【読み終えたくない本】
書き終えた4作目を読んでもらおうと思った。私はいつも、アイデアからラストまで、誰にも相談せずに書く。誰にも見せないから、読む人がどう思うか全く分からない。
4作目は、また新しいチャレンジをした。だから余計に心配だった。1作目、2作目、3作目とも違うことをした。
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えいっと送信ボタンを押したのは一昨日。
早朝、返事のメールが届いた。
「面白い」「完成度が高い」と言われ、ほっとする。
だけど、一番うれしかったのは、このことを知ったときだ。最後の章まできたその人は、それからすぐに読み終えてしまうのが「もったいなくて」できなかったそうだ。
そして、それから「ゆっくりコーヒーを淹れて」一休みしてから、最終章を読んだという。
本が好きな人は、この感じわかると思う。「この世界にもっといたい」という気持ち、その瞬間のこと。
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私も、子どものころ、そんな風に思ったマンガや小説がいくつもある。終わってほしくないと残りのページを眺めたことがある。
私のあのときの、あの気持ちと同じようなものを、その人が感じたこと。
そして、その小説は、大人になった私が書いたこと。
私は「読み終えたくない小説」を書くことができたのだなあ。
それは、とてもうれしい。
(終わり)
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