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給与を上げるために「下げる仕組み」をつくって実行した話~給与制度改革~『ピートラ』Vol.57

こんにちは。
今回は機ちょーまさとが担当です。毎年この時期は人事評価・給与額査定という仕事があります。実は4年前に代表になってから一番頭を悩ませたのがこの給与制度でした。というのも、それまでは評価も査定も代表がすべての決定権を持っていて、明確な仕組みが存在しないことがわかったんです。なんてこった……。
ということで、ほんとはセンシティブな話になるから全然タッチしたくなかった評価・査定のやり方を、4年くらいかけて毎年少しずつしくみを試行錯誤してきたことを、今回は赤裸々に語ってみようと思います。

結果的に、年功序列型の給与体系になってしまう理由

当時の役員からの説明では、ピープルは
・実力主義で給与UPを査定する
・だから年功序列の給与体系ではない
・終身雇用制ではない
・定年制度もない
こんな感じで伝わってました。なので、皆さんの給与額を見ることができる立場になった時、給与額順でソートしてみると数人の例外はあるものの勤続年数の順番になっていたことを知り、受けていた説明とのギャップに気づきました。

ちなみに、ぼくは個人的に年功序列の給与体系を頭ごなしに否定するつもりはありませんで、「勤続年数が長い人材の方が会社にとって価値がある」と判断するなら、堂々と年功序列にすれば良いって考えてます。特にピープルでは、商品企画を主体的にできるようになるまではやはり何年もかかることから、ベテランさんを有利にするしくみには一理ある。
しかし、じゃあなんで「実力主義」ってうたってるの?とギモンに思いました。で、自分でいろいろやってみて最近ようやくわかってきました。
給与UPの幅が小さいってことなんじゃないか

ピープルでは、何か会社の業績にプラスになる働きをすると、翌年の年俸がUPするやり方を長年続けてきたようです。なので、若い人でも成果を出せば、ベテランさんよりも大きな給与UPがありました。しかし、そのUP額が相対的に小さいことで、結局長年勤めている方の方が給与が高くなっていく傾向にあるということなんだと気付いたんです。評価している側は成果主義のつもりでやっているのに、結果として年功序列の給与配分になっているという不思議な状況です。

給与UPの幅を大きくできない、しくみ上の原因

大きい、小さい、というのは相対的なものなので、じゃあどのくらいのUP額が適正なのかは普遍的なことは言えないのですが、結果から逆算すればやっぱり小さいってことなんだろうと考えました。ぼくは代表として、結果を出した人にもっとドラスティックに給与UPをしたいし、結果を出し続ければ代表よりも高額の給与があっても良いと考えたから感じた違和感かも知れません。
終身雇用制で、多くのベテラン社員の給与が高くなって、売り上げに対する人件費の割合が大きくなりすぎ、経営破綻してしまう会社が結構あるという話があります。そして、自分で査定に参加をしてみて気づきました。経営を圧迫しない程度のUP額に抑えないといけない……という変な力学が働いたんです。だからこれまでUP額が小さくなってしまったんだ。
これは評価・査定する個人が悪いのではなくて、「給与が下がる」しくみがないことが、せっかく結果を出した人のUP額を大きくできないことにつながり、長年続けると年功序列の給与体系になってしまう、ということでした。気づいたからには、ピープルのパーパスにもとづいたしくみを作り直すことにしました。

パーパス実現を加速する評価・査定制度

ピープルのパーパスは、子どもの好奇心に真摯に向き合うことで、他のメーカーさんにはできない(=ブルーオーシャンな)商品やビジネスモデルを作れて、その結果業績も上がってくるはず、ということを語っています。
主体的に自分の周囲のリソースを子どもの好奇心に向き合う時間に優先的に割き、新しい商品開発に挑戦する人や、ヒット商品を出した人を大きく評価して奨励していく仕組みにすることは必然だと思いました。
また、その活動をサポートすることに、主体的に取り組む人を評価することで、新商品企画のスピードアップを奨励することにしました。このしくみは乗組員ましもんも過去記事で触れてくれています。

そしてやっぱり、年功序列にするよりも、若い人でもどんどん挑戦してもらった方がパーパスに近づけると考えましたので、評価したい人の増額幅を大きくする一方、下げるしくみも同時につくることにしました。

給与が下がるとはどういうことなのか?

従業員として日本で働いていると、給与が下がることにものすごく深刻なイメージがある(現に、自分自身従業員時代にはあった)と思うのです。なんかものすごく悪いことしたみたいな。
しかし、ライフワークバランスを考えた時、「今年は去年ほど頑張れない」ことだってある。それまでやってきた仕事が、外部環境や会社の方針転換でなくなってしまうことだってある。会社の業績だって上がっていく一方なんてあり得ないので、給与が上がる方に一方通行なのは無理があるのはここまで書いてきました。大幅減みたいにさえならなければ、働き方と給与額の良いところを探すために給与が上がったり下がったりすることは、イメージよりも気楽に捉えて良いものだと思うようになりました。

会社として評価・査定制度を使って目指すべきところは、パーパスに向かってみんなでモチベーションを上げていくことなので、上がることと下がることのバランスが大事だと思います。上げる時は大きく上げて、下げる時は緩やかにしていこう。
こうして年功序列の給与体系から、成果主義のしくみに変化をさせて、今年もまた少し手を加えました。今後も様子を見ながら、より楽しく、気持ちよくパーパスに向かうしくみを整えて行きたいと思います。

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