Take-30:映画『沈黙のパレード(2022)』は面白かったのか?──「殺してやりたい!」は、まだ殺人ではない──
【映画のキャッチコピー】
『沈黙は連鎖する──それは罪か、愛か』
【作品の舞台】
タイトルにもある劇中の“仮装パレード”で重要なロケ地となった商店街などの一部は静岡県の牧之原市で撮影されている。
市内の「本通り商店街・しんまち遊ロード周辺」、「相良小学校グラウンド」、「肉の食遊館クリヤマ」などで撮影。
なお牧之原市はこの作品で人を動かしたり、観光を活性化させたりした作品や地域を表彰する「第13回ロケーションジャパン大賞」に初めてノミネートされている。
皆様、よき映画ライフをお過ごしでしょうか?
N市をねぐらとする野良猫、ペイザンヌでございます。
そんな我が町、N市では先日ランタン・フェスティバルが開催されておりました。
このランタン・フェスティバル、実は歴史的にはさほど古くはなく1986年「灯籠祭」という名称からスタートし、1994年に都市発展戦略の一環として正式な観光の柱になりました。
今年はその30周年として、目玉となる皇帝パレードを〈特別版〉と称し、皇帝役にN市出身の福山雅治あにぃ、そして皇后役に仲里依紗さんが凱旋帰国!
まさにこの映画のワンシーンのようにパレードの「顔」となり「沈黙」ではなく「盛大なパレード」となっておりました。
さて、今月3/30に地上波で初オンエアされるこの『沈黙のパレード』。ボクは劇場で初日に足を運びましたが、今回はその時のこと。
映画が終わった後、後ろを振り返ると「え、こんなに人いたの……?!」くらいのお客の多さに少し感動してしまったくらいで。
ボクは週一は必ずどこかの劇場へ足を運びますがこれほど多かったのはここ数年で初めてかもしれませんね。
そんなところにも長崎の福山雅治愛を痛感しましたね……
原作もずっと追いかけておりますが、小説を読んでる時に浮かぶ映像がまんま目の前に出た感じで、ペイザンヌ的にも大満足。
本作ガリレオシリーズの映画第一弾『容疑者Xの献身(2008)』は原作・映画共に名作……というかケタが違うほどの面白さなので決してアレと比べたりはしません。
ガリレオシリーズは映画化しても基本原作にとても忠実なので安心して観れますね。
むしろ前作『真夏の方程式(2013)』と今作『沈黙のパレード』、この二本は劇場版を観て“もう一歩奥の面白さ”に気付かされた部分が多かったんですよね。 実写化はこうあるべきだなと思いました。
今年頭に公開された東野圭吾さんの『ある閉ざされた雪の山荘で(2024)』を観に行った時なども、「原作は昔読んだけどストーリー展開も犯人もいい感じで忘れてるんでちょうどいいか……」と思ってた気がしますが──本作『沈黙のパレード』では初っぱな冒頭の祭りのシーン──「町内のど自慢」のシーンで「ぶわーっ!」と記憶が吹き出してきたのは面白い現象でしたね。走馬灯のようでしたw
「あ! そうだそうだ、全部思いだした!」──と。
ガリレオ・シリーズは原作が“物理的トリック”なので目にしないと微妙にわかりづらい部分もあるんですよねw
その辺りを「あ、なるほどな~」と目で再確認もできるのも嬉しいところ。
一作目の『容疑者Xの献身』の時も思いました。「こういうトリックってどこから思い付くんだろう……」──ボクはそんなことを考えるのが好きなわけですが、初っ端はもはやミステリの中ではオーソドックスとなっている「交換殺人」のトリック辺りから膨らみ始めたんちゃうかな──などと勝手に妄想しております。
そこをベースにしながら“1を引いて”、“2をかける”といった具合に膨らんでいったのではなかろうか………と足りない頭で計算。
ガリレオ湯川先生のように物理も数学も達者でないので“算数”で計算する……ww
ならば『沈黙のパレード』の出発点はどこなんだろう……と改めて映画を観て思ったのですが、例えば本作のオマージュとなってる『オリエント急行殺人事件』などを観た時などおそらく誰もが「犯人たちの方が人間的に正しいやん! 被害者は殺されて当然やん!」──と思うだろうし。
そういう「読んでいる側の思い」の延長線上から出発したのかなと。
日本は法治国家であります。
疑わしきは罰せず。
なので「殺してやりたい」と頭で「思う」までは決して犯罪ではありません。むしろまだそれならば感情として時に“人間らしさ”さえあるような気もします。
『オリエント急行』もそうですが、この『沈黙のパレード』、原作の方では、開き戸の鍵穴トリックのところでジョン・ディクスン・カーの推理小説『ユダの窓』も例えに出されてましたね。読んだ方などおられますでしょうかね?
今回は北村一輝さん演ずる草薙刑事の過去との葛藤がより中心となっており、どちらかといえば主人公ガリレオこと湯川が徹底してサポート役に徹していました。少し物足りなかったという人もいるようですが、その辺りがやや微妙だったのかもしれませんね。
そういえば先月の二月二十六日、福島県郡山市で火災現場から身元不明の死体が発見された事件がありましたが、まるでミステリの冒頭のようだなと、本作『沈黙のパレード』をついつい思い出してしまいました。
映画版のラストでは原作にはなかった、外国人に道をきかれ、教えてあげたりする町の人たちのシーンが追加されており、憎んだり怒ったり「殺してやりたい」と思うことも時にはあるかもしれないけど、日常はそうやって思いやりの心に触れ、中和しながら生き続けていかなきゃならないんだな──など、少しウルッときました。
原作にない部分を追加して泣かせる……これも実写化のあるべき姿ですな。
ガリレオ・シリーズの新しい長編『透明な螺旋』も一昨年発売されましたが、こちらもいずれ映画化する日が来るんですかね。「螺旋」とはもちろんDNAの別称。ボクは既に読みましたが今回は湯川の両親、出生の秘密に関わるストーリーでしたね。
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さて、さらに先月、ランタン・フェスティバルの直後ですか、福山雅治さんと東野圭吾さんがタッグをくみ、新たな企画が始動しているという発表もされましたが……
これは東野圭吾さんの最新シリーズでまだ一度も実写化されていない『ブラック・ショーマン・シリーズ』がいよいよドラマ化、もしくは映画化として動き出すのでは?──とペイザンヌは予想しておりますが果たして?
ブラック・ショーマン・シリーズはアメリカ帰りの少し手癖の悪いマジシャンが探偵役となるミステリで現在、二冊刊行されております。ひょっとすると次回は福山雅治さんのマジシャン姿が見れるのか……?
話題先取りのために読んでおくのもよいかもですね(あくまで個人の勝手な推測ですので、あしからず)。それともこちらも新刊が発売された『クスノキの番人』『クスノキの女神』──クスノキ・シリーズなのか……はたまたもっと新しい何かが用意されてるのか?
楽しみであります♪
では、また次回に!
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