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Take-7:映画『イニシェリン島の精霊(2022)』は面白かったのか?──箱庭療法としての映画、人形としての登場人物──

【映画のキャッチコピー】
『すべてがうまく行っていた。昨日までは』

【作品の年代】
年代は1923年

※1919年~1921年にはアイルランド独立戦争、そしてそれを引き継ぐように1922年~1923年にアイルランド内戦が起こってます。

 そういった「災厄の兆し」のような要素は当然あるでしょうが、例えそういった時代背景を知らずとも十分面白く観れる作りになってますね!😀

【作品の舞台】
 舞台はアイルランドにある孤島、イニシェリン島。これは架空の島となっている。

 ロケはアイルランド。ゴールウェイ県、北大西洋に浮かぶアラン諸島の中で最大の島となる「イニシュモア島」で行われてますね🙄

 アイルランド人にとっては「神話と文学の島」と言われております📚


【原題】
『The Banshees of Inisherin』

 直訳で『イニシェリンのバンシー』

「バンシー」とはなんぞや?🙄──というと、アイルランドの伝説や民話に登場する存在です。バンシーは女性の幽霊や妖精の一種。死の予兆、または家族の死や不幸の前触れとされることがあり、ケルト文化やフォークロアで重要な役割を果たしてるんですね〜😊
では本文をお楽しみください🙇



😀皆様、映画よき映画ライフをお過ごしでしょうか? N市の野良猫𓃠ペイザンヌでございます。

 今回は今年2023年の初頭に観た『イニシェリン島の精霊』を取り上げてみました。

 かな〜り面白かった部類に入る作品ですね🙄

 ポスターからして、最初はてっきりコメディ混じりの感動作かと思ってましたが😅そこは『スリー・ビルボード(2017)』のマーティン・マクドナー監督、一筋縄ではいかない作り。

 2023年アカデミーの作品賞・脚本賞などにノミネートされてましたが惜しくも受賞ならず🙅

 とはいえボクは最後まで脚本賞はこの作品なのでは──とずっと推してましたね🙄

くっだらね~ことばかり言ってる時代でもないけど、真面目なことばかりも言ってられない!

──これはボクがSNSを扱う時のモットーなのでありますが😅──例えば昨日までビールを飲みながらバカ話をしてワハハと笑い合ってた親友から「ごめん、おまえが嫌いになった。もう話しかけないでくれ」と突然の友達解雇通告があったらそりゃショックですやね😨

「😲ちょちょちょ、待て! いきなりなんでだよ」と言っても、

おまえの話は薄い。くだらん。俺はそんなことで人生を費やすのは嫌になった。さよならだ」とさらに追い打ちをかけられればダメージで立ち直れんかも……onz

映画イニシェリン島の精霊のワンシーン
映画.com

 そんな感じで序盤こそ主人公と同じ気持ちになりながらクスっとなる場面もあれど、次第に友人の避け方がめちゃめちゃエスカレートしてくるわけですわ。

「そこまでして避けるか?😂 普通?😂」てなくらい。

「感動の涙🥹ウル…」どころじゃないですわ、観てるこっちまで泣けてきそうな「トホホな涙😨」が出そうになるほど。それで済むならまだいいが、よもやあんな展開になっていくとは……😱

 表面上、複雑なストーリーではないのでそのぶん「台詞の妙」といいますか、そちらに力が入っており「台詞運び・流れ」──これがまた脱帽するほど滑らか、そして美しい😦

 こちらに書いてるものは見ての通り「エッセイ風の映画感想記」ですが、ときにボクも小説というか「物語」を書きます✏

 ボクなどまさにヘタっぴなので😅「ストーリーを展開させるがために」ムリヤリ台詞を乗っける感じになることも多々です。

 しかしこの映画は台詞がまるで「音符」。

 一音だとただの「音」でしかないのに、繋がって初めて「音楽」になる。まさにそんなイメージがありましたね。


 ボクはこういう映画を個人的には「箱庭映画」と呼んだりしております。
「箱庭療法」のアレです。

 ミニチュアの「島」に、人形を何体か置いて、こいつはこんな性格、こいつとこいつは仲がいいけどこいつとは悪い──など自分の内面に潜む様々な人格を当てはめていく──そんな感じで観ておりました。

 つまり他者とのコミュニケーションというよりは個人における内面、「様々な性格、違う考えを持ついろんな自分との葛藤」のような……そんな映画のように見えちゃうんですよね😅

映画イニシェリン島の精霊のワンシーン
映画.com

 これといった事件も起こらない平和な孤島。まるで知恵の実を食わされたかのように「退屈」という感情が芽生え、「疑問」という名の花が咲きます。

「優しさで歴史に名を遺した人はいない」──劇中にはそんな台詞もあります。

 人間、生まれたからには何かを成し遂げてみたい。そんな「焦り」さらには「このまま何も成し得ずして死んでいくだけなのか」という「不安」まで目覚め……といったような。

 それに対し、
「それでもいいじゃん! 今日が楽しければいいじゃん😀」
「日々、なにごともなく暮らしていけることこそ幸福じゃね?🥳」
 そんなことを言う自分もどこかにいたりします。

 むしろ、この2つの間を行ったり来たりすることの方が人間としては健康なのかも🙄

 どちらかに偏ると、ろくなことにはなりません。

 そういった根源的な恐怖。日常に対する不満、不安などが次第に「エスカレートしていく不条理劇」といった匂いがしましたね~🧐

 主演のコリン・ファレルといえば、近年『ザ・バットマン(2022)』のペンギン役で厳つい演技を、そしてまた『アフター・ヤン(2021)』では「いいお父さん」の静かな演技を見せてくれました。

 今回それらとはまた少し違う、とても人間臭い・泥臭い演技を見せてくれたな──と。

映画ザバットマンでペンギン役を演ずるコリンファレル
映画.com

 また『ハリーポッター・シリーズ』で”マッドアイ”・ムーディを演じたブレンダン・グリーソンも演技派な一面を見せつけてくれました。晩年のジョン・ウェインにも少し似てますね。

 なおこちら、ブレンダン・グリーソンは『ジョーカー(2019)』の続編『Joker: Folie à Deux(原題)(2024)』にも出演が決まったらしいですね😊

映画ハリーポッターに登場するマッドアイムーディ
Amazon.co.jp

 また『聖なる鹿殺し/キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017)』でコリン・ファレル演ずる主人公一家を恐怖😱に陥れたバリー・コーガンも出演。

 今回は少し知恵が遅れた感じの純粋な青年役を演じてます。雰囲気がどこか『ザ・フラッシュ(2023)』などのエズラ・ミラーに似てる気もしますね🙄

ザ・バットマン』にも出てるのでコリン・ファレルとは三度目の共演となります。
 本作でバリー・コーガンは米国アカデミー助演男優賞ノミネート(受賞はならず🙅)、英国アカデミーの方では受賞🙆もしてますね。

クランク・イン!

 村で「死神」と呼ばれる婆さんなども登場しましたが、ついついベルイマンの『第七の封印(1957)』に登場する悪魔を思い出したりしましたね🙄

 そういえば彼女が「二人死ぬ」と予言しましたが「あれ? 一人しか死ななかったような……?」という謎もあり、まだまだ考察できそう🙂

映画『第七の封印』の悪魔とのチェス・シーン
映画.com

イニシェリン島の精霊は空から町の者が死んでいくのを見て楽しむ」なんて言葉もありましたが、
「ん? それってひょっとして観客席でスクリーンの外側から映画を楽しんでたボク自身……のことじゃね?」

──なんてことも思ったりw



【本作からの枝分かれ映画、勝手に7選】


『イニシェリン島の精霊』ブルーレイ+DVDセット[Blu-ray]


スリー・ビルボード』[DVD]


ザ・バットマン』(初回仕様) THE BATMAN-ザ・バットマン- (4K ULTRA HD&ブルーレイセット) (3枚組/オリジナル封筒入りキャラクターカード4種セット付) [4K ULTRA HD + Blu-ray]


アフター・ヤン』 [Blu-ray]


ハリー・ポッター』8-Film DVDセット(8枚組)


ジョーカー』[DVD]


聖なる鹿殺し/キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』[DVD]


第七の封印』【4K修復版】[DVD]


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