「大量に打ち上げられたヒトデ達の死骸に幸いあれ(アルガエのファド)」という詩の解説
こんにちは。
葬儀のオルケスタ「墓の魚 PEZ DE TUMBA」
の作曲家です♪
本日は、
先日にアップした
私の詩
「大量に打ち上げられたヒトデ達の死骸に幸いあれ
(アルガエのファド)」
に関して、
ちょっと解説というか、
思考を補足していこうと思います。
実際に
[数千匹のヒトデが
浜に大量に打ち上げられて全滅する]
という出来事は
海で定期的に起こるのですが、
この世界における
[大量死]
というものは、
自然が起こす[必然]であり、
必ずしも人間の仕業ではありません。
人間は、
自然の中で生物が(寿命まで)
生きている事を健全(正常)
と考えがちですが、
自然とは、
残酷に
無意味な死を与えるもの
であり
[それこそが自然の本質である]
という事を
我々は知る必要があります。
この地上は、
まるで回転する洗濯機の様に
命を打ちのめし、
その中で生存できる生命だけが
偶然に繁栄している
冷酷な実験場に過ぎません。
なぜか多くの自然愛好者達は
[現状を維持する事]を[正しさ]
と考えますが、
人間の業にしろ、
マグマの業にしろ、
隕石の業にしろ、
自然は、
徹底的に打ちのめされたとしても
何かは残り、
その残った残渣の繁栄を
「美しい」
と誰かが言うだけの事なのです。
我々は、いつか不意に
理不尽にやって来る
自分達の突然死すら
[自然]として
受け入れなければならない。
そして、
若干、言葉遊びの多い詩ですが、
我々は皆、罪人
(死の可能性を秘めている
ちっぽけで哀れな囚人)
であり、
人間社会が作った栄誉とは
何も関係ない[真実のファド]
を奏でる事が出来る・・
しかし、そのファドには、
輝かしい舞台も、楽器も無く、
拍手すらも起こらない。
ただ、この世界の真実を見つめ
生きる者のみが、
孤独な病床で
[本物のファド]を奏でられるのだ・・
という事を
この詩は語っています
「大量に打ち上げられたヒトデ達の死骸に幸いあれ
(アルガエのファド)」
黒実 音子
◇
やぁ、船乗りよ。
打ちひしがれた
ファディスタよ・・
世界の悲惨さを見たいのなら・・
海という
感情の無い深淵(アビスモ)の
無数の十字架の墓地を
見たいのなら・・
ある時、無人の海岸線を埋め尽くす
アステリアス・ブルガリス・ベリル達の
打ち上げられた山の様な
死骸(シャルニエ)を見るがいい。
北方の
棘皮類(ブルガリス)達の
裏返った臓物と、
それを啄む海鳥達の
限りない無感情な
欲望の尋常性を!!
そうだ、兄弟・・
これが楽譜なのだ!!
潮流により命が剥ぎ取られ、
叩きつけられる!!
ただ、ひたすら
荒波に呑まれ、
希望を持ちながらも
無意味に乾く。
我々はこの[斃死の荒野]で
託されたヨセフの骨を持ちながら、
理想の墓所を探し彷徨う。
追われる身で・・
そうだ!!
船乗りよ。
[アルガエのファド]を奏せよ!!
観客のいない、このファドは、
ファドの本質だけを
肋骨(コスタ)として捉え、
死者のみを慰めるのだから。
蔑みの言葉だけが歌詞となり、
罪人達の[逃れの町]でだけ
奏されるファド・・
ああ、兄弟・・
そのファドには、
アマランティナのギターなど必要なく、
棘皮類(ブルガリス)達の骸を喰らう
海蚤(タリトリ)達が歌手となる。
そのファドには、
ギターラの調律も必要なく、
我らの心臓の洞調律(ヒーチモ・シヌザオ)だけが
重い足取りのパルマとなる。
世界は鈍器の様に遅くなり、
眩暈のする
洞性徐脈の青い楽譜だけが
この冷たいファドを
記録するのだ。
浚渫船が掘り起こす
海底の砂の中の
名の知れぬ藻類(アルガエ)と、
ヒトデ達の死・・
ああ、
この世界は悲惨(ミゼリア)だ!!
聖性は常に痛みと置換され、
腐肉だけが
残存物として取り残される!!
おお、
それでも[逃れの町]で
闇夜を見つめ、
ラテン語で祈る孤独な罪人に
キリストは語り掛ける。
「無人の海岸で死んでいる
何万というヒトデ達の、
虚無の墓標に相応しい場所を
夜の恐ろしい轟音の中に
見出せる者は幸いである・・」
VESPERUM DEMORABITUR FLETUS,
ET AD MATUTINUM LÆTITIA.
(夜は嘆きに包まれ、
朝は喜びに明ける)
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