見出し画像

おと奥様ストーリー⑤

俺がおとと過ごすホテルは決まっていて、気分で部屋を変えている程度だ。
 一時期は待ち合わせ場所をホテルの前にしていたが、最近の俺は、ホテルで癒される前に、おとと雑談をしながら過ごすことで、ホテルとは別の癒しを得ることにハマっている。
 密室と開けた場所では話す内容も変わり、おとの表情や反応も違う。
 俺とおとは年齢が十歳以上離れているので、始めは彼女の話題についてゆけなかったことが多かった。
 今は、おとが好きな韓国グループについて話している。そのグループは日本はもちろん、アメリカでも人気なグループだ。おとみたいにグループの新曲まで追っかけてはいないが、ニュースでよく取り上げられているので、話にはついていける。
 相手の好きなものを調べること、それを始めてから俺の営業成績は右肩上がりだ。
「あら? みなとさん、何かいいことありました?」
「今日、営業成績の発表日でさ!」
「今月も一位だったんですね! おめでとうございます」
 俺が上機嫌だということを感じ取ったおとは、言ってもいないのに、営業成績トップであることを見抜いた。四か月連続でトップを取っているのだから当然か。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?