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みお奥様ストーリー①

40代にもなるとセックスレスになっても仕方ない、と同期の同僚はいう。
 確かにそれはそうなのだろう。私自身も妻と最後にセックスをしたのはもはや記憶も定かではないほど過去の話だ。
 だが、市役所の窓口業務とかいう、普段からストレスを溜めがちな仕事で、趣味らしい趣味もほとんど持たないとなると、そういうことをして発散するくらいしか楽しみがない。
 とはいえ、いまさら生活を壊すリスクを背負ってまで、若い女の子を引っ掛けたいかというと、それは否であり――つまりは。
「結局、これで解消するのが一番あと腐れなくて、一番気持ちいいんですよねぇ……」
 私はそう呟き、待ち合わせ場所に向かいながら、時間を確認する。
 少し余裕を持って予約しておいたので、勤務時間後にネカフェでシャワーを浴びる時間も十分確保することが出来た。
 デリヘルを利用する上で、ある程度体の清潔さに気を遣うのは当然のマナーだ。
 特にお気に入りのキャストと楽しむのなら、体臭云々を気にせずに楽しめた方がいいに決まっている。
 かなり余裕を持って待ち合わせ場所の駅前に到着する。
 するとほぼ同時に、待ち合わせの相手もやって来た。
 歩く姿がもう魅力的で、私は思わず鼻の下が伸びそうになるのを堪えなければならなかった。
 咳ばらいをして取り繕っていると、彼女が傍までやって来て、優し気な笑みを浮かべてくれる。
「こんばんは。今日もよろしくお願いします」
 礼儀正しく頭を下げる彼女――みおさんは、とても魅力的だった。

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