【映画の中の詩】『真夏の夜の夢』(1935)
狂人と恋人と詩人は空想の塊だ
詩人の目は 狂おしく乱れて 天かとおもえば地、地かとおもえば天へと駆けめぐる
やがて その空想力で謎そのもののかたちをとらえる
ーーシェイクスピア『真夏の夜の夢』(第5幕第1場)
シェイクスピア原作。“A Midsummer Night's Dream“
1935年の制作。公開時には芳しい興行成績を残せなかったものの、今日ではシェイクスピア映画としては上出来のものという評価を得ているようです。
「主役」ではないのですが、妖精の女王ティターニアのアニタ・ルイーズと妖精パックのミッキー・ルーニーが強く印象に残る活躍ぶり。
オリビア・デ・ハビランドの映画デビュー作でもあります。
この映画、というより戯曲そのものに関して『真夏の夜の夢』という日本語題名ー坪内逍遥の訳ーの「真夏」というのが誤訳なのではないか、という議論が古くからあるようです。
近年ではこの作品のmidsummerは「夏至」の意味である、として題名を単に「夏の夜の夢」とする訳者が多いそうです。
「A midsummer Night's Dream」を「真夏の夜の夢」としたのは坪内逍遥の誤訳である、ということのようですが、題名に関しては逍遥自身が、直訳すれば「夏至の夜の夢」とでもするところだが、と前置きして
あえて「真夏」とした意図を詳しく述べています。
また、そもそもベースとなる暦が違うではないか、という意見もあります。
旧暦をベースにしている俳句の季語が七夕や天の川も「秋」のものとしているようなものなので、midsummerもそのまま「真夏」と訳してなんの問題もない、とも考えられます。
加えて、当時の風習などを複合的に物語の要素としている所以ではないかという興味深い説もありました。
〈「真夏の夜の夢」の外題について〉
https://soar-ir.repo.nii.ac.jp/record/14161/files/Textile_Report3-28.pdf
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