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これからの人材紹介業は「目利き力」が試されると思った話

こんにちは。ペルソナの中村です。

ここ最近、人材紹介業にまつわる話題が、世間をにぎわせています。
下記は代表的な話題です。

・大手スカウトサイトの「通常スカウトの廃止」
無制限で送信可能だった通常スカウトが廃止になり、通数制限のあるプラチナスカウトのみしか利用ができなくなった。これにより、大量のスカウトが飛び交い、1名の候補者に大量のスカウトが届く状態の改善が見込まれると同時に、数の原理で勝負をしていた人材紹介会社は、候補者の集客に苦戦を強いられることが予想される。

・採用する企業側での「ダイレクトリクルーティング」の台頭
これまで我々のような人材紹介会社や、求人広告・求人メディアを活用して「候補者の紹介を待つ」スタイルだったものから、自社にマッチした人材を企業側が自ら探し、直接アプローチするスタイルが急増。時には、人材紹介会社とバッティングすることもある。
肌感覚では、大半の企業が「ダイレクトリクルーティング」の手法を併用している印象で、地方の企業でも活用している企業が増えている。

・人手不足の時代に人材関連サービス業の倒産が急増
もちろん、有料職業紹介会社が増加しているという事実をしっかりと認識しておかないといけないが、下記のようなセンセーショナルな記事も目にするようになった。

人手不足が深刻さを増した2023年。有卦(うけ)に入ると思われた人材関連サービスの倒産件数(94件)が、コロナ禍前の2019年(70件)を4年ぶりに上回った。
職業紹介業では2000年以降で最多の16件発生、コロナ禍前の2019年(4件)の4倍に急増した。人手不足で求人ニーズが増えるが、クライアントの条件に見合う候補者を確保できない中小の職業紹介業は多い。また、コロナ関連支援の対象も明暗を分けた。

株式会社東京商工リサーチ「TSRデータインサイト」
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198331_1527.html

補足として、厚生労働省の公表する「職業紹介事業報告」によると、有料職業紹介会社の数は、平成25年度(2013年度)以降、会社の数は急増し続け、令和4年度(2022年度)には28,470事業所数と最多になっている。
出展:職業紹介事業の事業報告の集計結果について

人材紹介業は先行きは?


こういったニュースはよく見聞きしますし、仕事をしていても、競合となる人材紹介会社の増加や、ダイレクトリクルーティングの活用企業が増えていると実感します。

労働人口が減少している中、「求職者確保」の競争はますます激化するでしょうし、勿論、採用の難易度も上がり、採用にかかるコストもますます増えていくでしょう。

では、人材紹介業の先行きは、どうなのでしょうか?
お先真っ暗、なんでしょうか?

「仲介者」としての役割とスキルとは


我々、人材紹介会社が企業に価値提供できるのは「人の紹介」であり、候補者に価値提供できるのは「マーケットと企業情報の提供」であると考えています。どんなに状況が変わろうとも、この本質は変わらないと考えています。

その中で、企業側への人材紹介に求められるスキルとは、勿論「最適な人材を紹介すること」ですが、個人的な見解ですが付随して、「行間を読むこと」や「言葉でパッと言語化ができない周辺情報(すき間)を読むこと」なのではないかと感じています。包括すると、「目利き力」といえます。

直近の採用支援の事例で、行間やすき間を読む大切さを痛感することがありました。

実際の採用支援の事例から


とある企業から、ご相談いただいた内容

以前に面談をしたことがある候補者の方が入社された企業で、採用を手伝ってほしいという依頼がありました。下記のようなご相談です。

  • 大学発のディープテックベンチャー

  • 現在、上場の準備にはいったフェーズ

  • CFOが入社し、IPO準備、資金調達、経理財務、経営企画、人事総務を管掌している

  • 数字を作り(事業計画、経営計画の策定)、年次/月次の予算策定を行い、予実分析と管理ができるのが、CFO1名のみ

  • そのため、今後の上場準備において必要となる、事業計画の策定や中期経営計画の策定などができる経営企画人材を採用したい

  • 関東圏なら人材がいるかもしれないが、エリアの特性もあり、なかなかそういった人材の紹介が少なく、採用に苦戦している

ご相談内容を表面的に理解すると、いわゆる「IPO準備中企業の経営企画」の案件です。

人材紹介の契約締結後、早速、経理財務・経営企画畑でIPO準備経験があり、IPO成功の経験を持つ方を、満を持してご紹介しました。思惑どおり、書類はすぐに通過となりましたが、面接でお見送りになってしまいました。

私はびっくりして、すぐに理由を確認しました。
採用で重要だったのは「ステークホルダーと数字について同じ目線でコミュニケーションを取りながら、事業計画を作ることができる」、特に「ステークホルダーと数字について同じ目線でコミュニケーションを取れる」という点でした。

私はこの理由を聞きハッとしました。

  • 同社は、事業の特性上、研究者が多く、ファクト(数字や事実)を持ってコミュニケーションをする文化であること

  • CFOも論理的で筋道を立てて説明をする、知的好奇心が旺盛なロジカルな方あり、同じスタイルでコミュニケーションが取れる方が、「IPO準備中の経営企画」の裏に隠されたフィットする人物像だったのです。

そこからは、事業計画をどのように策定してきたのか等を面談で質問しながら、ソフト面のお人柄についても確認し、二人目をご紹介しました。(余談ですが、お見送りの後の二名目のご紹介は、腕を試されているようで緊張します)

結果として、その方が内定を獲得され入社を承諾されました。

候補者の方は、下記のキャリアの方です。

海外で学生生活を送り、日本の大学院でグローバル分野の研究を行い、研究者としての道をファーストキャリアとする、語学力が強みの方。
その後、事業会社にて、経営企画と事業部のプロジェクトマネージャーを兼務。中期経営計画に基づく、事業計画策定や実行、プロジェクトのリード、実績の管理等を担当。海外関連のプロジェクトに係る渉外業務も担当。

ロジカルさを持ちながらもユニークで知的な方でした。

内定となった評価ポイントはいくつかありますが

  • 経営企画としての数字を扱う感覚値が似ている

  • 知的好奇心が旺盛で、少し尖ったところも社風にフィットする

  • 次期COOとして、大きな期待が出来る

という、スキル面のみならず、お人柄のソフト面含めての高い評価でした。企業からは「とてもフィットする方のご紹介をありがとう」と仰っていただけて、私もとても嬉しかったです。

今回の事例を受けて・・・


スピーディーに採用のご支援ができたのは、採用の裏情報に早めに気づけたからだと思っています。

これを、「行間を読む」「言葉でパッと言語化ができない周辺情報(すき間)を読む」と表現をしましたが、人が介在することでしか気づけないことだとも思っています。AIでの機械的なマッチングや、表面的なスキルマッチングでは、なかなかフィットする方のご紹介が難しかったかもしれません。

「フィットする方」をご紹介するために、職務経歴書で読み取れる内容は50%くらいです。やっぱり、私は、人が介在し、職務経歴書以外の情報からも目利き力を必要とされる人材紹介という仕事は、これからもずっと必要で、将来も明るいと考えています。

「行間」「言葉でパッと言語化ができない周辺情報(すき間)」を読むのが我々は得意です!


例えば下記のような案件では、まさしく、職務経歴書以外の情報からの「目利き力」が試される案件だと思っています。

  • 少人数の企業で、コミュニケーションフィットを特に大事にしている企業

  • コンフィデンシャルなリプレイスを伴うポジションの採用

  • 事情が入り組んでおり、求人票やテキストでは伝えきれないような課題感を解決する人材の採用

こういった採用にお困りの企業様は、ぜひ我々にお声かけいただければ幸いです。

ペルソナ株式会社 中村

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