ぺしゃんこ。

詩について考えることが好きで、詩について考えた人達の言葉を集めています。谷川俊太郎・寺…

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詩について考えることが好きで、詩について考えた人達の言葉を集めています。谷川俊太郎・寺山修司・西脇順三郎。映画とモダニズムと抒情。 サイトhttp://pesyanko.itigo.jp/wiki/index.php

マガジン

  • 【映画の中の詩】光は闇の中で輝く

    映画と詩の交歓にまつわる文章を綴ります。 〈注:アップロードしている作品動画は制作後70年を経過したもの、かつyoutubeの著作権チェック(コンテンツID)をクリアしたものに限り使用しています。 字幕と翻訳者明記のない引用詩は私の勝手訳(語句の入れ替え、省略有り)であることをご了承ください〉

  • 詩歌ーmy poetry

    自作の詩歌です

  • 散文

    エッセイ レヴュー その他雑文

  • ペーパー・ムーンの詩学~遙かなる二十世紀詩

    現代詩とはなにか?をイマジズムに始まる20世紀詩のイメージ革命をたどることで私なりに考えてみました。 T.E.ヒュームから寺山修司まで。

  • 無門関 ZEN & POEM

    『無門関』という古い中国の坊さんの書いた本を読みながら、なぜかしきりと詩のことを考えたのだった。

最近の記事

【映画の中の詩】『誘拐魔』(1947)

フィルム・ノワールが咲かせた「悪の華」。 犯人はボードレール?ダグラス・サーク監督。 警察に送られてくる奇妙な詩。その内容どおりに若い女性の連続失踪事件が起こる。 その詩の特徴から警察は犯人はボードレールに心酔していると推理する。 ロバート・シオドマク監督『罠』(1939)のリメイク作品。 元になった『罠』(PIÈGES)は『悪魔が夜来る』(マルセル・カルネ監督)のマリー・デア主演のフランス映画。 ハリウッド映画でありながらボードレールが事件を解明する鍵になっているのはそ

    • 自作詩自解の蟻地獄----ああ 自壊!

      これは昔パソコン通信時代の『現代詩フォーラム』(@nifty)という集まりに投稿したものです。 まず題名の“Highway 99 Revisited”については、いうまでもなくボブ・ディランの傑作アルバム“Highway 61 Revisited”からのいただき。 というより、この詩全体がそもそも、ディラン風のをひとつ書いてみよう、という意図やし。 ボブ・ディランというひとが詩人として、どの程度まじめに議論されているのか、ぼくは知らないけれど、ぼくにとってはとても重要な詩

      • 【映画の中の詩】『「ピンパーネル」スミス』(1941)

        おやすみなさい。「別れは甘い悲しみです」 それは何ですか? ドイツ文学で最も有名なフレーズの一つです。 レスリー・ハワード監督、主演の反ナチス映画。レスリー・ハワードは両親ともにユダヤ系である。 ハワードが演じるのは表向きは考古学者ホレイショ・スミス教授としてドイツに入国してドイツ文明におけるアーリア人起源の証拠となるものの発掘調査をナチスの支援を受けて行っているが、裏では強制収容所の囚人を脱出させる手引をしている、という役。 ハワードが過去に主演したイギリス映画『紅はこ

        • 【映画の中の詩】『真夏の夜の夢』(1935)

          狂人と恋人と詩人は空想の塊だ 詩人の目は 狂おしく乱れて 天かとおもえば地、地かとおもえば天へと駆けめぐる やがて その空想力で謎そのもののかたちをとらえる  ーーシェイクスピア『真夏の夜の夢』(第5幕第1場) シェイクスピア原作。“A Midsummer Night's Dream“ 1935年の制作。公開時には芳しい興行成績を残せなかったものの、今日ではシェイクスピア映画としては上出来のものという評価を得ているようです。 「主役」ではないのですが、妖精の女王テ

        【映画の中の詩】『誘拐魔』(1947)

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        • 【映画の中の詩】光は闇の中で輝く
          51本
        • 詩歌ーmy poetry
          24本
        • 散文
          6本
        • ペーパー・ムーンの詩学~遙かなる二十世紀詩
          5本
        • 無門関 ZEN & POEM
          5本
        • 私家版まざあぐうす
          6本

        記事

          【映画の中の詩】『悪魔が夜来る』(1942)

          「戦争に立ち向かえる唯一の映画、それは恋愛映画だ」(ジャック・プレヴェール)マルセル・カルネ監督『悪魔が夜来る』(1942)。ジャック・プレヴェール脚本。原題『Les Visiteurs du Soir』 ナチス・ドイツ占領下で制作された。 強権によって愛する娘を我が物にしようとする悪魔に対して純粋な愛を貫こうとする抵抗を描いたこの映画の意図するところは明らかですが、カルネとプレヴェールは時代を中世に設定したおとぎ話の体裁を取ることで、ナチス・ドイツから、その真意を悟られる

          【映画の中の詩】『悪魔が夜来る』(1942)

          【映画の中の詩】『夜は我がもの』(1951)

          「わたしたちの使う言葉は 音を奏でるだけです  でも 詩人の言葉は 光を放つのです」 原題は〈 La nuit est mon royaume〉「夜は私の王国」。 事故で失明した男性にジャン・ギャバン、視覚障害をもつ女性教師にシモーヌ・ヴァレール。 引用詩はボードレール 「風景」。福永武彦訳を使用しました。 ラストシーンの「LUX IN TENEBRIS」については〈ウィキペディア〉によると 参考リンク:ボードレール「風景」の邦訳 福永武彦訳 『ボードレール全集 第1

          【映画の中の詩】『夜は我がもの』(1951)

          【映画の中の詩】『ブルックリン横丁』(1945)

          古き良きアメリカ映画感一杯の隠れた名作 エリア・カザン監督。原作はアメリカの劇作家ベティ・スミスの自伝的小説。 大昔にTVで観て内容は忘れてしまっていたものの「良い映画だったな」という記憶だけはあり、見返してみました。 やはり古き良きアメリカ映画感一杯で楽しめました。 原題の『ブルックリンに育つ木』というのは貧しいけれども両親や周囲の人の愛と励ましによって成長してゆく、主人公フランシーの象徴です。 エリア・カザン監督作品としては最初期のもので地味ですが、ネットで検索する

          【映画の中の詩】『ブルックリン横丁』(1945)

          【映画の中の詩】舞踏会の手帖(1937)

          〈私はデュヴィヴィエの「舞踏会の手帖」でもひらくような感傷的な気分で、対談者のリストを取り出した。 私がたずねたかったのは実は彼等の正体ではなくて、この「五年間と言う名の時」の正体だったのかも知れない。〉               (寺山修司「五年目のノート」) 監督ジュリアン・デュヴィヴィエ。主人公の若き未亡人クリスティーヌを演じるのはマリー・ベル。 題名になっている「carnet de bal」(カルネ・ド・バル=フランス語でカルネは「手帖」、バルは「舞踏会」)は英

          【映画の中の詩】舞踏会の手帖(1937)

          【映画の中の詩】The Romantic Age/Naughty Arlette(1949)

          エドモンドT.グレビル監督の1949年のイギリス映画。アメリカ公開時に『Naughty Arlette(いたずらなアルレット)』と改題されています。 謹厳実直の妻子ある女子校教師がフランス人生徒の恋の火遊びのターゲットにされ、彼女に溺れてしまう・・・。 メガネを取ったほうが素敵よ、と言われ、「壊れてしまった」などと言い訳しつつ、掛けずに彼女の元を訪れているというシーン。 シェリーの「Love’s Philosophy」という詩が読まれるのですが、最後のところを本来〈swe

          【映画の中の詩】The Romantic Age/Naughty Arlette(1949)

          【映画の中の詩】『ドリアン・グレイの肖像』(1945)

          オスカー・ワイルドの小説の映画化。アルバート・リューイン監督。米アカデミー賞で撮影賞を受賞しています。 引用されている詩はワイルドの長詩『スフィンクス』とウマル・ハイヤームの『ルバイヤート』。 『ルバイヤート』は劇中で朗読される他に映画冒頭とラストシーンと三度も同じ詩句が引用されています。 『ルバイヤート』は多くの訳がありネット上でも読むことができるのですが、内容が同一というわけではありません。 大きくは原典であるペルシア語からの翻訳であるか、『ルバイヤート』が広く知ら

          【映画の中の詩】『ドリアン・グレイの肖像』(1945)

          【映画の中の詩】『ギルダ』(1946)

          現代のヴイナス ━━ リタ・ヘイワース リタ・ヘイワースの踊る「Put the Blame on Mame」。このシーンによって映画史に記憶されるのは、『ギルダ』(1946)。 歌詞後半はカナダの詩人ロバート・W・サーヴィスの叙事詩『ダン・マグリュー銃撃』に基づいている。 サーヴィスは英語圏では知られた詩人のようだが、日本語による紹介は検索しても断片的なものばかりで、まとまったものは見つけられず。 『映画の心理学』(ウオルフェンスタイン,ライツ著)ではこの映画のヘイワース

          【映画の中の詩】『ギルダ』(1946)

          【映画の中の詩】『化石の森』(1936)

          レスリー・ハワード、ベティ・デイヴィス、ハンフリー・ボガート。 ベティ・デイヴィスは母から贈られたヴィヨンの詩集をお守りのようにして日々の希望のない生活に耐えている、という設定。 ハワード主演の原作戯曲にはボガートも映画と同じ役で出演していましたが、映画化に際して映画会社はボガートではなく、よりネームバリューのあるエドワード・G・ロビンソンをキャスティングしようとします。 ハワードは舞台と同じくボガートの起用を求め、受け入れられない場合は自分もこの映画から降りる、と強く主

          【映画の中の詩】『化石の森』(1936)

          【映画の中の詩】『別れの曲』(1934)

          美しくあれ、哀しくあれーーショパンの愛と別れフレデリック・ショパンと恋人コンスタンツィアとの愛と別れの物語。 この映画にはキャストを入れ替えたドイツ語版『 Abschiedswalzer』とフランス語版『 La chanson de l'adieu』があり、こちらはドイツ語版。 日本公開(1935)されたのは仏語版だったそうで、『さびしんぼう』を撮った大林宣彦監督が若き日に魅了された、というのも著書(『むうびい・こんさあと』)によると、そちらだったようです。 ただフランス

          【映画の中の詩】『別れの曲』(1934)

          《5月の恋歌》

          good と night という 二羽の鳥 bad と girl という 二匹の猫 ホリウッドの気まぐれなヴィナスは 白いレエスのドレスの水着で 翡翠(ヒスイ)の中に飛び込みます 砂に描いたような夢でした

          《5月の恋歌》

          【映画の中の詩】『二人で愛を』 (1941)

          おいでぼくのところに 恋人になろう     "Come live with me and be my love" クラレンス・ブラウン監督。ジェームズ・スチュワート、ヘディ・ラマー主演。 原題の「Come Live With Me」は16世紀イギリスの劇作家で詩人のクリストファー・マーロウの詩「牧人の恋」(“The Passionate Shepherd to His Love” by Christopher Marlowe)の出だしのフレーズです。 この詩はかなり有名で、

          【映画の中の詩】『二人で愛を』 (1941)

          【映画の中の詩】『 あゝ荒野』(1935)

          ユージン・オニールの舞台劇の映画化作品です。 寺山修司の同名小説とその映画化作品(2017)とは直接関係はありません。 「寺山修司が題名だけを自分の小説にパクった」ということで、よく寺山関係の書籍などに紹介されています。 ただ私は題名だけではなく、引用されている『ルバイヤート』の〈荒野もすでに楽土かな〉が、 〈一粒の向日葵(ひまわり)の種まきしのみに荒野をわれの処女地と呼びき〉 という寺山の歌へこだましているように感じました。 オマル・ハイヤームの名は同時期に公開された

          【映画の中の詩】『 あゝ荒野』(1935)