人を超えました。 カレーシェアハウスで生み出されたカレー、遊びに来てくれた人、カレーの基礎研究レポートについて発信するカレーシェアハウス公式マガジン『東京マサラ部、インドを作る』

毎月第3金曜日(つまり本日)は京都市庁舎前広場でチャイを売っています

こちらの京都市の公式noteで紹介して頂いたのですが、京都市役所の都市計画局まち再生・創造推進室による「小さな芝生広場」という社会実験に少しだけ混ぜて頂き、チャイ屋台を出店しています。 当日の告知になってしまいましたが、今月は6月21日の17時頃からゆるやかにスタートします。既に昼はめちゃくちゃ暑いので、夕方のスタートとなりました。 我々印度乳業はクラフトミルクチャイとチキンサールナ(南インドタミルのココナッツチキンカレー)、パロッタをご用意します。売り切れ次第終了なので

グローバルという言葉にふさわしい料理があるとしたら、それはカレーだ。 『カレーの歴史』 #カレースタディーノート

コリーン・テイラー・セン『カレーの歴史』を久しぶりに読み直してみたので本の内容を要約して紹介してみます。9000文字くらいになってしまった。 『カレーの歴史』は、カレーという料理がどのようにして現在のようなグローバルな存在となったかを解き明かす本です。世界中にあるカレーの多様な形態やその起源、そして世界各地への広がりについて詳細に説明しています。 本の概要本書では、まずカレーの起源を探ります。カレーという言葉の由来は南インドの「カリル」や「カリ」に遡ると考えられていますが

会社を辞めて京都の大学院生になり、屋台でチャイやカレーを売りながら学費を稼いでいるよ #印度乳業

最近人生が散らかってしまっていて(自分で散らかしているのだが片付けるのが苦手)、死ぬまでに一度やってみたかった「京都で学生」というやつをやっている。さらになんやかんやあって5月からチャイやカレーを売る屋台活動を始めた。東本願寺のフェス、京都市役所前、佛現寺、クエスチョン、アンテルームなど色々な場所に立て続けに出店して疲弊し、身を削った分いくつかの学びもあった。屋台実践を通して見えた風景を少しだけ共有できたらと思う。 こちらのテキスト(https://www.jstage.j

オリッサ州バランプールの料理 #カレーだいしゅき手記

2月のインド旅で印象深かった食べ物について書いていく。オリッサ州プリーの後は、全くツテはないがバランプールというオリッサ州の都市に移動してみた。バランプールはオリッサでは人口が4番目で、都市部はこぢんまりとしていて観光するようなところもほとんどなく、そういう場所の方が庶民の暮らしを知ることができるかもしれないと思ったのだった。 今回の旅行はたった5週間で、コルカタから入ってチェンナイまで陸路で移動してウロウロするというものだった。たくさんの人に出会い、色々なものを食べたがそ

#6 パキスタンに行ってサリサリカリーを探した話(パキスタン家庭カレーのレシピ付き)

毎週月曜更新、勝手にカレー哲学。 先日パキスタンに行ってきた。一週間程度の短い旅だったが、同行者がパキスタン腹(腸内環境アップデート)を発症したり、帰り際にインド側とドンパチが始まり飛行機が欠航するなど波乱万丈の体験であった。カラチの家庭にお邪魔したらジャーナリストがいて、ずっとカメラを回され、パキスタンのTVにも出たらしい。(確認していないが) 家庭もいくつか訪問させていただき、レストランも数軒回った。インドにおいて最上の料理はレストランではなく家庭にあるというのが定石

71杯のチャイから見るインド #印度乳業

インド滞在で飲んだチャイを数えてみたら71杯だった。チャイを通してみたインド旅の景色を少しお裾わけしてみようと思う。 インドでは暮らしと共にある「チャイ」という庶民の飲み物。チャイのあるところに人が集い、心緩む瞬間にはいつもチャイがある。 チャイというのは本来は単に「茶」のことを指す言葉だが、日本ではインド式のスパイスの入った煮出しミルクティーのことを連想するだろう。ちなみにインドではスパイスの入ったチャイはあまり一般的ではなく、入っていても生姜とカルダモンくらい。あえて

えるしっているか いんどじんは あついものしか のまない  #印度乳業

吉祥寺のクラフトミルクスタンド武蔵野デーリーさんとコラボし、「印度乳業」という屋号で、インド料理と牛乳飲料を提供する屋台活動を京都市内で始める。デビューはゴールデンウィーク、京都周遊アコフェスでチャイを売ることになった。屋号にはインドの牛乳文化へのリスペクトを根本に込め、牛乳のおいしさや活用方法を提案して伝えていきたいのだが、いきなりインドでは飲まれない飲み物を開発している。それはアイスチャイだ。 京都でなぜ屋台をやることになったのか、そもそも屋台とは何か、インドの牛乳文化

京都でインド活動を開始しました #カレーだいしゅき手記

葉桜ばっかりになってきた春です。京都はもう初夏のようです。京都に引っ越して活動を開始したのでメンバーシップ参加者向けにご報告と、このnoteでこれから書いていくことの所信表明。 会社を辞めてから大学院を受験して合格し、この春から大学院生というやつをやり始めた。京都・羅生門跡地に程近い与冒庵という物件に引っ越し、インド料理研究活動も再開。京都の町屋は大体そうだが一階の日当たりが悪い。ここに引っ越してきてから何やかんや10日くらい経った。 一週間だけ大学院生というのをやってみ

コルカタのビリヤニについて

ビリヤニにはさまざまなスタイルが存在する。中でもバスマティライスを使用しているものだとハイデラバード、デリー、ラクナウ、コルカタが特に有名だろうか。コルカタにしばらく滞在してコルカタスタイルのビリヤニを食べてきた体験を元に、コルカタのビリヤニにフォーカスして掘り下げてみよう。コルカタのビリヤニの特徴、なぜジャガイモを入れるのか、ハイデラバーディビリヤニとの違いなど。 コルカタビリヤニの特徴コルカタのビリヤニがしゅきだ。しゅきしゅきだいしゅき。少し甘くてシンプルな味付けだが、

オリッサはメシウマ州だ #カレーだいしゅき手記

今回のインド旅でコルカタの次に訪れたのはオリッサ州プリーだった。プリーは海辺の古い街でジャガンナート寺院で有名な古都だ。オリッサには一週間くらいしかいなかったけど基本的にメシうまだった、ということを伝えたい。 オリッサの食については以前1ヶ月調査したときに色々作ったのだが実際に現地で食べた食事は思った以上に美味しかった。 夜行バスでコルカタから一晩でたどり着き、降りた瞬間に耳元で「オートリキシャ?」って日本語のイントネーションで言ってきたやつがいて笑いそうになった。悪魔の

カシミールピンクチャイ試行錯誤メモ #カレーだいしゅき手記

インドとパキスタンにまたがるカシミール地方にはピンク色のチャイがある。チャイと言っても緑茶を長時間煮込み、重曹でpHを調整し酸化させ、仕上げに牛乳を加えることでピンク色にするというものだ。 一ヶ月ほどカシミール料理研究をしていた時、女性陣を中心にやたら盛り上がっていた。それももはや2年くらい前だが、今更になってカシミールピンクチャイをつくってみた。 参考にしたnote(いわゆるdoya.レポート) 今回は吉祥寺のクラフトミルクスタンド武蔵野デーリーさんの牛乳を使わせてい

嘘から出たマサランド。 トーキョーマサランドをShibuya Sakura Stageで開催します! #イベント告知

インドから日本に戻ったのもつかの間、確定申告の闇に飲まれておりましてnoteが更新できませんでした。言い訳せずに書きましょう。 日本は忙しくて便利な国だが、寒くて色合いも乏しい。やっぱりインドと日本は別の国なんだということを、今回のインド渡航で改めて実感しました。 一番印象的だったのはタンジャイミールスのShankarさんの実家に行った時。Thanjavurという古都の村の方にあり、中心からバスで1時間ほど。お姉さんと近所の主婦、小さな子供たちがもてなしてくれたのですが野

コルカタで印象的だった食べ物と旅の8つの断片 #カレーだいしゅき手記

時間の流れは主観的に経験され、それは出来事の単位でできている。出来事とはつまり食べ物のことである。よって旅の経過は食べ物によってのみ認識され記憶に刻まれる。そうして出会った食べ物たちを通して、このコルカタの地の文化の広がりと、そこに根付いた複雑な経緯を辿ってきた歴史にわずかながら触れた気になった。 旅は単なる消費行動なのか。それはお前のちょっとした態度や姿勢によって変わる。自らの手を動かして何かを作り出すことだけが創造的な行為ではないはずだ。 全ての食体験は、過去と現在を