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映画「女神の継承」観ました

映画「女神の継承」観ました。
なんと素晴らしいホラー映画。

これ[悪霊が怖い]とか、
実はそういうの関係ないお話だと思う。

ここに書かれているのは

[その土地で生きていく人々の
【利】や【恨】や【呪】や【欲】
が実害をもたらす]

という恐怖だと思うんです。

[生きている人間の原始的な感情]
の恐怖。

「文明の皮を何とか被った所で、
完全には払拭出来ない
人間の醜さ」

が怖いよね、
というお話。

例えば、
この作品には

[家系に縛られる人達]

[血縁のしがらみに翻弄される人達]

[欲(食生活)と(犬の
屠殺などの)
血腥さに憑りつかれた人達]

[土地に縛られた人達]

が出て来ます。

この辺の
古くて原始的な生活感
キーワードなのではないか?
と思うのですよ。

まず、
例え、呪詛などが迷信であり、
だったとしても、
[人間の恨み]というのは
土地に縛られた人達にとっては
生活に支障をきたしますよね
(食物に砂を入れられたり、
連絡を回されなかったり、
仕事で損したり)。

[恨まれる]
というのは
狭い土地に縛られて生きる者
にとっては、
とても怖い事なのです。

つまり、
[他者と縁を切って個人主義で生きる事]

[知性的で神へのニヒルさを持つ事]
なら、

逆に
[土地に縛られ、
醜い人間関係の中で人情に縋り、
翻弄され生きていかなければならない事]


[実益主義的で
神(信仰=土地の利)への奴隷である事]

を意味する訳です。

この作品は、作中で、
怪異が起きている最中に、
あからさまに
肉体を持った人間の仕業である
現象が混ざっていて、
それが何より怖いです。

表面では全くわからない、
そういう

土地に根付き、
利害に生きている人間
(仕事の恨みとか、先祖の恨みとか)
の原始的な底意地の悪さ・・・


が、この映画のテーマ
だったのではないか?
と思います。

やっぱり[血筋]とか
[利益への執着]なんていうのは、
きっぱりと捨て去るのが
知性ある強い文明人だし、
悪霊に打ち勝つ唯一の宝刀
なのでしょうね。

ちなみに余談ですが、
この映画の冒頭で
道路に転がる黒い犬の死体
が出てくるのですが、
これは、映画「バクラウ 地図から消された村」
道路に転がっていた棺桶の様に、
これから始まる展開の不穏さ
象徴しているのか、
あるいは、これ自体が
映画「ヘレディタリー/継承」
電柱に彫られた悪魔の紋章の様に
何者かに仕掛けられた呪詛だった
という事なのだと思います。

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