とっく

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🐯🐵メインの裏垢です。 🐯🐵の創作🔞書いてます。 自己責任でお読みください。 Twitter @peroperohyuk

最近の記事

社畜な僕の天使は君②

ヒョクチェの部屋の前、所在なさげに佇んでいたイドンへは、ほんの少しだけ背丈の高いヒョクチェをちらりと見やると、また下へ目を落としてしまった。 「こ、こんな時間にどうしたの?」 静まれ、俺の心臓。 先程まで頭の中いっぱいに想っていた当人が突然目の前に現れて胸がドキドキする。 これはアルコールが見せている幻覚か? 「シャワーが…」 「しゃ、シャワー!?」 シャワーなんて至極普通の単語だろう!落ち着け俺!自分の頬をビンタしたい。 「あ、じゃなくてお湯が、出なくて…」

    • 社畜な僕の天使は君

      毎年毎年分かっている事だけど、年度始めの忙しさは何度味わっても、きつい。 もはや30代も半ばを過ぎ、顧みなければ遠ざかる健康。 もちろんそれはイヒョクチェも例外ではない。というかむしろ不摂生をしている自覚がおおいにある。 そんなぼろぼろの体に年度初めからの怒涛の残業で、イヒョクチェのHPは0に限りなく近い。 しくしくと痛む胃のあたりをさすさすと撫でながら、人気の少ないとっくりと深く暮れた夜の住宅地を、ヒョクチェは一人歩いていた。 かぽ かぽ かぽ 今朝、目覚ましにと無理

      • 拾ったのは吸血鬼でした

        薄青い蛍光灯の下で拾ったのはひとりの吸血鬼だった。 その日はバイトの早番で。 大好きなゲームの新作が配信されたばかりで早くプレイしたくてうずうずしていた。 18時に上がったら食料を調達して駅からは徒歩じゃなくバスで帰って…なんて妄想ウキウキアフターファイブは午後にヂリヂリ鳴った電話で粉々に砕けた。 午後番シフトの主婦さんが子供の体調不良で来れなくなり、しかし代打が見つからないというのだ。 「……キュヒョンく…」 「嫌です無理です絶対ムリです」 「まだ何も言ってないよ僕」

        • 風がふくらむ

          生ぬるい風がカーテンを揺らし、寝転んだ僕の額を撫でる。 風の匂いがいつの間にか、夏のそれに変わっていた。 「俺、決めたよ」 目をつぶる僕の耳に、あいつの声が流れ込んでくる。 「母さんに付いていく」 あいつの鼻にかかったような甘い声は今日もまっすぐで、 その決心をもう誰もくつがえせないことが、分かった。 「そっか」 風に揺れるカーテンをぼんやりと眺めながら僕はただ、あいつから背をそむけることしかできなかった。 「ヒョクチェ!」 この狭い島で、家が隣同士の同い年な

        社畜な僕の天使は君②

          頸動脈

          あ、来る 無意識で目をつむり上を向いた。 と、むちりとした感覚が唇に覆いかぶさり、まるで食べようとしてるかのように喰らいついてくる。 ふくりと膨らむ厚い下唇をふにふにと味わうように食み、 つんと尖った上唇はざらついた舌で押しつぶされた。 「っふ……ん、ぅ……」 何度されても背骨に走る痺れに慣れず、わずかに開いた口からは吐息のような声が漏れてしまう。 この衝撃を、どこかで予測はしていても、覚悟を決めても訪れないことも、まさか今?というタイミングで訪れることもあった

          頸動脈

          窓にあたる雨はしだいに

          ぬるくやわらかい泥の中から頭をもたげるように、ジョンウンは甘く怠惰な眠りからゆっくりと体を起こした。 外からの光で淡く色づくカーテン。 朝が来ているようだ。 薄暗い部屋のそこかしこにたっぷりと満ちる雨の気配。 起こさないようにそっと布団から抜け出し、カーテンを薄く引き窓を小さく開けた。 窓の外にはやはり、音もなく細かな雨がたっぷりと降っており世界をやわらかく濡らしている。 ジョンウンはすぅっと息を吸い、雨の匂いを味わった。 (こぬか雨) 昔、祖母が教えてくれた。 音もしな

          窓にあたる雨はしだいに

          大晦日

          「なー覚えてる?」 「んー?」 ヒョクチェの太ももに頭を預けながら、ぼぉっと眺めていたスマホから目を外し頭上にあるヒョクチェへと視線を上げる。 ヒョクチェの指がドンヘの髪を心地良い強さで梳いてくれていて、さっきから眠たくて眠たくてたまらない。 「去年の、今日」 「んー、覚えてるよぉ」 もっと、撫でて。頭をヒョクチェの手のひらに押し付けると、再びするすると髪を梳いてくれた。 「台北、楽しかったね」 ドンヘはゆっくりまぶたを閉じ、昨年の大晦日を思い浮かべた。 キン

          大晦日

          よっぱらい(書き途中)

          『ドンへぇ〜……開けてぇ〜………』 鳴り響くチャイムの音に玄関を開けると、そこにはヒョクチェがいた。 「わっ、どしたの?」 開けた瞬間にドンヘにぎゅうっと抱きつくヒョクチェ。 『ドンヘぇ〜』 酒くさい息を吐きながらドンヘに抱きついたまま離れないヒョクチェ。 随分酔ってるな。 こんなに酔った姿久しぶりに目にする。 「ほら靴脱いで、おいで」 肩を貸したまま靴を脱がせ、フラフラ歩くヒョクチェをリビングに連れていく。 ソファに座らせるとそのままこてんと横になった。 「

          よっぱらい(書き途中)

          若ヘウン④

          結局その時はみんなが起きてくる音が聞こえだし、これは朝の自然現象だということでなんとか抑え眠たくて倒れそうになりながら練習をこなした。 ひょくがえっちさせてくれる? ドンヘのあの言葉… いや…まじかよ いつかは、確かにいつかは来るかもしれないと思ってたけど… ど、どうしよう… 練習が終わり各々、予定がある人は消え集まってご飯に行く人もいて、そんな中ヒョクチェはぼーっと帰り支度をしていた。 眠くて仕方ないはずなのに、不思議と頭がさえてしまいさっきからドンヘのことを目の端で

          若ヘウン④

          人ときどき猫

          はやく、はやく。 扉が開くその間ももどかしく、開けた瞬間につい名前を呼んでしまった。 「ひょく!ただいま!」 鍵をロックし、チェーンをかける。 音で帰宅したことは分かるはずだが…やはり出迎えは無し。 はやる気持ちでリビングの戸を開けると、ヒョクチェはソファでのんびり横になっていた。 「ひょく!」 両手の買い物袋をその場に置き、ヒョクチェの元へと急ぐ。 ンーと伸びをし腕を上げた。これはハグしてもいいよの合図。 (やった!) 嬉しくて興奮してしまうが、嫌がられない

          人ときどき猫

          ちゃら大学生とサラリーマン

          (あーもーお金無いよどうしよ〜!!) がしがしと頭をかきむしるヒョクチェ。 なけなしの金をつぎ込んだ馬券があっけなく外れ、今月の奨学金をまるっと飛ばしてしまった。 (間違いないって言ったくせに〜も〜!!!) 枕をボスボス叩くも出るのはホコリばかり。 (…家賃も…光熱費も…どうしよ……) リョウクに電話したら着信拒否されていた。 キュヒョンに電話したら散々あざ笑われたあげくに電話を切られた。 頼みの綱のシウォンは今バカンスだとかでドバイに行ってるらしい。 (…っかく

          ちゃら大学生とサラリーマン

          めんどくさい先輩

          「今日も飲んでんの〜?」 リビングでくつろぐキュヒョンの元にするすると近づいてくるあの先輩。 キュヒョンはげんなりした気持ちを隠そうともせずに、けだるげにヒョクチェを見上げた。 「僕飲まないですからね、ヒョンとは」 キュヒョンの座るソファにぽすんと座ってくるヒョクチェ。 「冷たいな〜お前はいつも」 ヒョクチェの手には、今日もビールがある。 「酒、やめたんじゃないの」 缶に尖った唇を付け、キュヒョンをちらっと睨むヒョクチェ。 「意地悪言うなよ」 「意地悪じゃな

          めんどくさい先輩

          雨と花

          こういう雨の日は、どうしても思い出す。 急な雨で傘なんか無く、着古したパーカーのフードをかぶり、あてもなくくすんだ道を歩く。 誰にも会いたくないけど家で一人でじっとしてることもできない。 一人でいると、思い出したくもない記憶がわんわん耳鳴りのように頭の奥で響く。 雨だと余計に。 ふとコーヒーの香りが鼻をかすめ、キュヒョンは足を止めた。 そこは何度か前を通ったことのある店で、軒先にたくさんの花が並べられており、ぼんやり花屋なんだろうと思っていた。 しかしじっと扉を見つめると

          雨と花

          若ヘウン③

          「おは〜………おい」 ポンと肩に手を置かれ、ヒョクチェはおそるおそるヒチョルを見上げた。 「ここどーした?赤くなってる」 パジャマがずれむき出しになった鎖骨をすっと中指で撫でられ、思わずびくっと震える。 「おまっ……やー!跡は付けんなよ!信じらんねぇ…」 ヒチョルは吐き捨てるようにそう言い、苛立たしげにリビングを出て行った。 ヒョクチェは気まずい気持ちでパジャマのボタンを首元まで閉め、ソファの上で膝を抱え丸まった。 昨日ドンヘに噛まれた跡を、見られてしまった。

          若ヘウン③

          若ヘウン②

          ガチャッ 『ねぇひょく〜これさぁ…』 「っ入んな!」 『えっ?』 キョトンと止まったドンヘの腕を掴み、部屋の外へグイッと追い出すヒョクチェ。 「お前、僕の部屋入んの禁止」 『えっ…』 うっ……… 途端にシュンとするドンヘ。 しっぽと耳が叱られた犬のように下がってる様が、まるで見えるようだ。 『なんで…?…こないだ、キス……っ』 ガバッとドンヘの口を覆い、ヒョクチェの部屋へそのままグイッと引きずり込む。 「ばっ…!お、お前、ドンヘ!そ、そういうことを…!」

          若ヘウン②

          若ヘウン①

          ああもう…今日もうまくできなかった。 なんであんなこと言ったんだよ。 自室のドアを開けたら同時に部屋を出るヒョクチェと鉢合わせてしまった。 『………おぅ』 「…おぅ」 一瞬目が合ったのに、お互いすぐに逸らしてしまった。 『……デート?』 「……うん、ヒョクも?」 『……うん』 「じゃあね」 ヒョクチェの顔も見ずに宿舎を出る。 背中に視線を感じながら。 こんな、気まずい感じ本当はいやなのに。 なのにあれ以来、うまく接することができない。 あぁ言われて以来。

          若ヘウン①