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「…」に逃げたら、オマエの負け。

どうも、ヨースケです。

私は、こう見えても(どう見えてるんだ)、広告のディレクターでした。クライアントに取材をし、ライターに書いてもらい、デザイナーに描いてもらう。自分では直接つくらないけど、誰よりもつくりたいものをイメージする、そんな立ち回りでした。

とはいえ、繁忙期やなかなかライターのスケジュールが合わないときなど、自分で文章を書くこともありました。

いま振り返ると、文字数の制限が結構きびしくって、紙媒体だったので、あとからよりよい文章が浮かんでも変更できなくって(※ウェブは簡単に変更できるとは言ってない)、自分で書くときはかなり難産。得意な方ではなかったですね。

ただ、その経験があったからこそ、今の仕事にも繋がっていますし「人に何かを伝えること」って、根っこの部分を学ばせてもらった、本当に奇跡みたいな時間を過ごさせてもらいました。

その時の上司に言われたのが、このnoteのタイトル。

まぁ、いろいろ言われました。

だから?オマエは何がしたいの?
オマエはそれで満足なの?
視点を変えろ、話者を変えろ、時間をずらせ。
本当にそうなの?疑ってみろ。

などなど、勘の良い人は、私がどこにいたか分かるかもしれないですね。(あなたもそうなら一度会って話しましょう。笑)

たくさん金言をもらったのですが、今でも印象に残っている言葉が、

「…」に逃げるな。「…」に逃げたらオマエの負けだ。


さっきも書きましたが、紙媒体のフォーマット広告が多く、文字数の制限がかなり厳しかったのです。そのため、言いたいことが文字数に収まらず、「…」で文末を終えてしまうことが結構ありました。

・◯◯から新商品が登場!その詳細は…
・話題の◯◯に迫る!その真相とは…
・キャンペーン開催中。気になる内容は…

ちょっと雑ですが、こんな感じです。


ライターさんだったらこんな陳腐な感じじゃないだろうし、でも自分では書けないし、締切も迫ってきてるし。当時結構な広告の数を並行していた私は、やっつけではないにせよ、ひとつひとつを効率的に入稿しないと、間に合わなかったんですよね。

今でこそわかりますが、そんな状態がこの「…」にありありと滲み出ていて、いやもうダダ漏れていて、見かねた上司に言われたんですよね。

「…」に逃げるな。「…」に逃げたらオマエの負けだ。


言われたときは、ほんとに意味が分からなかった。

逃げてないし、ボキャブラリーが無いだけだし、締切間に合わなくて紙面落ちしてもいいんですか?ぐらいに意味が分からなかった。

上司の言う『逃げるな』が、『もっと良い言葉を選べ』の意味だと思ってたんですよね。

でも実際はそうじゃなかった。


またオマエ逃げてんな。

って何度も言われて、意味わかんないし、パンクしそうになってた時に、上司は教えてくれました。


いいか、「…」で読み手に想像を委ねるな。
オマエは何を伝えたいんだ、それが言えるならそのまま書けばいい。
言えないってことはオマエの取材が足りないんだよ。
安易に「…」を使って逃げるんじゃない。

ハッとしましたよね。図星過ぎて。

そこからいくつか具体的にアドバイスをもらいました。


◯◯から新商品が登場!その詳細は…

新商品が出るなんて情報はだいたい分かる。前の商品や競合の商品に比べて、何が良いか。消費者にとって何が価値か、そこに絞って書けばいい。


話題の◯◯に迫る!その真相とは…

話題だーとか言わない、みんな知ってるから話題なのである。読み手が知らなかった事実や、話し手が一番伝えたいことは何か。そこに絞って書けばいい。


キャンペーン開催中。気になる内容は…

キャンペーンとか書かない。気になるとか言わない。恩着せがましい。そのキャンペーンに参加する動機は何か。景品?賞金?満足感?キャンペーンなんだから参加させないと意味がない。参加動機を煽れ。


といった感じです。


これはキャッチコピーに限ったお話ですが、人に何かを伝えたいとき「伝えたか」じゃなくて「伝わるか」なんですよね。

だから私は、伝わるかどうかにこだわることから逃げていたんです。


これを言われて15、6年になります。

仕事の領域や、業界が変わっても、どんな場面でも「伝えたか」じゃなくて「伝わるか」ってのは、変わらない視点として、私の中に根付いています。

もう、めちゃめちゃ怖い上司だったんですが、本当に感謝しています。
ありがとうございます。

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