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詩「癌の荒れ地 Krebsfriedhof」

「癌の荒れ地 Krebsfriedhof」
黒実 音子


地上の肉(カルネ)を高温で長時間炙り、
その肉を食し続ければ、
やがてその者の肉体は腐敗し、
蟹の様な黒い腫瘍が臓物を満たす。

それは、
肉が地上で受けた苦しみ・・
[痛めつけられた]澱を
我々が魂に貯め続ける事による
呪詛である。

海の水を飲み続けた者は、
やがて臓物が病に冒され、
死に至る。

それは、
この地上の土と
余剰に触れ合った結果である。

彷徨う牛は、
霊ではなく、肉である故に
痛みに啼く・・

ああ、
我々は、この大地で
決して歓迎されてはいない!!

この世のあらゆる
静寂の中の沈黙する無機達は
決して来訪者を
愛してなどいないのだ。

この荒野は、
癌の荒れ地であり、
悍ましい腫瘍の古墳(カーツィノウ・フェイゼングラブ)である。

この痛みの地で、
他者の臓物を切りつけ、
その悲鳴を浴び、
手を血に染める我らは、
その血塊(コアグラ)を魂の中に貯め続け、
やがて摩耗し、
寂しい聖野(カンポサント)の
動かぬ骸(カダベリカ)となる。







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