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無知故に人を傷つけた過去

罪人にも罪人になった背景がある。

と、私は考えています。

罪を犯す、までいかずとも、世間的には「よくない」とされることでも、表面だけを見て評価したくない。

昔、自分の言動でとても後悔していることが二つあります。


一つは、「どうして正規雇用で働かないんですか?」という質問。

私自身がWワークを抜けて正社員になろうと就活をしている時期。長年派遣とバイトのWワークを続けている先輩に向けて聞いたものでした。当時は私のなかで、「正規雇用」が正しいものだと、行き着く先は皆そこなのだと信じて疑わなかったんでしょうね。

両親からも「ちゃんと働く」ことを求められていて、「手に職をつけなさい」と言われていた記憶が残っています。

私は大学を中退してアルバイトや派遣で働いていたのですが、大学生を続けている同級生たちも卒業・就職していくようになり、自然と自分も「正社員に」という思考が強くなっていた時期でもありました。

非正規雇用は不安定で、保証もない。もらえる額面だって少ない。自分が非正規雇用で働いてきて、Wワークをしてきて、それらを痛感していたんです。

「どうして」という言葉には、相手を責める意味合いが含まれる場合が多くあるように感じます。きっと当時の私にも、「どうして正規雇用で働かないんですか?(非正規雇用なんてずっとやることじゃないでしょう?)」と口に出さない()があったのだろうなと思います。

でも、あれから自身が実際に正規雇用で働き、そしてすぐに辞めている。「正社員」が全員に向いていることでもなければ、全員の正解でもないことを早々に突き付けられました。

私が正社員を辞めたように、先輩にも正規雇用でない働き方を選びたかった理由があるのだろうと、今では理解ができます。


後悔していることのもう一つは、不倫をしている人を責めたこと。

職場の既婚男性と関係を持っていた知人に対し、「もし奥さんが知ったらどうするの?責任とれるの?」と簡単に責めてしまいました。

もちろん今でも浮気・不倫に賛成しているわけではありません。

でも、そうならざるを得ない背景があることを、当時の私は考えられなかった。知人の環境や感情を知る前に、「善と悪」だけで評価してしまっていたのです。

人に依存してしまう傾向を持つ人がいること。自分を守る意識が薄く、相手の言いなりになってしまいやすい人がいること。愛情不足によってそれらが生み出され、その人の努力だけではねじ伏せられない衝動や欲求があること。

自分でもいろんな経験をし、いろんな人と対話をし、また本や映画・漫画などのエンタメから学び、表面にでてくるものには必ずそこに至る事情があることを知りました。

今ならもっと彼女の話を聴くでしょうし、反対にそっとしておくことも選択肢に入るでしょう。少なくとも、否定するような言葉はかけないと思います。


今だにふと思い出すのがこの二つの言動。相手は覚えていないかもしれない些細なやりとりだけれど、私には自分の浅はかさや無知が露呈した「痛い」記憶です。

でも、自身の無知を知り、恥じることができていることは成長であるようにも思います。当時は「知らなかった」。仕方がないことではあるのです。

しかしながら、仕方がないからと言って無意識に人を傷つけることはしたくない。だからいろんな人がいることを、いろんな世界の見え方があることをもっともっと知っていきたい。今はそう感じています。


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