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外には「ここ以外」があるんだ、と思った10代の頃のこと


高校生の頃、私は、工場の煙突の見える田舎に住んでいた。小さな駅や一時間に数本しかないバスや学校ぐらいしか、世界はないように思えた。

話をする相手も、学校の友達だけだ。本を読むこと以外、特に好きなこともなかった。卒業したらどうするのかも分からなかった。大学に行くとしても、いってどうするのか分からなかった。

自分の人生にどんな道があるのか見えなく、それに向かいあうのは怖かった。何かがうまくいってないのだけれど、どうしてそうなのかを考える知力も気力もなかった。

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ある日、本屋さんで、モンゴルについての本を見つけた。当時の私の選択基準は、安いということで、たぶんそれが新書で1000円しないぐらいだったからだと思う。

モンゴルに興味があるわけではないのに、なんとなく買った。

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その本のある個所に、私は「あ」と思った。

日本では勤勉や準備をすることが良しとされるし「備えあれば憂いなし」と言われる。そういういろんな「当たり前」がある。

だけど、モンゴルでは「明日できることは明日やれ」と言われるのだと知った。

ああ、当たり前は、当たり前じゃなかったんだ。

周囲の大人も、みんな「ここ」の価値観でものを言ってた。だけど、それだけが絶対ではなかったんだ。

ああ、外には、「ここ」以外があるんだ。

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もし、あの本に出合わなかったら、私は「ここ」以外を実感することがなかったかもしれない。10代のあのとき、そう思えなかったらどうだったろう。

ちゃんと、頭をあげて生きていけただろうか。

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中村みちよさんは、311の後、その爪痕の残る気仙沼で、不登校やひきこもりの子どもたちが集まれる場をつくった。

木造の質素な家だ。学校という「ここ」で辛い思いをしたり、違和を感じる子どもたちに、「いていいよ」という言葉だけでなく、場をつくったのだ。

気仙沼の「つなぎ」

公的な支援は少なく、また経済的に厳しい家庭の子も多く、運営資金が大変だそうで、何度かクラウドファンディングをしている。教師をしていたみちよさんは、それでも、この場を守るためにやっていこうと覚悟を決めている。

「つなぎ」に来ることで、子どもたちは生きる力を取り戻していくのだという。

今回、みちよさんは、思い切ったクラファンを立ち上げた。「つなぎ」の子どもたちに、「外」を見てほしい、そのためにマレーシアを体験してもらおうというものだ。

海外だから、贅沢だと思う人もいるかもしれない。だけど、と思う。経済的に厳しい環境の子も多い「つなぎ」だ。

この機会がなければ、彼らがマレーシアに一週間も行けることはないかもしれない。

あと30時間ほどでクラファンが終わる。不成立なら、10代の彼らが「ここではない場所」を体験できるすばらしい機会がなくなってしまうのだ。

高校生の私には、学校と家以外の場所がなかった。両方ともすごくうまくいっていたというわけではない。「ここ」に順応したふりをすることで、なんとか生きさせてもらえるという取引をしていたように思う。

たまたま出会ったモンゴルの本が私を救った。そういうことは、たまたまのことなんだけど、一生続くのだ。

気づきは、救いになる。


10代の若者に、「ここ」にあわなくたって、あなたが間違っているというわけではないんだと思ってほしい。

学校に合わなくたって、周囲と合わなくたって、家族と合わなくたって、友達がいなくたって、それがあなたの生を否定する根拠にはならないんだ。

世界には、いろんな価値観で生きてる人がいる。


「ここ以外」が、あるんだ。


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これは、いわゆる「海外旅行体験」ではない。それよりもっと切実で重要なものだと思う。

この文章を書き、彼らを応援することは、私にとって、高校生だったあの頃の自分に「間違ってないよ」と言ってあげることなのかもしれない。


あなたの生を否定する根拠なんてないんだと、言いたい。

10代の彼らに、そんな体験が与えられますように。


世界が、もっとよくなりますように。



あと30時間で終了。


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