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納骨堂で歌う魔女の歌 ~キリスト教徒のトランジと魔女の呪い~

こんにちは。
「墓の魚」の作曲家です。

今回、「墓の魚」
新しい演奏動画をアップいたしましたので
ご紹介いたします♪

私達は、世界初の試み
「死」をテーマにしたオーケストラ(スペイン風)ですが、
と言っても、スペイン文化を基調としたソレなので、
スペイン文学にある様な
キリストユーモア皮肉が込められた
ラテンな世界観を持っています。

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そんなテーマで私は、現代日本では珍しく
「禿山の一夜」的な作品から、
フラメンコピアソラの様な作品まで作曲していますが、
今回の作品は
バロック風のメメントモリ音楽
で作られている
地下墓地(納骨堂)で歌う魔女の曲です。


タイトルのESCARABAJO CARROÑAとは、
甲虫(シデムシ)の事です。

さて、14世紀頃のフランスでは、トランジと言って、
墓地腐乱死体の像を建てる流行がありました。

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一見、異常に見えるこの習慣は、
その墓に眠る自分自身の
虫に喰われた腐乱死体を石像として展示する事で、

どんなに富や名誉を生前に貯め込んだ所で、
死んでしまえばこの様に、
悍ましい肉塊と成り果てる。
だから、生きる者達は、
私欲を貪る生活を悔い改め、
日々祈りを捧げよ。
死後の平穏を願うのなら・・・


というメッセージを
墓に訪れる者達に提示したのです。

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それはキリスト教的な警告であり、
その墓を作った者が、
己の魂が楽園に行ける様に
願ったものでした。

さてさて、しかし、
今回、紹介する「墓の魚」の曲は、
そんな悔い改め謙抑とは無縁の
俗世の幸福への欲望にまみれた
魔女の歌なのです。

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無用な欲を捨て、
キリストに魂を捧げよ

と言って
トランジ像を作ったキリスト教徒達は、
生前、決して無欲な生活をしていた訳ではなく、
むしろ、地位と権威に溺れた
裕福で社会的立場のある者達
でした。

その者達がが間近になった時に、
自らの悪しき行いを無かった事にする為
(死後に楽園に行きたくて)、
これらの彫像を建てたとも言えます。

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楽園を欲し、自らの我を恥じ、
天に媚びるキリスト教徒達とは違い、
魔女妖術使達は、スペインポルトガル文学の中でも
人間らしい我欲を徹底的に追求し、
不条理なこの世界を笑う存在です。

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彼女達は決して、己を恥ず事なく、
その欲望をかざすのです。

神よ、
これこそが誇り高き自分であり、
人間ではないか・・


と。

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当時のキリスト教社会では悪者だった
文学の中の魔女も、
現代視点で見れば、
人間らしい幸福の追求者であったかもしれません。

曲中で、静かな納骨堂に響き渡る
徹底して俗的な魔女の皮肉は、

聖者も泥棒も骨になってしまえば皆、同じ。
人間誰もが死ぬからこそ、
好きに生きるべきなのだ。
結局の所、魂が何処に行くにせよ、
何を以って幸福と感じるか、は、
自分自身にしかわからないのだから・・


と言っているかの様です。


「墓の魚」のラテン詩と、
メメントモリ曲の融合した
配信動画
「死んだ珪藻とマキシロポーダのミサ」
こちらで公開中です↓↓↓





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