マガジンのカバー画像

Death is...

13
母の死をきっかけに思ったこと、感じたこと。
運営しているクリエイター

2017年4月の記事一覧

薄皮一枚

薄皮一枚

母を失ってから、家族を亡くした話にすごくシンパシーを感じるようになった。自分が体験しないと、本当の意味ではわからない、というのは真実なのだな、と実感した。

その一方で、自分と全く同じ状況、というのもないことを思い知った。それはつまり、もっと本当の意味で、人の死に方も生き方も、恋愛と同じで十人十色だってことだ。
この世に、わたしと同じくらいの年に母を失う人はゴマンといるだろう。だけど、全く同じよう

もっとみる
天命

天命

母の死はあまりに突然で、最初私は、母はきっと悪魔と契約して自分の死に時を選んだに違いないと思っていたくらいだった。

これからの楽しみと全て引き換えにしてでも、これから起こりうる辛いことを経験せずに済むように。

そのくらい唐突で、あっけなかった。

母の死の前日に、母が自分の家族に久しぶりに会いに行ったり、母の葬儀が全て済んだ1週間後にちょうど親戚が遊びに来る予定になっていて、父をはじめわたした

もっとみる
結果論

結果論

私は母を失ったが、父は愛する人生の伴侶を失った。

プチ単身赴任的な生活なので、幸い簡単な調理から掃除洗濯など一通りの家事は一応できるし、仕事もあるので四六時中悲しみに溺れずにすむだろうとは思うが、私の味わう悲しみや寂しさの何倍もの辛さを味わっていることを想像すると、それだけで泣けてくる。

1回目の月命日を迎える前日、父が、家族のLINEグループで私たちに向かって、母をみすみす逝かせてしまったこ

もっとみる
埋められない穴

埋められない穴

母の死から、2ヶ月が経とうとしている。

その間、悲しみはどう変化したかと言うと、とりたてて変わったようには思えないのが正直なところだ。母の不在の存在感は相変わらず大きいし、涙は新鮮さを保ったままあふれるし、むしろ母への恋しさは日々募る。

固形物が一切喉を通らず、水分しか摂れない、というのは翌日だけで、残された家族や親族がみな集まったことで日常的な生活活動は戻ってきた。

だけれど、父にも、兄た

もっとみる
魂と宗教のワルツ

魂と宗教のワルツ

変なタイトルをつけてしまったが、母が亡くなったことで私の価値観を大きく揺さぶったのは、魂のことだった。

私は魂の存在を信じているし、いわゆる天国というか、死者のいる場所があって、なんなら母は既に他界した家族や親戚たちと出会えているんじゃないかな、と思う。でも、そうやって魂の安寧を願うと、とたんに宗教じみてくるのが不思議だ。

葬儀の手続きにはいろいろなルールがあって、遺族が行わなければならないこ

もっとみる