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私の詩(El Sventramento)

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スペインやポルトガルを舞台に、細菌やキリストの詩を書いています。こちらに掲載していきます。
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記事一覧

詩「キリストと線虫Ⅰ」

「キリストと線虫Ⅰ」 黒実 音子 ◇ ダンス、ダンス、ダンスを踊れ・・ アファノマイセス・…

詩「ソラヌム・ヴィアルム」

「ソラヌム・ヴィアルム」 黒実 音子 ◇ キリストは、 御心のままに 巻貝ポマセア・パルドー…

詩「除草剤」

「除草剤」 黒実 音子 ◇ 穏やかな日差しが暖める 秋の小道で、 教会の男達が坂を登っていく…

詩「フロリダスッポンの死骸に纏わる神聖さ」

「フロリダスッポンの死骸に纏わる神聖さ」 黒実 音子 ◇ 腐った臓物のミサの話をしようか?…

詩「さようなら」

「さようなら」 黒実 音子 ◇ あの日、楽園で 「さようなら」と誰かが言った。 「さような…

詩「癌の荒れ地 Krebsfriedhof」

「癌の荒れ地 Krebsfriedhof」 黒実 音子 ◇ 地上の肉(カルネ)を高温で長時間炙り、 その肉…

詩「ラクリファギア」

「ラクリファギア」 黒実 音子 ◇ 糞蠅達が涙を舐め、 牛眼虫症にかかった牛が、 じっと荒野を見つめている。 線虫(テラジア)は楽譜を読み、 ファドを歌うか? 兵士の傷から落ちる蛆は パシュコアイシュの詩を朗読するか? それを知りもしない者が 涙を喰い物にする者(ラクリファギア)を名乗り、 神殿に市を開く。 ああ、私は 「喉は開いた墓・・」という 聖書の言葉を思い出す。 死人の様な青ざめた顔の男達・・ 引き攣って笑う人買い・・ 「喉は開いた墓・・」 穢れてしまっ

詩「ソラヌム・アトロプレプレウムの栄光」

「ソラヌム・アトロプレプレウムの栄光」 黒実 音子 ◇ 荒れ果てた牧草地の中、 周囲に馴染…

詩「ノリタンゲレの腓骨」

「ノリタンゲレの腓骨」 黒実 音子 ◇ カリブの海底には 朱い腓骨(フィブラリア)が数多く眠…

詩「ああ、南極ダービレアを讃えよ・・」

「ああ、南極ダービレアを讃えよ・・」 黒実 音子 ◇ ああ、南極ダービレアを讃えよ・・ こ…

詩「ああ、私の骸は沢山のヨーロッパエゾバイ貝に貪られ・・」

「ああ、私の骸は 沢山のヨーロッパエゾバイ貝に貪られ・・」 黒実 音子 ◇ 私は海で死んだ…

詩「マルスダレ貝の支持政党についての論文」

「マルスダレ貝の支持政党についての論文」 黒実 音子 ◇ 淀んだ黒い海底の砂地に 白い大き…

詩「いずれにしても、それらはキリストの死体であり・・」

「いずれにしても、それらはキリストの死体であり・・」 黒実 音子 ◇ マグマの流れる不毛の…

詩「エボシ貝(ピエ・デ・カブラ)」

「エボシ貝(ピエ・デ・カブラ)」 黒実 音子 ◇ 真夜中に運ばれてきた敗血症(ラ・セプシス)患者と、 べっとり塗ったタールの様な 夜の港に打ちあげられてしまった 発泡スチロールの躯に付いた 無数のエボシガイ(ピエ・デ・カブラ)達の 不吉な死の運命を想う。 ああ!! 病院に腸管を運んできた手術を受けた男達。 息を引き取る事を拒絶した死者。 消毒され死んでしまったグラム陰性菌。 クラムチャウダーに浮かぶ死骸。 幸福で不健康な老女と、 沼地に清浄を求め、異歯目を植える不幸な医者。