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歳時記

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砂糖に似た甘味

砂糖に似た甘味

開裂した果皮の中には、少し虫っぽいナニカを想像する果肉がある。
それを丁寧に果皮から取り出し皿に載せてみたら、遠目に観ると得体の知れない幼虫の様であり接近して観ると見知らぬ水棲生物の卵の様でもあり剥き実は気味が悪く観える木通。
Akebia quinata
この実は、3回に分けて食べる位が丁度良くて一つを丸ごとだと口が疲れてしまう。
昔、この果皮の料理を食べた事があるのだけれども、いつ誰が作ったの

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深海の圧力

深海の圧力

随分と前ある日の事、深海に沈めて圧縮したインスタント麺の容器の話を何気なく知り合いに話したら、‘欲しいの;’と。
勿論、実物をこの目で視てみたかったから即答で頼んだ。
そして、深海で圧縮するなら海繋がりでシーフードの容器にしようと話したら成功率はカレーそしてオリヂナルの順でシーフードは、歪んだり割れたりして綺麗に圧縮出来ない事が多く成功率が低いとの事。それが何故なのかは判らない。
それならばと、後

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蜜柑の花の香り

蜜柑の花の香り

数年ぶりに帰郷し田舎のゆったりとした時の中に居ると、ここ1,2年の片手程の短時間睡眠が、今までの9時間前後の睡眠になっていた。
そして緊急時以外に必要のない携帯電話やタブレットの電子機器は電池切れ寸前になっていた。
勿論、充電はしたけども放ったらかし。
毎日が自然相手だと意識は自ずと明日の天気や食べ物の方へとゆくばかり。
この時期は、朝晩肌寒く陽射しが強いと外は暑い。そして筍が美味しいからお酒もす

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やっと一息

やっと一息

年々とそうしなければならないのではと思ってる事。
漠然とだけれども身の回りの事で出来そうな事は出来うる限りは身に付けておこうと思う様に。
衣食住に関する事は、住以外はそこそこ出来る様になった。

ミシンを手に入れてからちゃんと動く様になるまで半年程かかったが、手探りながらもインターネット上にある情報を頼りになんとかなった。
とても安かったのは不動だったからだろうが、埃が詰まり油が切れ弾み車は重くて

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三つの稜

三つの稜

今年も、せっせと銀杏の下処理をした。
そのまま置いておくとそのうち腐るから少し味は落ちるけど冷凍保存出来るので一気におこなう。
通常、稜というか辺は両側に二つだけどときたまこの様なのがある。
中身はほとんど一緒だし味は変わらないのだけれど、。、
食べても食べても何が美味しいのか判らない不思議な味。
フライパンで転がしながら手が伸びてしまい、つい一つまた一つと食べてしまう。
火が通ると翡翠色になりそ

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甘くないのが良い

甘くないのが良い

そろそろ旬の終わりを迎える甘夏。
柑橘類の中で爽やかさと瑞々しさが抜きんでている。
第一、甘くない。むしろ酸っぱい。
そして、優しい香り。 
昨今の甘味至上主義の影響なのか新品種は甘ったるいものばかりの柑橘類の中で変わらぬ味わい孤高の存在。
食前、食後、食間そして、深夜に小腹が空いてしまいどうしてもという時にもイケるのが良い。翌朝、もたれないのが嬉しい。自分だけかも知れないが、。、

甘夏を食べる

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七年傷

七年傷

雨後の筍。
春、雨の度に暖かくなってゆくそして筍もよく出て来る。
雨が降らないとなかなか出て来ないが一度降れば次から次へと。
竹藪にて腰を下ろし筍を定点観測すると面白い。ジッと視詰める先のそれは、少しづつ伸びているのだから。特に目線の高さ辺り迄来ればよく分かる。なんという成長の速さなのかと。淡竹がとりわけ判り易い。
が、そんなに伸びたら筋張ってしまうしエグ味が強くて食用にはならぬのだけれども。、。

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霧の様

霧の様

この季節、傘がまるで役に立たない事がある。合羽なら、まあ大丈夫。顔は濡れるけど。

明け方は、地面が濡れておらず降っているのか判らない程静かだったりする。玄関を出たところで顔に纏わり付いてくる。

日中、家の中では暗い様な明るい様な明かりを灯そうか迷う程だが、一歩外へ出ると顔に纏わり付いてくるのは朝と同じ。

夜、自転車のランプはいつもと違いぼんやりと前を照らし対向する自動車のヘッドランプすら優し

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どんどん芽吹くし薹が

どんどん芽吹くし薹が

実に春らしい陽気と冬の名残りの冷たい風が余計に心地好い季節。

空は、晴れ渡ること無く霞と黄砂でぼんやりとした変な感じなのはこの季節特有。

正に春。

Cussonia paniculataの葉は、昨年落葉せず残った葉は青さを取り戻しつつあるし新しい葉もどんどんと展開してきている。今の環境は合っていると思いたい。

昨年よりも早い。もう芽が伸びている。今年は、青虫に喰われる事がない様に。

Er

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春の足音

春の足音

一つ、また一つと芽を出す植物たち。

もう春はすぐそこまできている事を彼らは解っているのだろう。

こちらはこちらで少し伸びた陽や雨が降る度に暖かくなって居る事で実感する。

冬の終わりが何処と無くもの悲しいが、何処と無く嬉しい妙な季節。

今は、一つだけだが地中にはあと三つ居て地上に向かってるはず。四球植えたから。小さなチュウリップ。

Tulipa humilis ‘Alba Coerulea

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今までの日常は戻らない

今までの日常は戻らない

自分の予想はもう少し早くからそして爆発的なものだと思っていた。それは11月上旬からだと思い日々の生活では念には念を入れ注意していた。

なぜなら日本の検疫とされるものは、抗原検査のみでこれだけだと精度並びに感度も程々。そして隔離も任意。笊では無いけど心許ない。更に入出国者や日本全国を巡る商売人。極め付きというか駄目押し感が否めない‘go to△〇’で街に出掛けたり観光旅行に勤しんだのは、春から初夏

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干す

干す

冬が近付くにつれ乾燥してくる。で、干物を作れといわんばかりだ。

今年は、一週間程前に柿を頂いたので皮を剥き干した。

渋柿なので、干柿が良いと。

幸いにも生食よりも干し柿が好きなので良かった。

干しっ放しは良くないので時折様子を視る。

一週間経ち外側が乾いてきたのでカビぬ様、手袋をして揉んでおいた。中の種子はそのままでよいが、つい揉み出しそうになる。

カチンコチンになるまで干してみたいと

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秋思

重陽、菊の節句

九は‘苦’に転じ縁起が悪いとか。

だが、満ちた陽の数字‘九’が二つ重なるこの日は吉祥。

元はchina亜大陸の歴史を紐解けば、魏でその始まりが起こり漢で確立され現在のPRCでは老年节、。、意味がだいぶ変わってきてる、、。

菊は、‘仏花’で縁起が悪いとか。

だが、死者に手向ける花としてとても高価だったから菊が使われた。今も菊は育てるの大変だし決して安くは無い。

これが、キ

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梅雨に入る頃、旬を終える。

梅雨に入る頃、旬を終える。

‘Asparagus officinalis L.’の白

子供の頃、瓶もしくは缶詰入りの白いアスパラガスが食卓に上ると密かに嬉しかった。多くはお祝い事がある時に食べたが、フニャりとした食感と独特の味が大層気に入ってた。

好きではないという声が思いのほか多く驚いたのも今は昔。

あれから、何十年と経ったが白いアスパラガスの缶又は瓶詰は今も決してお安くない。

そして、現在は瓶詰だけでなく新鮮な生

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